【本編完結】化物の生贄花嫁~童貞処女だったのに旦那様たちに毎日甘く抱かれています

浅葱

文字の大きさ
67 / 97

66.タイミングがいいのは仕様です

しおりを挟む
 あちこちいっぱい噛まれ、乳首も僕自身も噛まれた。
 でも長が我慢しているのがわかったから、僕は逃げようとするのをどうにか我慢した。
 愛しいけれど、とても怖かった。涙がぼろぼろ溢れて、あんまり怖くてまたおもらししてしまった。でも長はそれすらも嬉しそうに笑んでいた。
 やっぱり鬼はとても怖い。
 でも……長のことは……グイン様のことは大好き。
 噛まれるのは痛いし、食べられたら死んじゃうだろうってことはわかっているけど、もし食べられたらずっと長の一部になっていられるのかなとも考えてしまった。
 だけど……身体だけ長と一緒でもだめだよね。
 目が覚めたらリンドルの腕の中にいた。

「……?」
「ウイ様、大丈夫ですか?」
「だ、いじょ、ぶ……」
「喉、治しますね」

 身体を軽々と持ち上げられて喉に口づけられた。そしてまた横抱きにされる。

「あまりにも目覚めなかったので心配しました」
「? 今って……?」
「夜中です。おなかはすいていませんか?」

 僕はそっと自分の腹に触れてみた。いつのまにか前開きの裾が長い服を着せられていた。

「まだ、よくわかんない……」
「では身体に負担のないものを用意させましょう。粥を持て」

 気を失って随分時間が経っていたのか頭がぼうっとしている。おかげで食べ物を運んでこられるまでずっとそのままでいた。アズがお盆を運んできた。お盆を載せる台のようなものが運ばれてきて、そこにお盆を載せられた。おいしそうな匂いがして、僕はやっと自分のおなかが空いていることに気づいた。
 木でできたコップを受け取り、水をこくこくと飲む。そうしてやっと一息ついた。

「……リンドル、旦那さまは……?」
「長殿は反省中です。ずっと仕事に打ち込んでいらっしゃいます」
「……そう」

 長に会いたいと思った。抱きしめてほしい。それと同時に、長を見るのが怖いとも思った。
 もし僕が長を恐れているのがわかったら嫌だな。

「……リンドル」
「なんでしょう?」
「僕、旦那さまがすごく怖い」
「はい」
「でも……すごく好きなんだ……」
「はい」
「旦那さまは……旦那さまを怖がってる僕は……いや、かな?」
「そんなことはないでしょう。鬼は恐れられるものです。恐れられるのが当たり前なのですから」
「でも……」

 そうなんだろうけど。

「旦那さまが怖いって、知られたくない……」

 目の奥が熱くなってきた。泣いちゃだめだって思うのに、目が潤んできて困った。

「どうして”怖い”と知られたくないのですか?」
「だって……旦那さまに、嫌われたらやだ……」

 ぽろりと涙がこぼれた。ここに来てから僕は泣いてばかりいる。抱かれて泣いて、気持ちが不安定になって泣いて、本当に情けない。リンドルはそんな僕を優しく抱きしめた。

「長殿がウイ様を嫌うことなどありえません。知っていますか? 鬼にとって噛むことは究極の愛情表現なのですよ。だからといってウイ様に怪我をさせたらウイ様はすぐに死んでしまいますから、長殿はとても我慢しています。どうして我慢していると思いますか?」
「……え……」

 涙がぼろぼろこぼれて止まらない。

「ウイ様が愛しくてしかたないからですよ?」
「うぅ~……」

 余計に泣いてしまった。
 落ち着いてからまた水をもらい、お粥を食べた。それで少し気持ちが落ち着いてほっとした。

「きちんと食べられましたね」
「うん……ありがとう」
「礼には及びません。もう夜中ではありますが……ウイ様はこれからどうされたいですか?」
「……ええと……」

 夜中だということはまた寝た方がいいと思う。でもどうしたいかと聞かれたら、一つしかなかった。でもこれを言うのはわがままじゃないかな? 僕はリンドルを窺った。

「……ウイ様、どうされたいかはきちんと口にされないとわかりませんよ?」
「う、うん……でも……」
「でももだってもだけどもありません。かわいいウイ様が腕の中にいるので私も限界なのです。希望がないということでしたら私がウイ様を抱きます」
「え、えええ?」

 夜中なのに抱かれちゃうの? リンドルはいっぱい我慢していたらしい。でもその目は笑んでいるから。

「あの……旦那さまに会いたい」
「会うだけですか?」
「……抱いてほしい」

 噛まれるのは怖いけど、やっぱり長のことが好きだから。
 リンドルがはーっ、とため息を吐いた。

「なんでこんなにウイ様は愛らしいのか……やはりここまで連れてこないで私が攫うんだった……」
「リンドル?」

 なんだかリンドルがとても不穏なことを言っている気がする。
 するとスパーン! と襖が勢いよく開けられ、長がどすどすと足音を立てて入ってきた。仕事が終わったのだろうか。僕は嬉しくなった。

「ああ? 攫わせるわけねーだろ! これは俺の嫁だ!」

 そう言って長に掬い上げられた。僕は目を丸くした。

「……失礼しました。本当に鬼は地獄耳ですよねぇ……」
「ああ!? なんか言ったかっ!?」
「いえいえ。ウイ様は長殿に抱かれたいそうですよ」

 そう言いながらリンドルはさっと部屋の隅に移動した。他の鬼たちが動いて襖を閉めたりといろいろいしているのはわかったが、僕はもう長しか見えなかった。

「旦那さまぁ」
「ったく、かわいい嫁だな……ウイは」

 い、今……。
 全身がカーッ! と熱くなる。
 やっぱり長のこと、大好きって思った。
しおりを挟む
感想 38

あなたにおすすめの小説

牛獣人の僕のお乳で育った子達が僕のお乳が忘れられないと迫ってきます!!

ほじにほじほじ
BL
牛獣人のモノアの一族は代々牛乳売りの仕事を生業としてきた。 牛乳には2種類ある、家畜の牛から出る牛乳と牛獣人から出る牛乳だ。 牛獣人の女性は一定の年齢になると自らの意思てお乳を出すことが出来る。 そして、僕たち家族普段は家畜の牛の牛乳を売っているが母と姉達の牛乳は濃厚で喉越しや舌触りが良いお貴族様に高値で売っていた。 ある日僕たち一家を呼んだお貴族様のご子息様がお乳を呑まないと相談を受けたのが全ての始まりー 母や姉達の牛乳を詰めた哺乳瓶を与えてみても、母や姉達のお乳を直接与えてみても飲んでくれない赤子。 そんな時ふと赤子と目が合うと僕を見て何かを訴えてくるー 「え?僕のお乳が飲みたいの?」 「僕はまだ子供でしかも男だからでないよ。」 「え?何言ってるの姉さん達!僕のお乳に牛乳を垂らして飲ませてみろだなんて!そんなの上手くいくわけ…え、飲んでるよ?え?」 そんなこんなで、お乳を呑まない赤子が飲んだ噂は広がり他のお貴族様達にもうちの子がお乳を飲んでくれないの!と言う相談を受けて、他のほとんどの子は母や姉達のお乳で飲んでくれる子だったけど何故か数人には僕のお乳がお気に召したようでー 昔お乳をあたえた子達が僕のお乳が忘れられないと迫ってきます!! 「僕はお乳を貸しただけで牛乳は母さんと姉さん達のなのに!どうしてこうなった!?」 * 総受けで、固定カプを決めるかはまだまだ不明です。 いいね♡やお気に入り登録☆をしてくださいますと励みになります(><) 誤字脱字、言葉使いが変な所がありましたら脳内変換して頂けますと幸いです。

性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました

まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。 性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。 (ムーンライトノベルにも掲載しています)

身代わり召喚された俺は四人の支配者に溺愛される〜囲い込まれて逃げられません〜

たら昆布
BL
間違って異世界召喚された青年が4人の男に愛される話

獣のような男が入浴しているところに落っこちた結果

ひづき
BL
異界に落ちたら、獣のような男が入浴しているところだった。 そのまま美味しく頂かれて、流されるまま愛でられる。 2023/04/06 後日談追加

逃げた弟のかわりに溺愛アルファに差し出されました。初夜で抱かれたら身代わりがばれてしまいます💦

雪代鞠絵/15分で萌えるBL小説
BL
逃げた弟の身代わりとなり、 隣国の国王である溺愛アルファに嫁いだオメガ。 しかし実は、我儘で結婚から逃げ出した双子の弟の身代わりなのです… オメガだからと王宮で冷遇されていたので、身代わり結婚にも拒否権が なかたのでした。 本当の花嫁じゃない。 だから何としても初夜は回避しなければと思うのですが、 だんだん王様に惹かれてしまい、苦しくなる…という お話です。よろしくお願いします<(_ _)>

【完結】国に売られた僕は変態皇帝に育てられ寵妃になった

cyan
BL
陛下が町娘に手を出して生まれたのが僕。後宮で虐げられて生活していた僕は、とうとう他国に売られることになった。 一途なシオンと、皇帝のお話。 ※どんどん変態度が増すので苦手な方はお気を付けください。

悪役令嬢の兄、閨の講義をする。

猫宮乾
BL
 ある日前世の記憶がよみがえり、自分が悪役令嬢の兄だと気づいた僕(フェルナ)。断罪してくる王太子にはなるべく近づかないで過ごすと決め、万が一に備えて語学の勉強に励んでいたら、ある日閨の講義を頼まれる。

魔王に飼われる勇者

たみしげ
BL
BLすけべ小説です。 敵の屋敷に攻め込んだ勇者が逆に捕まって淫紋を刻まれて飼われる話です。

処理中です...