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66.タイミングがいいのは仕様です
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あちこちいっぱい噛まれ、乳首も僕自身も噛まれた。
でも長が我慢しているのがわかったから、僕は逃げようとするのをどうにか我慢した。
愛しいけれど、とても怖かった。涙がぼろぼろ溢れて、あんまり怖くてまたおもらししてしまった。でも長はそれすらも嬉しそうに笑んでいた。
やっぱり鬼はとても怖い。
でも……長のことは……グイン様のことは大好き。
噛まれるのは痛いし、食べられたら死んじゃうだろうってことはわかっているけど、もし食べられたらずっと長の一部になっていられるのかなとも考えてしまった。
だけど……身体だけ長と一緒でもだめだよね。
目が覚めたらリンドルの腕の中にいた。
「……?」
「ウイ様、大丈夫ですか?」
「だ、いじょ、ぶ……」
「喉、治しますね」
身体を軽々と持ち上げられて喉に口づけられた。そしてまた横抱きにされる。
「あまりにも目覚めなかったので心配しました」
「? 今って……?」
「夜中です。おなかはすいていませんか?」
僕はそっと自分の腹に触れてみた。いつのまにか前開きの裾が長い服を着せられていた。
「まだ、よくわかんない……」
「では身体に負担のないものを用意させましょう。粥を持て」
気を失って随分時間が経っていたのか頭がぼうっとしている。おかげで食べ物を運んでこられるまでずっとそのままでいた。アズがお盆を運んできた。お盆を載せる台のようなものが運ばれてきて、そこにお盆を載せられた。おいしそうな匂いがして、僕はやっと自分のおなかが空いていることに気づいた。
木でできたコップを受け取り、水をこくこくと飲む。そうしてやっと一息ついた。
「……リンドル、旦那さまは……?」
「長殿は反省中です。ずっと仕事に打ち込んでいらっしゃいます」
「……そう」
長に会いたいと思った。抱きしめてほしい。それと同時に、長を見るのが怖いとも思った。
もし僕が長を恐れているのがわかったら嫌だな。
「……リンドル」
「なんでしょう?」
「僕、旦那さまがすごく怖い」
「はい」
「でも……すごく好きなんだ……」
「はい」
「旦那さまは……旦那さまを怖がってる僕は……いや、かな?」
「そんなことはないでしょう。鬼は恐れられるものです。恐れられるのが当たり前なのですから」
「でも……」
そうなんだろうけど。
「旦那さまが怖いって、知られたくない……」
目の奥が熱くなってきた。泣いちゃだめだって思うのに、目が潤んできて困った。
「どうして”怖い”と知られたくないのですか?」
「だって……旦那さまに、嫌われたらやだ……」
ぽろりと涙がこぼれた。ここに来てから僕は泣いてばかりいる。抱かれて泣いて、気持ちが不安定になって泣いて、本当に情けない。リンドルはそんな僕を優しく抱きしめた。
「長殿がウイ様を嫌うことなどありえません。知っていますか? 鬼にとって噛むことは究極の愛情表現なのですよ。だからといってウイ様に怪我をさせたらウイ様はすぐに死んでしまいますから、長殿はとても我慢しています。どうして我慢していると思いますか?」
「……え……」
涙がぼろぼろこぼれて止まらない。
「ウイ様が愛しくてしかたないからですよ?」
「うぅ~……」
余計に泣いてしまった。
落ち着いてからまた水をもらい、お粥を食べた。それで少し気持ちが落ち着いてほっとした。
「きちんと食べられましたね」
「うん……ありがとう」
「礼には及びません。もう夜中ではありますが……ウイ様はこれからどうされたいですか?」
「……ええと……」
夜中だということはまた寝た方がいいと思う。でもどうしたいかと聞かれたら、一つしかなかった。でもこれを言うのはわがままじゃないかな? 僕はリンドルを窺った。
「……ウイ様、どうされたいかはきちんと口にされないとわかりませんよ?」
「う、うん……でも……」
「でももだってもだけどもありません。かわいいウイ様が腕の中にいるので私も限界なのです。希望がないということでしたら私がウイ様を抱きます」
「え、えええ?」
夜中なのに抱かれちゃうの? リンドルはいっぱい我慢していたらしい。でもその目は笑んでいるから。
「あの……旦那さまに会いたい」
「会うだけですか?」
「……抱いてほしい」
噛まれるのは怖いけど、やっぱり長のことが好きだから。
リンドルがはーっ、とため息を吐いた。
「なんでこんなにウイ様は愛らしいのか……やはりここまで連れてこないで私が攫うんだった……」
「リンドル?」
なんだかリンドルがとても不穏なことを言っている気がする。
するとスパーン! と襖が勢いよく開けられ、長がどすどすと足音を立てて入ってきた。仕事が終わったのだろうか。僕は嬉しくなった。
「ああ? 攫わせるわけねーだろ! これは俺の嫁だ!」
そう言って長に掬い上げられた。僕は目を丸くした。
「……失礼しました。本当に鬼は地獄耳ですよねぇ……」
「ああ!? なんか言ったかっ!?」
「いえいえ。ウイ様は長殿に抱かれたいそうですよ」
そう言いながらリンドルはさっと部屋の隅に移動した。他の鬼たちが動いて襖を閉めたりといろいろいしているのはわかったが、僕はもう長しか見えなかった。
「旦那さまぁ」
「ったく、かわいい嫁だな……ウイは」
い、今……。
全身がカーッ! と熱くなる。
やっぱり長のこと、大好きって思った。
でも長が我慢しているのがわかったから、僕は逃げようとするのをどうにか我慢した。
愛しいけれど、とても怖かった。涙がぼろぼろ溢れて、あんまり怖くてまたおもらししてしまった。でも長はそれすらも嬉しそうに笑んでいた。
やっぱり鬼はとても怖い。
でも……長のことは……グイン様のことは大好き。
噛まれるのは痛いし、食べられたら死んじゃうだろうってことはわかっているけど、もし食べられたらずっと長の一部になっていられるのかなとも考えてしまった。
だけど……身体だけ長と一緒でもだめだよね。
目が覚めたらリンドルの腕の中にいた。
「……?」
「ウイ様、大丈夫ですか?」
「だ、いじょ、ぶ……」
「喉、治しますね」
身体を軽々と持ち上げられて喉に口づけられた。そしてまた横抱きにされる。
「あまりにも目覚めなかったので心配しました」
「? 今って……?」
「夜中です。おなかはすいていませんか?」
僕はそっと自分の腹に触れてみた。いつのまにか前開きの裾が長い服を着せられていた。
「まだ、よくわかんない……」
「では身体に負担のないものを用意させましょう。粥を持て」
気を失って随分時間が経っていたのか頭がぼうっとしている。おかげで食べ物を運んでこられるまでずっとそのままでいた。アズがお盆を運んできた。お盆を載せる台のようなものが運ばれてきて、そこにお盆を載せられた。おいしそうな匂いがして、僕はやっと自分のおなかが空いていることに気づいた。
木でできたコップを受け取り、水をこくこくと飲む。そうしてやっと一息ついた。
「……リンドル、旦那さまは……?」
「長殿は反省中です。ずっと仕事に打ち込んでいらっしゃいます」
「……そう」
長に会いたいと思った。抱きしめてほしい。それと同時に、長を見るのが怖いとも思った。
もし僕が長を恐れているのがわかったら嫌だな。
「……リンドル」
「なんでしょう?」
「僕、旦那さまがすごく怖い」
「はい」
「でも……すごく好きなんだ……」
「はい」
「旦那さまは……旦那さまを怖がってる僕は……いや、かな?」
「そんなことはないでしょう。鬼は恐れられるものです。恐れられるのが当たり前なのですから」
「でも……」
そうなんだろうけど。
「旦那さまが怖いって、知られたくない……」
目の奥が熱くなってきた。泣いちゃだめだって思うのに、目が潤んできて困った。
「どうして”怖い”と知られたくないのですか?」
「だって……旦那さまに、嫌われたらやだ……」
ぽろりと涙がこぼれた。ここに来てから僕は泣いてばかりいる。抱かれて泣いて、気持ちが不安定になって泣いて、本当に情けない。リンドルはそんな僕を優しく抱きしめた。
「長殿がウイ様を嫌うことなどありえません。知っていますか? 鬼にとって噛むことは究極の愛情表現なのですよ。だからといってウイ様に怪我をさせたらウイ様はすぐに死んでしまいますから、長殿はとても我慢しています。どうして我慢していると思いますか?」
「……え……」
涙がぼろぼろこぼれて止まらない。
「ウイ様が愛しくてしかたないからですよ?」
「うぅ~……」
余計に泣いてしまった。
落ち着いてからまた水をもらい、お粥を食べた。それで少し気持ちが落ち着いてほっとした。
「きちんと食べられましたね」
「うん……ありがとう」
「礼には及びません。もう夜中ではありますが……ウイ様はこれからどうされたいですか?」
「……ええと……」
夜中だということはまた寝た方がいいと思う。でもどうしたいかと聞かれたら、一つしかなかった。でもこれを言うのはわがままじゃないかな? 僕はリンドルを窺った。
「……ウイ様、どうされたいかはきちんと口にされないとわかりませんよ?」
「う、うん……でも……」
「でももだってもだけどもありません。かわいいウイ様が腕の中にいるので私も限界なのです。希望がないということでしたら私がウイ様を抱きます」
「え、えええ?」
夜中なのに抱かれちゃうの? リンドルはいっぱい我慢していたらしい。でもその目は笑んでいるから。
「あの……旦那さまに会いたい」
「会うだけですか?」
「……抱いてほしい」
噛まれるのは怖いけど、やっぱり長のことが好きだから。
リンドルがはーっ、とため息を吐いた。
「なんでこんなにウイ様は愛らしいのか……やはりここまで連れてこないで私が攫うんだった……」
「リンドル?」
なんだかリンドルがとても不穏なことを言っている気がする。
するとスパーン! と襖が勢いよく開けられ、長がどすどすと足音を立てて入ってきた。仕事が終わったのだろうか。僕は嬉しくなった。
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そう言って長に掬い上げられた。僕は目を丸くした。
「……失礼しました。本当に鬼は地獄耳ですよねぇ……」
「ああ!? なんか言ったかっ!?」
「いえいえ。ウイ様は長殿に抱かれたいそうですよ」
そう言いながらリンドルはさっと部屋の隅に移動した。他の鬼たちが動いて襖を閉めたりといろいろいしているのはわかったが、僕はもう長しか見えなかった。
「旦那さまぁ」
「ったく、かわいい嫁だな……ウイは」
い、今……。
全身がカーッ! と熱くなる。
やっぱり長のこと、大好きって思った。
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