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2.”天使”になってしまった理由

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 僕の現在の夫は四人いる。(二度目の結婚だ)
 巨人族なので、夫たちはみな背が高いし体格もとてもいい。
 夫たちは巨人族の貴族の家の兄弟だった。全員が僕より年下である。
 巨人族は兄弟で妻一人を娶るということが多いらしい。それというのも、大概兄弟の好みの相手というのは一致することが多いし、巨人族の妻になる人というのは抱かれることに適した身体をしているのだそうだ。(これについては詳しく知らない)
 けれど夫たちは、何故か同じ巨人族でなく人族の妻を求めていたらしい。けれど普通に人族の妻を迎えたら、そのイチモツの大きさで相手を壊してしまうかもしれないと考えた。だからそんな相手は現れないかもしれないが、人族の経産夫を探していたのだという。
 経産夫であれば尻穴が多少は緩くなっていると思ったのだろう。
 それを聞いて笑ってしまったのは内緒だ。
 僕は間違いなく経産夫だったし、国から離れたかった。
 だからその縁談に跳び付いてしまったのである。
 でも僕には離婚した以外にも秘密があった。
 僕は童貞だった。
 僕の実家はそれなりにお金があるので、年頃になってからは高級娼夫を呼んでもらえた。けれど僕はどうしてもそのキレイな娼夫相手に勃たなかったのである。どうしてもえっちができない僕に、娼夫は優しかった。自分のことが好みではなかったのかもしれないからと、他の娼夫に代わろうと言ってくれさえした。
 でもそれは申し訳ないと思ったから、口裏を合わせてもらうようその娼夫に頼んだ。

「今はいいけど、30歳なんてきっとあっという間だからね。早めにどこかで童貞を捨てておくんだよ? 困ったら相談して?」

 と娼夫は親身になって話を聞いてくれた。まだその時僕は若かったから、全く実感がわかなかった。
 でも元夫であるトラッシュと結婚した時、僕はもう28歳になっていた。
 もし、子どもを産んでも離婚しないでくれたら……童貞をこっそり捨てに行こうと思っていた。
 結果は、推して知るべしだったけど。
 それで投げやりになっていたのは間違いない。
 巨人族の国に来たら、ますます僕が童貞を捨てる機会はなくなった。
 巨人族は結婚すると妻を一切表へは出さないのだという。
 夫たちのイチモツを受け入れるのはたいへんだったけど、夫たちはいつも丁寧に抱いてくれていたから耐えられた。夫たちはとても優しくて、だから童貞でいることが申し訳なくなった。
 この世界の者は、童貞のまま30歳を迎えると”天使”という存在になる。
 それがどういう存在かというと、定期的に身体の奥に精液を注いでもらわないと死んでしまうのだそうだ。それに怪我や疲れなどに弱い。ちょっとでも傷ついて放置しておけばすぐに死んでしまう。そんな厄介な存在なのだという。
 けれどどういうわけか尻穴だけはどんなにでかいイチモツを受け入れても、ありえない程拡げられても傷つくことなく、かえって刺激されるとものすごく感じるようになるらしい。ただし子を産むことはできなくなる。
”天使”というのは、身体が極端に弱い娼夫のような存在だと僕は思っていた。
 だから、そんな者になる前に死んでしまおうと思ったのだが、何故か誕生日の二日前に”天使”になってしまった。
 どういうことなのかと僕は自分の身体の反応に戸惑った。
 僕の親はそそっかしい人たちだから、もしかしたら僕の誕生日を間違えて覚えてそのままにしておいたのかもしれない。それによって童貞であったことと”天使”になってしまったことが、夫たちにバレてしまったのである。
 それも、発覚したのは夫の一人である一番年上の林偉明リンウェイミンに抱かれている最中だった。
 偉明のイチモツは彼ら兄弟の中でも一番太くて硬い。だからいっぱい尻穴を慣らしてもらって、そっと入れてもらっていた。夫たちはとても優しい。でも僕は、経産夫とはいっても巨人族のイチモツを簡単に受け入れられるほど尻穴が拡がっているわけではなかったから、いつもすごく時間をかけて尻穴を慣らしてもらってやっと夫たちのイチモツを受け入れていた。
 こんな僕を夫たちはかわいいと言う。
 夫たちは黒髪黒目でみなとてもかっこいい容姿をしていて、僕と並んで立つとまるで大人と子どものようだ。僕の頭のてっぺんが偉明の腰より少し上というぐらいだったから、どれだけ僕の夫たちは足が長いのだろう。
 それはともかくそんな体格差で抱かれているから、どんなに優しくされていてもつらいことはつらかった。でも抱かれている間はおちんちんをしごかれているから、それなりに身体の力も抜けるし気持ちよくも感じるようになっていた。
 ずっとこのままで、いられればいいのにと思った。
 だけど”天使”になったら夫たちは僕を疎むようになるだろう。それならいっそ、誕生日前に死んでしまえば……と思っていたのに、抱かれている時に”天使”なってしまったからとても逃げることはできなかった。
 しかも偉明は、

「リューイが天使になってくれてよかった。このままではリューイを壊してしまいそうであったからな……」

 とまで言っていた。

「あっ、あっ、それっ、て……」

 僕が天使になってしまったから、子は絶対に生まれなくなってしまったのにどうするのだろうか。

「愛しいそなたを壊さずにすんだのは僥倖だ。リューイ、愛している……」
「あっ、ああっ、ああっ、あぁあーんっ……!」

 あんなにきつかった中がほころんで、偉明のイチモツに絡みついているみたいだった。偉明は僕の様子を見ながらゆるゆると腰を動かし始めた。

「やぁあっ、なん、で……あぁんっ、あんっ、あんっ!」

 気持ち、いいよぉ。
 こんなにイチモツを入れられて気持ちいいと思ったのは初めてだった。妊娠中だって、それほど大きくない元夫のイチモツでも痛みを感じることがあったというのに(元夫は僕を優しく抱いてくれたことはなかった)、今は気持ちよさしかない。

「ああっ……こわ、い……こわい、よぉっ……!」
「大丈夫だ。そなたを今抱いているのは誰だ?」

 涙とよだれで汚れているだろう顔を覗き込まれて恥ずかしさを感じた。身体がぐずぐずに溶けてしまいそうな快感で、僕は偉明に縋りつく。

「だ、旦那、さまぁ……」
「そうだ。そなたの夫がそなたを抱いているのだ。怖がることなどない。素直に感じるがいい」
「あっ、あっ、あっ、ああーーーーっっ!?」

 僕は初めて、おちんちんを刺激されないまま夫のイチモツから与えられる快感だけでイッてしまったのだった。
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