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パラサイト

学者の恋2

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  私が、彼女の…
  若葉(わかば)雅苗(かなえ)の立場ならどうするだろう?

  私は、想像するのが難しい事柄を前にして、少し強めのコーヒーを口にする。
  恋をしなかった分けではないが、
  相手に好き勝手をされてまで人間に執着する性格ではない私は、何か別のモデルで思考するしかない。

  何年でも、その事の為に頑張れると言うなら、私の場合、研究だ。

  好きな課題の研究のためなら、入れ込んだら、きっと、金とか、時間とか、みんなつぎ込むかもしれない…。
  そう考えて、私は、かすかに頭の隅をかすめた考えに恐ろしさを感じる。

  まさか…

  嫌な考えが、私の頭を、部屋を支配して行く。

  コーヒーを飲んでクールダウンし、一度、別の事を考える事にした。
  
  そう、研究と言えば、あのショクダイオオコンニャクについてレポートがない事だ。

  これは違和感があった。
  ファイルやレポートを見る限り、雅苗(かなえ)と言う女性は几帳面で、思考の整理に紙を使うタイプに思えた。

  もし、夫婦関係に悩んでいたとしたら、文字として問題を書き起こし、解決策を考えるタイプに違いない。
  
  と、するなら、この二つに関わる書類やデーターは、何処かに隠してある可能性もある。

  私は、10畳程の書斎を見回した。

  隠すと言っても、恥ずかしいから見えないようにしているだけで、いつでも記録できるように、簡単に取り出せるところに置いてある気がする。
  
  特に、失踪した日は、ショクダイオオコンニャクが開花した日だ。

  それについて、レポートをとらないなんて、あり得るだろうか?

  いや、それはない。

  ローカル局が交渉に来た事からも、職場でも話題になる事を想定していただろう。

  そうであるなら、やはり、画像や大きさなど、ギリギリまで記録に残そうとしたはずだ。

  と、ここで私は大変な事を忘れていた事に気がついた。

  そう、溶生。
  仮に本当に夫婦仲が悪かったとして、いくら絶滅危惧種でも、のんびり観察をするなんて、
  あり得るわけがない。

  はぁー。

  私は、朴念仁(ほくねんじん)の自己中男の自分を自覚して倒れそうになる。

  だ、ダメだ。落ち着け自分。

  研究と恋愛は動議ではない!

  コーヒーを飲んだ。

 
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