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6章【未熟な社畜は悩みました】
37 *
しおりを挟む顔を背けたカワイを、至近距離で見つめる。
「こんなことしてるのに、キスは駄目なの?」
「してる、けど。でも、キスはだめ……」
「どうして?」
「あ、っ。体、揺さ振っちゃダメ……っ」
しっかり感じているし、俺に対して嫌悪のようなものは抱いていないはず。
それなのに、キスは拒否するなんて。不可解な言動に対して追及すると、カワイはどこか観念したかのような態度で答えた。
「──キスは、ヒトの意識がハッキリしてるときにしたい。だから、今はだめ……」
なるほど、そういうことか。納得すると同時に、俺は心の中で唱えてしまう。
──ごめん。その発言は、不謹慎ながらメチャメチャ興奮する。……と。
しかし、カワイの主張は尊重したい。俺は頷き、カワイの尻尾の先にキスをした。
「じゃあ、唇にするキスは、また今度。俺がお酒を飲んでいないときに、ね」
「う、ん。それなら、いい。それなら、キスしたい」
そう素直に『キスしたい』と言われると、今すぐにでもしたくなってしまうけど。……でも、我慢だ。カワイが嫌がることはしたくない。
それでも、生まれた欲望は素直なものなのだ。なので折衷案として、俺はカワイの尻尾を存分に可愛がる。こっちは駄目じゃないみたいだからね。
「は、っ、う……っ」
腰は止めずに、尻尾への愛撫をプラス。カワイの華奢な体が、さっきよりもビクビクと震えている気がする。
もしかしてカワイ、そろそろイキそうなのかな。もしもそうなら、とても嬉しい。
「カワイ、ココと尻尾……どっちも気持ちいい?」
「きもち、いぃ。ヒト、えっちが上手……」
「そう言われると、ますます頑張りたくなっちゃうな」
「ん、っ。歯は、立てちゃ……ん、んっ」
尻尾を甘噛みすると、カワイが可愛い反応を返してくれた。そんな反応を見せられると、今以上に逸物が勃起しそうだ。
さて、そろそろ俺としては限界が近いのだが。おそらく、カワイも同じだろう。さっきからチラチラと、どこか強請るような瞳でカワイが俺を見ているのだから。
「そろそろ出そうだよ、カワイ。このまま、カワイのお腹にかけてもいい?」
「ん、いいよ……」
「ありがとう。優しいね」
許可を得たので、早速……。俺はカワイの服を捲って、お腹を露出させた。
再度カワイの太腿に俺の逸物を擦りつけると、濡れた音が鳴る。十中八九、俺の逸物から出た先走りの液だろう。それがカワイの太腿を濡らしているのだと思うと、これもこれで興奮する。
結論。カワイの全部に、興奮している。俺はカワイの額に、俺の額をコツンと重ね合わせた。
「カワイ、そろそろ出すね」
「ヒト、ボクも、もう……ん、ッ」
打ち明け合って、すぐ。俺はカワイのお腹に、精子をぶちまけた。
それを受けてなのか、たまたまなのか。カワイは声を押し殺しながら、俺と同じく絶頂を迎えた。
「は、ぅ。……ん、ぅ、っ」
堪えきれない声が、吐息と共に零れている。逸物から白濁とした液を出すカワイを見て、俺は絶頂の余韻に浸りつつ考えてしまう。
今さらだけど、悪魔も人間と同じ絶頂の迎え方をするのだな。……なんて。あまりに、ノンデリ極まりないことを。
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