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六本の糸~プログラム編~

70.因縁

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 ドームの向こう側。火星方面で不思議な影が見られた。

 観測用の衛星から画像が届いて軍本部は深夜にも関わらず慌ただしかった。



「ゼウス共和国方面で動きがありました。」


 ドーム外の観測をする一室でモニターを前にし、数人の軍人が顔を顰めていた。



 集まっている軍人の年齢は低く一番年上でも30代前半だった。

 彼らの中で一番権限を持つ、年齢詐称して実は10代後半の中佐と、詐称していない10代後半の大尉は他の軍人の注目を集めていた。



「・・・・作戦はもう立てている。手を打つなら早い方がいい。」

 若い中佐、ロッド中佐もといクロスは確認するように横のニシハラ大尉、ハクトを見た。



「本格的な始動がされる前に動くべきですね。戦線を張らないと市民の避難が叶わなくなります。」

 ハクトは頷いた。



「お前もそう判断するなら間違いないな。・・・・というわけだ。諸君は作戦を開始しても大丈夫か?」

 クロスは他の軍人を見渡した。

 他の軍人は緊張した面持ちでクロスとハクトを見ていた。



「・・・・自分たちは・・・・お二人についていきます。」

 頷きはしなかったが、彼らは瞬きをせず、じっと二人を見ていた。



 その様子をみてクロスは口角をあげた。

「・・・・ニシハラ大尉。戦線を張るのに最初は二人で出よう。」

 クロスは指を二つ立てて言った。



「承知しました。ロッド中佐。」

 ハクトは口調とは裏腹に敬意を感じさせない不敵な笑みをした。



「ニシハラ大尉・・・・何か文句でも?」



「まさか。自分はあなたの判断が正しいことを知っています。」



 その言葉にクロスは笑った。



「やっぱり俺が必要だ。」

 ハクトは笑顔のまま呟いた。



「調子に乗るな。」

 クロスはそう言うとハクトに拳を向けた。



 ハクトはクロスに目を合わせて頷き、拳を軽く合わせた。



「これより、防衛作戦を開始する。」

「作戦のメンバーは中佐と自分に続け。」



 クロスとハクトは軍帽を被り歩き出した。



「は!!」

 二人に倣うように他の軍人も軍帽を被り後ろを歩いた。








 

 用意された船は設備が整っており、輸送船というよりは戦艦であった。

「おおー・・・・戦艦だな。」

 キースは船を見て笑った。



「安全に降りるということを考えると妥当だな。」

 ディアはそう言うとちらりと別の船を見た。



「あれ、ネイトラルの船ね。・・・・余計なこと考えない方がいいわよ。ディア。」

 レイラはディアが見た船を見て溜息をついた。



「お前が危惧していることはない。あの船にお偉いさんを乗せるだろ。そちらの国のもだ。別の護衛艦が必要かと考えただけだ。」

 ディアは首を振った。



「そうですね。こちらの船が降りる場所を感知されたくないですからね。」

 カワカミ博士は頷いて、キースをチラリと見た。



「へいへい・・・・ちょっと聞いてくるわ。」

 キースは仕方なさそうに肩をすくめて港にいる軍人に話しかけた。



「・・・・戦艦が少なくなっているわね。」

 イジーが何かに気付いたように呟いた。



「そうなのか?普段通りだと思うが。」

 ディアは不思議そうに言った。



「私は出入りする船の表を見たりしていたから分かるんですけど、この港には常に動ける戦艦がいくつか置かれているんですよ。専用の戦艦とかはありますけど、基本的に置かれている戦艦から順に出て行って、それを補充する形で倉庫から戦艦を追加するんです。私たちが充てられたものも、今港にある戦艦もいつも置いているものよりも倉庫の奥にあるものです。」

 イジーは惜しげもなく内部事情を暴露した。



「管理している側か、常に港を見ているものしかわからないことだな。」

 シンタロウは感心していた。



「戦艦が結構な数出払っているってことね・・・・」

 レイラが呟きながら眉を顰めた。



「おーい。他の船の警護についてだけど・・・・戦艦はもう出せないって・・・」

 戻ってきたキースは皆の様子を見て怪訝そうな顔をした。



「どうした?」



「いえ・・・・戦艦が出払っているってことで・・・・」

 コウヤは遠慮しながら言った。戦艦が出払うことはどのような状況だかわかっているからだ。



「・・・・ああ、そっか、イジーちゃんは管理する側だったな・・・・」

 キースはイジーの様子を見て納得したような顔をした。キースも戦艦が出払っているのは気付いていた様だ。

「・・・・じゃあ、やっぱり・・・・」

「ああ、ロッド中佐とニシハラ大尉をはじめとした作戦部隊が早朝に出た。交代制だから、俺らが出たぐらいにニシハラ大尉が戻ってくるらしい。」

 キースは隠すことなく言った。



 コウヤは何も知らないことと把握していないことに寂しさを感じた。どうしようもないものだが、仕方ない。



「・・・・あの二人が一緒なら大丈夫よ。」

 レイラはすがすがしい表情をしていた。



「全くだ。お前が心配するまでもないぞ。コウ」

 ディアもレイラに同調した。



「・・・・そうだよな・・・あの二人なら・・・・・相性はよくないけど馬鹿じゃないし」

 心配というよりも寂しかったが、二人の顔を見ていると寂しさも薄れた。



「いや、バカだろ。」

 話を聞いていたジューロクが聞こえないように呟いた。だが、聞こえていた。



 ユイが何かを思い出したようにコウヤの方を振り向いた。

「クロスとハクトといえばね、さっきね。兵士の女性たちが話すの聞いていたんだけど・・・



 あの二人デキているって本当?」



 キースは青い顔をしていた。イジーは口を押えていた。シンタロウは顔を伏せていた。

 レイラとディアの顔には感情が無かった。










「天」からゼウス共和国の中間空域では、数台の戦艦が間隔を開けて配置されていた。

 その中の中心位置にあたる戦艦内部で

「目標位置に戦艦配備しました。」

 作戦のオペレータの兵士が艦長の席に座るクロスに言った。

「ご苦労。ニシハラ大尉の率いるドール部隊は?」

『こちらは定位置に着きました。搭載されているプログラム起動はいつでも大丈夫です。』

 通信の向こうからハクトが答えた。

「わかった。起動始めの安定しない間は、私がプログラム内に入り、あわよくばゼウス共和国を偵察する。」



『それはだめです。無理はしないでください。』

 クロスの提案をハクトは却下した。



「無理はしない。安定したら連絡する。それまで、いや、その後も守りは頼む。」

『お任せを。』

 ハクトとの通信を終えると、クロスはオペレータの兵士の方を見た。



「作戦開始だ。プログラム起動たのむ。」

 手短に命令するとすぐに椅子に寄りかかった。

「は!!起動します。」

 オペレータは返事をすると何やら操作を始めた。



 宇宙に並ぶ戦艦が何やら震えていた。

「無理するなよ。」

 ハクトは繋がっていないが、クロスに呟いた。



『無理をしないでどうする?』

 クロスが応えた。

 それをきき、ハクトは笑った。

「ロッド中佐はプログラム内に侵入した。安定するまで戦艦を守るぞ。」

 ハクトは他の兵士に言った。



『はい!!』








『・・・・・皮肉なものだ。こういう形で頼るとは・・・・・』

 クロスは白い世界にいた。その中で認識できる存在を見た。

 あやふやな形をしているが、確かにそれはいた。



『・・・・あなたの言った通りでしたよ。』

 クロスの言葉にそれは無言だった。

『どういう経緯でプログラム内にいるのか知らないし、気にしなくていいと思うが・・・・情報が役に立った。』



『・・・・・』



『罪滅ぼしなのか知らないし、赦すつもりもない。・・・・だが、借りに思ってもいないです。』



『・・・・当然だ。』

 それはクロスに答えた。



『・・・・・だが、礼だけは言わないといけないのかもしれないですね。・・・ありがとうございます。』

 クロスは曖昧な存在に言った。



『研究施設の別の入り口を教えただけだ。礼を言うなら生きているうちに言って欲しかった。』



『贅沢ものですね。あなたは僕から大切な者を奪った。』



『だが、私の情報で大切な者を助けれたのだろう?』



『黙れ、お前のせいでこうなったんだ。』

 クロスは彼の言葉を叩き切った。



『タダでは死なん。タナ・リードに世界を乗っ取られるのは気に食わない。』



『そんなところだと思いましたよ。あなたに人の情はないですからね。』

 そう言うとクロスは彼を通り過ぎた。



『無理をするなとあのニシハラ大尉に言われなかったか?』

 彼は進もうとするクロスを止めるように話しかけた。



『妨害電波の近くに思いがけない奴がいたんです。ゼウス共和国側に潜り込んで偵察するのは普通に考えられることでは?』

 クロスは煩わしそうに彼を見た。そして、再び進み始めた。



『・・・・・一時は夢見ていたさ。』

 彼はおもむろに呟き始めた。



『・・・・』



『愛する女性と、子供たちに囲まれて暮らすことも・・・・・だが、それを望むには私は力を持ちすぎた。』



『・・・・あなたのおかげでレイラや、みんなに出会えた。』

 クロスは振り向いて彼を見た。



『それだけは、感謝している。』









 

「ネイトラルの船の護衛艦についてだが、地球降下地点でネイトラルの船を待機させてつかせてもらう。連絡も『天』で済んでいるが、大丈夫か?」

 ディアはキースの方を見た。



「俺に訊くのか。」

 キースはあたりを見渡した。



「私はハクトとクロスが居てもハンプス少佐に訊くだろうな。」

「へいへい。評価してもらうのはありがたい。それに、確定事項だろ?連絡した後で言うなんて強硬すぎるな。」

 キースは首をひねった。



「手間を省いた。どうせこれ以外の最善は無い。少佐どのだって忙しかっただろ?」

 ディアはキースを見てなにやら怪しい笑い方をした。



「忙しいね・・・・・暇だぜ?」



「そうか?ジューロクとラッシュ博士どのと仲良さそうに話していたが、何を企んでいる?」

 ディアはキースを分析するように見た。



「はは、おともだちだよ。彼らは年上だから勉強になるんだ。」

 キースはディアの視線を気にすることなく笑った。



「おともだちか・・・・・ラッシュ博士から勉強できることなど知識以外であるのか?」

 ディアはどうやらラッシュ博士に対して周りが思っている以上にいい感情を持っていないようだ。考えてみると当然だ。彼女はハクトを実験台としていたのだから。



「まあ、二人からはゼウス共和国の話とか、昔の話とか聞いている。俺はある作戦に出ていたもんでね、その時の犠牲の理由が知りたいのさ。」

 キースは真顔になった。



「噂には聞いている。殲滅作戦だったな。話を聞く限り無駄な作戦だ。あの作戦の責任者だったレイモンド・ウィンクラー大将はあまりの犠牲の大きさに本部から飛ばされて今に至ると聞く。」

 ディアは作戦の概要を知っているようで顔を顰めた。



「ま、そうだな。」

 キースは表情を一変させて笑った。



「敵わんね。やっぱり元総裁どのには」

 そう言うと歩き出し



「護衛艦の件、いいと思う。お気遣いありがとな。」

 と言いその場を去って行った。



「・・・・・敵わないのはこっちだ・・・・何を考えているのか・・・・」

 ディアは去っていくキースの背中を見て、苦笑した。







 

 白い光の中、ある方向に気になる歪みがあった。

『・・・・・あれは・・・・?』

『お前は、なぜ私がいるのかわからないと言ったな。』

 クロスの後ろにまだ彼がいた。



『あなたとの話は終わった。それに、気にしている場合ではない。』

 クロスは彼を突き放した。



『そうか?その理由を聞いてもか?』



『理由・・・・?カワカミ博士が把握していないことか?』



『そうだ。おそらくこれは死者の意識を復活させようとしたムラサメ博士が死んでからプログラムを変化させていったのだろう。』

 彼は片頬を吊り上げて皮肉そうに言った。



『あなたが命を奪ったもののおかげでこうやって意識が存在していられるわけですか・・・・皮肉だ。』

 クロスは彼と同じように片頬を吊り上げて皮肉そうに笑った。



『そうだ。これはドールプログラムに意識があったことで成長した。いや、求めていたものに対する進化だ。開発者も意図しないものだ。復讐に熱中するムラサメ博士自身も気付いていないだろう。こんなに巨大になってしまったのにな。』

 彼はそう言うと辺りの白い光を見渡した。



『時間がない。何が言いたいのです?』

 クロスは結論が出てさらに無駄話をしていると思っているのか、彼を睨んだ。



『ドールプログラムは死者の意識を吸収する。』



『!?』

 彼の言葉にクロスは目を見開いた。



『まあ、全てかわからんが・・・・プログラムが作動している近くで死んだ者ならその対象だと考えてもいい。私もドール戦が行われている付近で死んだ。お前に殺されたのもあるのかもしれないな。』

 彼は物騒なことを話しているが、愉快そうだった。



『・・・・あなたを殺したのは間違いだったとでも?』



『まさか?そんなこと考えるようなタマではないだろ?私も、お前も。だが、この事実はお前たちの戦いに大いに役立つだろう。・・・・そうだ、もう戻った方がいいのでは?』

 彼はクロスに引き返すように促した。



『・・・・引き止められたわけですか。・・・・・これは借りと思えと?』

 クロスはあたりを見渡し、自嘲的に笑った。



『私がお前に貸しを作ることは永遠にできない。たとえ殺されてもだ。』



『そうでしょうね。・・・ユッタによろしく伝えてください。』

 クロスはそう言うと彼の前から消え始めた。



『・・・・・お前から伝えることは考えないのか?可能だろ?』

 彼は消えかけているクロスに訊いた。



『わかってるはずですよ。僕は・・・私は止まることは出来ない。彼女に顔を合わせれる人間ではない。』

 そう言うとクロスを見つめた。



『ならば、わかるはずだ。お前が行こうとしている道は・・・私と同じ道にいずれかかる。』



『今更ですね。別にあなたになりたいわけではないです。私は・・・・』



『お前の作り上げた存在はいずれ大きくなり、お前も手が付けられなくなる・・・捨てるのは無責任だと思わないのか?』



『はっ・・・あなたが言いますか?僕に死ぬなと言うのですか?』



『私を見ろ。私の作り上げた存在が、私が捨てた存在が・・・手が付けられなくなり、私は死んだ。』



『腑に落ちない点があった。あなたは・・・「天」襲撃の後・・・僕が死んだと他に伝えたと聞いた。それは・・・本当か?そして、それは何で・・・』



『お前は、その答が聞きたくないはずだ。・・・さあ、行け。』

 彼はクロスを払うようにした。



『・・・・そうですね。今更どうしようもないものだ。』

 クロスは口元を歪めて呟きながら消えた。



『・・・・お前がユッタに会いたくなかった心理は、私がお前らを迎えに行かなかったものと同じだよ。』

 彼はそう言うとクロスと同じように消えた。








「はっ・・・・・はあ・・・」

 クロスは戦艦の椅子の上で目を覚ました。



「中佐!!」



 クロスが目を覚ましたのを見て兵士たちは安心したような表情なった。



「・・・・プログラムに乱れはなかった。戦艦から脱出し、ドールでの作戦に移動する。」

 クロスはそう言うと通信を繋げた。



「聞こえるか?ニシハラ大尉。」

 クロスの問いに

『当然ですけど、ご無事でしたか。』

 と軽口を交えて回答をした。



「・・・・多少の助けもあった。」



『助け?』



「・・・・・作戦に多少の変更を加えてもいいか?」

 クロスは躊躇いながら提案した。



『何ですか?』

 ハクトはクロスの声色が変わったことが気になるようで、声に慎重さが出ていた。



「お前がいったん撤退だったが、私の方を撤退させてもらえないか?」

『・・・・・無理をしたのですか?』

「いや、ただ、思いのほか疲れた。ドール操作することに支障が出る・・・・」

 クロスは珍しく弱気な口調だった。



『変更は勿論大丈夫です。』

「すまない。」

『休んでください。』

 ハクトは心からクロスを心配しているようだった。



「・・・・作戦移動頼む。私たちは一時撤退する。数時間後の交代の時に会おう。」

 クロスはそう言うと通信を切って椅子から立ち上がった。



「ドール隊の邪魔にならないように撤退だ。ただし、各々気を抜くな。」

「は!!」

 クロスの言葉に兵士たちは返事をした。



 兵士たちの様子を見てクロスは安心した表情になり、椅子に再び座った。ただし、沈みこむように座った。

「・・・・あの、中佐・・・・大丈夫ですか?」

 一人の兵士が心配そうにクロスの方を見た。



「ああ、少し疲れただけだ。普段使わない能力を使った。慣れないことをするとそうなる。」

 クロスは何でもないような表情を作った。



「でも、汗がすごいですよ・・・・」

 兵士の指摘通り、クロスは冷や汗なのか滝のような汗をかいていた。

「ああ、気付かなかった。・・・・代謝がいいのだな。」

 クロスは愉快そうに笑った。



「そこまでの負担を中佐に・・・・」

 兵士はもう自分の無力感を責めているのか悔しそうな顔をした。



「そこまでの負担はない。安心しろ。・・・・私が行かなくても大丈夫だったしな。」

 クロスは最後の部分は聞こえないように呟いた。



 







『間もなく地球降下に入ります。揺れにご注意ください。』

 艦内放送が入った。どうやら地球圏に降りるところまで来たらしい。



「降りるのは初めてか?」

 ディアが心配そうにコウヤを見下ろしていた。

「ディア・・・・そうだけど。馬鹿にしているのか?」

「まさか・・・・・」

 ディアはコウヤの横に腰を下ろした。



「ディアもレイラもすごいと思う。」

 コウヤは素直に褒めた。



「今更だな。私に関しては当然だが、レイラの成長は驚いた。」

 ディアは感心していた。



「それは、バカにしているのかしら?」

 レイラが歩いてきた。



「まさか。おつむが軽かった時を知っているからだ。」

「バカにしているわね。」

 レイラはため息をついた。



「私は?私は?」

 レイラの後を追いかける形でユイが走ってきた。

「あーすごいすごい」

 レイラが馬鹿にしたように笑った。



 その様子をコウヤは微笑んで見た。

「・・・・ディアもレイラも、ユイもハクトもクロスも・・・・アリアもシンタロウもみんな戦ってきたんだよな・・・・・なのに俺はって最近考えるんだ。」

 コウヤは思っていることを呟いた。



「・・・・コウ・・・・?」

 ユイは考えたこともいないことだったようで驚いた顔をしていた。

「・・・・馬鹿らしい。」

 ディアは呆れた顔をした。

「同感よ。最近はディアと意見が合うわね。」

 レイラも頷き呆れた顔をした。



「二人はそう言うかもしれないけど・・・・役割を与えられて初めて今まで自分が何もしてかなかったって・・・・」



「ふざけないで!!」

 レイラは怒鳴った。

「あんたが何もしていない?あんたが何もしなかったらハクトは研究ドームのまま、いや、もしかしたら私がハクトを殺していたかもしれない。ユイだってここにいないかもしれない。それなのに何もしていない?馬鹿にするのもいい加減して。」

 レイラは勢いよく立ち上がり、コウヤの前に立って怒鳴っていた。



「そうだ。レイラの言う通りだ。私たちを馬鹿にするのにもほどがある。」

 ディアは頷き、静かに怒っていた。



「コウは何もわかっていないよ。コウが生きていた。それだけで私は耐えれた。」

 ユイはそう言うとコウヤに微笑んだ。



「私の言った「かもしれない」が・・・・・あんたが居なかったら「かもしれない」じゃなかったのよ。」

 レイラは息を落ち着かせてコウヤを見下ろしていた。



「私も・・・・第6ドームで殺されていたか、捕えられていただろう。お前が私とハクトを再び引き合わせた。」

 ディアは静かに言った。



「あんたが居なかったら最悪の事態なの。・・・・・親友の6人が崩壊していた。」

 レイラは何か恐ろしいことを想像したようで、身震いした。



 レイラの寒気が伝わったのか、ディアとユイも頷いた。



「私たちにとって、コウはとても大きな存在なの。それに、コウがあの時私を庇わなかったら私はフィーネの砲撃で死んでいた。それも何もしなかったって言うの?」

 ユイは優しく、だが、責めるように言った。



「・・・・・ごめん・・・・みんな。」

 コウヤは自分が自分のことしか考えていないことに気付いた。



「あんたは誰が何をやったに対し、自分のやったことしか比べていない。あんたがやったことで救われた人がいる。でも、やったことしか考えていない。立場の問題もあるけど、あんたは救うことをしている。私は壊すことしかしていない。」

 レイラはそう言うと寂しそうに笑った。



「・・・・・私も・・・・おそらくクロスもハクトも同じことを考えている。」

 付け加えるように言うと、レイラは元居た場所に座った。



「責めるように言っちゃったけど、コウが何もしていないと考えるのは違う。私はそんな風に考えて欲しくない。私を助けてくれたことも何もしなかったの?そんなのは悲しい。」

 今度はユイが立ち上がり、コウヤの前に立った。



「ユイ・・・・」



「確かに皆すごいから負い目を感じるのは分かる。けど、それでも自分の行動を何もしなかったって評価しないで。」

 ユイはそう言うとコウヤの前にかがみこみ、手を握った。



 レイラとディアはその様子を見てニヤリと笑い、立ち上がった。



「あー真面目に怒って馬鹿みたいだった。」

 レイラは気の抜けた様子で歩いた。その後をディアが歩き。

「あとはそこでイチャイチャしたまえ。」

 とレイラ同様気の抜けた様子で手をひらひらし言った。



「ちょっと・・・・馬鹿って・・・・」

 コウヤは顔を真っ赤にした。



「いいじゃん。馬鹿で。」

 ユイは笑って言った。

「私たちは馬鹿だよ。」



 艦内は変わらず揺れている。

「お前等大丈夫か?その・・・座らなくて・・・」

 コウヤは歩き去るディアとレイラに言った。



「平気よ。あんたと違って何度も降りているから。」

「同じくだ。イチャイチャが落ち着いたら戻ってくる。」

 二人は少し苛立たしげにコウヤ達を見て言った。





 4人の様子を覗き込んでいたキースとシンタロウは苦笑いをしていた。

「コウヤの無力感のカバーは・・・俺たちが何を言ってもあのメンツには敵わないな。」

 キースが笑顔で言うのに

「あそこ女性陣は強烈ですからね。」

 シンタロウは強く頷いた。









 レイモンド・ウィンクラー大将が所有する隠しドームのある一室で機械とにらめっこする青年がいた。

「ドールの操作と同じです。この機能だけ利用すると・・・・ほら、動かしてください。」

 マックスはコードが沢山繋がった端末をいじっていた。

 マックスがいじる端末のコードの先は、レスリーの腕につけられた機械に繋がっていた。



 機械は腕の形を模しているのだろう。ただ、手首、肘の関節は再現できても手のひらはグローブの様に親指とその他で別れていた。

「・・・・・くっ・・・」

 レスリーは顔を顰めて付けられている機械を見た。

 機械の手のひらは動き、グーとパーの動きができた。



「動いた!!動きましたよ!!!」

 マックスは大喜びで飛び上がった。



「・・・・本当だ。短時間でここまでのことを・・・・すごいな。」

 レスリーの誉め言葉にマックスは頭を掻きながら照れた。



「いえいえ・・・えへへへ・・・そんなあ・・・・俺はただ、レスリーさんの役に立ちたいだけですよ。」

 はしゃぐマックスを見てカカとリオは



「あいつきもいな。」

「そうだな。うちの総裁に匹敵するな。」

 と陰口をたたいていた。



「休まなくていいのか?マックス。」

 モーガンが部屋に入ってきた。



「モーガン!!俺お前よりずっと年上だから。それより見ろ見ろ!!」

 マックスは呼び捨て、タメ口のモーガンに文句を言いながらもモーガンの袖を引っ張り、機械を付けたレスリーのところに引っ張っていった。



「これは・・・?もしかして義手!?」

「ふふふ・・・・見てみろよ。・・・レスリーさん!!」

 マックスは得意げに笑いレスリーに言った。



「はいはい・・・っと」

 レスリーはさっきやった通りに手を動かした。

 動いた手を見てモーガンは



「うおおおおおお!!!すげー!!!」

「だろだろ!!!」

 モーガンとマックスは二人で盛り上がっていた。



「盛り上がっているところ大丈夫か?」

 テイリーが部屋に入ってきた。



「総裁。働かなくていいんですか?」

「穀潰しになりますよ。」

 リオとカカはテイリーに目上とは思えない口を聞いた。



「うるさい・・・・仕事で来たんだ。」

 テイリーはあたりを見渡して



「いないのは・・・リリーちゃんだけだ。」



「総裁。親しくない年下の女の子ちゃん付けとか気持ち悪いです。」

「大人はさん付けですよ」

 リオとカカはいちいちテイリーに突っかかる。



「・・・・とにかく連絡だ。地球に総裁達が降りてきた。」

 テイリーは嬉しそうに言った。



「元総裁だろ?総裁さん。」

 レスリーはそう言うと腕に機械を付けたまま立ち上がった。



「マックスとリオとカカ。これから忙しくなりそうだ。」

 レスリーはそう言うと顔の傷を気にしないで髪を掻き上げた。



「降りてきたのって誰?」

 モーガンは首を傾げていた。



「ああ、えっと総裁と・・・・コウヤ君、レイラ・ヘッセ、ユイ・カワカミ、敵方の博士一人とソフィ・リードとその父親タナ・リード元少将、ハンプス少佐、カワカミ博士、イジー・ルーカス中尉、シンタロウ・コウノ、あとなんか男一人って聞いている。」

 テイリーは指を折り、数えながら言った。



「タナ・リード元少将をお前は知っている世代なんだな。」

 レスリーは感心していた。



「ああ、彼の行方不明前に軍に入っていたからな。」

 テイリーは淡々と答えた。



「ロッド中佐とニシハラ大尉は?」

 モーガンは不安そうな顔をしていた。



「あの二人なら宙に残って防衛作戦に出ている。・・・・ニシハラ大尉は地球に下ろすつもりだったみたいだが、押し切られたのか。」

 レスリーはそう言うとクスリと笑った。



「・・・・とにかく、彼らのサポートをするようにとのことだ。・・・・あと、モーガン君。」

「え!?」

 テイリーに急に呼ばれ、モーガンは間抜けな声を上げた。



「なにやら君に話があると言っていた。」

 テイリーも詳しくは聞いていないらしく、首を傾げながら言った。









 長く不安定な揺れが収まり、艦内は落ち着き始めた。

 しばらくすると床に緩やかな衝撃が走った。

『大気圏を無事突破しました。ただいま海に着水しました。操作の設定を変更するのでしばらく止まります。』

 艦内放送が響いて、乗客や船員は安心したような話し声やらが聞こえてきた。



「これで一安心だ。」

 ガタン

「いて!!」

 コウヤは緊張していたのか、だらりと椅子の背もたれに寄りかかり、椅子ごと倒れた。





「宙とは違う。お前は地球に住んでいただろ。」

 廊下から歩いてきたディアは、コウヤの様子見て呆れていた。



「基本的に大げさな動きはしないモノよ。場合によるとケガするから大人しくしなさい。」

 レイラもディアと同じく呆れたように見ていた。



「そう言えば・・・・シンタロウは?キースさんも・・・さっきから見ていないけど・・・・・」

 コウヤは、今は数少ない男仲間を探した。



「あの二人とジューロクさんとイジーちゃんは何かさっき怖い看護師さんに連れていかれたよ。」

 ユイはそう言うと廊下の向こうを指差した。



「そういえば・・・・レイラは怪我大丈夫か?」

 コウヤはレイラを見た。



「黙ってて・・・・せっかく紛れているんだから・・・・このまま大人しく目的地まで過ごさせて。」

 レイラはコウヤを睨んだ。



 辺りが騒がしくなってきた

「何か騒がしいけど・・・・」

 ユイは足をぶらぶらさせていた。



「操作の設定を変えて止まっている間に、この船に乗る民間人をネイトラルの船に乗せる。この軍艦には最低限の乗組員と私たちで動いてもらう。」

 ディアは事務的に答えた。



「そうなの?」



「妥当ね。向かう場所が秘密なら尚更よ。民間人を完全に信用していないでしょうし。」

 レイラの言葉にユイは顔を顰めた。



「もっと信用できない人を連れて行くのにね・・・・」

 ユイが言っているのはラッシュ博士やリード氏のことだろう。



「あいつらが下手なことしようとしたら・・・・大丈夫だ。俺が守るから。頼りないんだからこれだけはさせてくれよ。」

 コウヤはユイを笑顔で見た。



「へー・・・そうなの?」

 コウヤのセリフを聞いてレイラは楽しそうに笑った。



「頼もしいな。コウ」

 ディアも笑っていた。



「あ、二人は強いから別で。」

 二人の顔を見てコウヤは訂正を加えた。









 

 最低限の乗組員だけになった戦艦はある列島に差し掛かった。

「・・・・この辺りなの?」

 地図を見てレイラは少し驚いたようだ。

「ここら一帯は軟弱地盤が主でドーム建設に費用がかかるから他の国も一歩引いていたんですよ。いろいろ噂もある地域なのでいろんな人の名義を介してレイモンド様の管理下に置いています。」

 カワカミ博士は淡々と語った。



「ドーム自体も地下に重きを置いてますので、上空からは分かりませんよ。」

 カワカミ博士の言う通り、列島を見渡してもドームらしきものは見つからなかった。



「・・・・ここの所有者・・・・ネイトラルを挟んでいないか?ずっと昔だが、確か火山帯だからエネルギー開発のために開拓すると申請があった。」

 ディアは顔を顰めていた。



「そうです。ネイトラルを挟んでしまえば地連もゼウス共和国の手を出せないと判断しました。」

 カワカミ博士はそう言うと両手でキーボードを操作する仕草をした。

 ディアはやられたと小さく呟いた。



「俺がやられたのは、あっちの大陸の方だから・・・・近いと言えば近いな。」

 コウヤはユイを庇い砲撃を受けた時を思い出した。



「・・・・そう言えば、あの時の施設はどうなった?ユイが収容されていてコウヤがやられたところ・・・」

 キースは思い出したように言い、ラッシュ博士を見た。



「ああ・・・・そこも『天』での反乱の影響を受けているわ。地連の正義感溢れる若い兵士に占領されているはず。」

 ラッシュ博士はそうよねとリード氏に確認を取っていた。



「じゃあ、あわよくば使えるってわけか・・・・」

 キースは呟いていた。

 その様子をジューロクは何とも言えない目で見ていた。



「シンタロウは?」

 コウヤはキース達が出て来ているのに、同じけが人のシンタロウがいないことが気になったようだ。



「ああ、太ももを撃たれたソフィちゃんも大けがだが、シンタロウは臓器が関わるから看護師に捕まったままだ。逃がしてもらえる気配もない。」

 キースは両手をあげて困ったような表情をした。



「・・・・さて、そろそろ着くころですね。操舵室に入り方を教えに行ってきます。」

 カワカミ博士は外の風景を見て出て行った。



「・・・・・いよいよか・・・・」

 さんざん考えたんだし、ゼウスプログラムに向おう。コウヤが自分に言い聞かせていると

「そうだね。」

 ユイがコウヤに寄り添い、ぴったりとくっついた。







 派手な音を立てて、地滑りをするように山の地表は移動した。

 移動した場所から人工的なコンクリートが見え、船を収容できる施設が見えた。そこから地下にドームが形成されているのがわかった。

 戦艦はゆっくりと降下し、ドームの中に入る。



「地球のドームって港が海か川に面して作られているのが多いから、山の中は新鮮だな。」

 コウヤはドームの入り口が秘密基地みたいで楽しくなっていた。



「そうだな。お前ここからドールで飛び立ったんだろ?その時は?」

 キースは不思議そうに訊いた。



「・・・・何も見ていなかったし、必死だったから。」

 コウヤは周りを見ていなかったようだ。



 ドーム特有の港の二重扉が閉まり、内部が見渡せる状況になった。

 ドームの中は、建物が少なく、研究施設のような建物と発電所、資源や食料を育て、置いておく施設や倉庫、そしてコウヤが滞在した屋敷だ。



「あのお屋敷にお世話になったんだ。」

 コウヤは指を差して言った。



 戦艦は止まり、コウヤ達は降りる支度をした。

 シンタロウはストレッチャーに乗せられて騒いでいた。ソフィも同じくストレッチャーだったが、彼女は足を撃たれたため騒ぐこともなく堂々と手当てを受けていた。







「コウヤ!!」

 見覚えのある屋敷の前に、ミヤコがいた。



「母さん!!」

 コウヤはミヤコに駆け寄った。



「あら?・・・・そこの人たちは」

 ミヤコはコウヤの後ろにいるレイラ、ディア、ユイに目を光らせた。



「コウの母親どの、初めまして。私はディア・アスールといいます。」

「初めまして・・・ではないですけど、お話しするのは初めてですね。私はレイラ・ヘッセといいます。」

「どうも。私はユイ・カワカミといいます。」

 三人順番にお辞儀をした。



「あらら・・・・写真の子達ね。みんな美人でびっくり。ああ、テレビで見ましたよ。ディアさん。」

 ミヤコはそう言うとユイの方に目を光らせた。

「あなたがコウヤの彼女ね。」



 その言葉にユイは満面の笑みを浮かべた。

「はーい。そうでーす。」



「素直そうな子ね。コウヤ。」

 テンションが高くなっているミヤコを見てコウヤはため息をついた。

「母さん・・・今はそんなことをしている場合じゃ・・・・」



 カワカミ博士が後ろから出てきた。



「あら。久しぶりです。執事さん。『天』ではお世話になりました。」

 ミヤコはお辞儀をした。

「いえいえ、あと、私の本名を言おうと思いまして・・・・これから長い付き合いになると思うので。」



「はい。そうですね。」

 ミヤコは何を言っているのかわからないようだったが、深く頷いた。



「私の名前は、ギンジ・カワカミといいます。ユイの父親です。」



「ええー!!!まあ、これはこれは・・・・」

 二人はお互いにお辞儀をし合っていた。



「今は変な親紹介どころじゃないだろ・・・・」

 コウヤは呆れていた。



「嬉しいのだろう。カワカミ博士は家族と離れていた。この状況では幸せの気配にどうしても敏感になる。」

 そういうのはレイモンドであった。



「レイモンドさん!!」

 コウヤは姿勢を正した。

 その名を聞き、ディアとレイラもコウヤに倣い姿勢を正した。



「レイモンド・ウィンクラー大将。初めまして、私はレイラ・ヘッセ、ゼウス共和国の軍人で少尉であります。」

 レイラは軍人の手本のような姿勢をし、きびきびとお辞儀をした。



「いやいや・・・・そんな硬くならないで。」

 レイモンドは笑顔で言うとカワカミ博士を見た。



「下っ端の二等兵ですが、この体勢で失礼します。」

 そう言って来たのは、ストレッチャーに乗せられたシンタロウだった。何故か拘束されていたから暴れたのだろう。



「言いにくいけどシンタロウ、お前二階級特進しているぞ。」

 キースはこっそりと言った。



「え?」



「いや、だってお前殉職扱いだから。」

 そう言えば、シンタロウは死亡欄にあった。



「それよりも、今のお前はゼウス共和国の軍人だぞ。階級は軍曹だろ?しかもかなり怖がられていたから、いわゆる鬼軍曹だな。」

 レイラが訂正するように言った。



「シンタロウが俺より上・・・・」

 コウヤは恨めしそうに見ていた。



「お前も二階級特進しているぞ。まあ、シンタロウよりは下だが。」

 キースはケラケラ笑った。



「前線の兵士には階級を与える暗黙のルールがあるのだがな・・・何故か君は下っ端か。」

 気の毒そうにリード氏はコウヤを見た。

 リード氏の視線にコウヤは寂しい気分になった。



「シンタロウ君!!久しぶり!!」

 ミヤコはシンタロウを見つけて大げさに喜んだ。



「お久しぶりです。いやー、またコウヤに会えました。」

 シンタロウはそう言うとニカっと笑った。



「そうか、二人は面識があるんだもんな。」

 キースは二人の様子を頷きながら見ていた。



「再会を喜ぶのは屋敷の中に入ってからでいいでしょう。よろしいですか?レイモンド。」

 カワカミ博士はレイモンドに早く屋敷に入れろと遠回しに言った。



「ははは、もちろんだ。先客も来ている。」

 レイモンドは豪快に笑いながら言った。

 そして、後ろの方にいたリード氏に目を向けた。



「歓迎するよ。タナ。今は休戦だろ?」

 冷ややかな声でリード氏に言った。



「君の懐の深さにはいつも驚かされるよ。レイモンド。」

 リード氏とレイモンドの間でとても冷たい空気が漂った。



「入りましょう!!」

 ミヤコは手を叩いて言うと、レイモンドを屋敷内に押し込めるようにした。





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