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クオが教会へ足を向けていた頃、ガーラはディアドラと共に食堂へ行き、遅い朝ご飯を済ませていた。その後、今日は予定がないので、宿屋の裏手で洗濯をすることにした。旅の間、洗濯は奇麗な川があればそこでするか、または宿屋に泊まった時にしていた。宿屋には旅人用に洗濯をする専用の場所が設けられていた。今日は晴れていた。
ガーラは宿屋でフローの部屋へ行った。いつも洗濯など何気ない日常生活のことも旅の仲間を誘っていた。
ガーラがフローの部屋の扉の前に立つと、フローが扉を開けて明るく出迎えた。フローは足音に敏感で、ノックをしなくてもガーラやクオの訪問が分かった。
ガーラはにこやかにフローに言った。
「フローは今日は暇かしら? 一緒に洗濯するのはどう?」
フローもにこやかに答えた。
「いいね~。行こうぜ」
それからガーラとディアドラとフローは鞄に洗濯物を入れて、宿の裏手へ行った。この宿屋の裏手には小さな川が流れていた。近くには広い物干し場が設置されていた。ガーラはディアドラに頼んで、物干し場に空飛ぶ絨毯を干してもらった。
旅人達は川岸に立ち、洗濯板で洗濯物を洗い始めた。
「昨夜はチェスプレイヤー志望のフーコとのゲームは楽しかった~?」
フローは軽やかにシャツを洗いながら、軽くガーラに尋ねた。
「ええ。きっと彼は今年のプレイヤーになるでしょうね。白の選抜試験の話を聞いたわ。今夜も話を聴く予定よ」
ガーラもじゃぶじゃぶと自分の上着をこすり洗いしながら答えた。ディアドラはガーラの衣服を半分受け持っていた。
「昨夜はクオと二人だったんでしょ? 今夜もそうなるかしらね」
ガーラはにこりと笑った。友人の幸せのおすそ分けをしてもらうというように。フローは軽く答えた。
「うん、そだね」
「良かったわね」
ガーラは祝福した。
「もしクオが一緒に旅に出ないで、あなたへの恋心に気付かないままだったら、どうしていたの?」
「ん? 別にクオがウィンデラにいたままでも、たまには会えるから、オレはそれでいいかなー。恋人じゃなくても、クオが元気ならそれでいいって感じだな~」
「そう。フローらしいわね」
「ガーラはいつからクオのこと好きになったの~?」
「興味を持ったのは、シエララントの白の城でクオと話すようになってからね。クオを旅に誘いに行った時には、気になっていたわね。私も『もし良ければ付き合いたい』って感じだけど。三人で旅して、一生を寄り添うなら三人という形がいいって思うようになったわ」
「オレはガーラも大事だからさ、もしガーラと二人旅になっていても、クオの話をしてただろうね」
「そうね。それでも楽しそうよね。私もフローも大切よ」
クオが町から宿屋に帰ってきた。ちょうど昼食の時間だった。ガーラとフローは洗濯が終わり、クオの部屋で談笑していた。クオの部屋の鍵はフローが勝手に開けていた。クオは外出中の部屋に二人とディアドラがいることに慣れていた。
「おかえり~魔術師ちゃん!」
クオが部屋に入ると、フローは悪びれもせず部屋の主に挨拶をした。
「仕事が入ったかしら?」
椅子に座っていたガーラが、温かな迎えの言葉を放った。クオは馴染んだ空気にほっと息をついた。
「明日一日、教会に集まった町の人達に魔術を教える予定ができた」
クオは鞄を置いた。
「大忙しだね~、クオ」
フローは明るく祝った。
「しばらく私も酒場でカジノをしているわ」
ガーラもクオの予定に合わせた。
「その、二人に渡したい物があるんだが……」
クオは町中で買った二本の青い花を鞄から出して、二人に渡した。
「リン・アーデンは、自分の大切な人に青い花を渡していたそうだ。その、貰ってくれ……」
ガーラは口元がほころび、フローは「ひゅ~」と口笛を吹いた。
「クオが花を贈るなんて珍しいね~」
フローは機嫌よく花をゆらゆらと振った。
「そうだな」
クオは素直に認めた。
「私の部屋に飾るわね」
ガーラは喜んで花を眺めた。
ガーラは宿屋でフローの部屋へ行った。いつも洗濯など何気ない日常生活のことも旅の仲間を誘っていた。
ガーラがフローの部屋の扉の前に立つと、フローが扉を開けて明るく出迎えた。フローは足音に敏感で、ノックをしなくてもガーラやクオの訪問が分かった。
ガーラはにこやかにフローに言った。
「フローは今日は暇かしら? 一緒に洗濯するのはどう?」
フローもにこやかに答えた。
「いいね~。行こうぜ」
それからガーラとディアドラとフローは鞄に洗濯物を入れて、宿の裏手へ行った。この宿屋の裏手には小さな川が流れていた。近くには広い物干し場が設置されていた。ガーラはディアドラに頼んで、物干し場に空飛ぶ絨毯を干してもらった。
旅人達は川岸に立ち、洗濯板で洗濯物を洗い始めた。
「昨夜はチェスプレイヤー志望のフーコとのゲームは楽しかった~?」
フローは軽やかにシャツを洗いながら、軽くガーラに尋ねた。
「ええ。きっと彼は今年のプレイヤーになるでしょうね。白の選抜試験の話を聞いたわ。今夜も話を聴く予定よ」
ガーラもじゃぶじゃぶと自分の上着をこすり洗いしながら答えた。ディアドラはガーラの衣服を半分受け持っていた。
「昨夜はクオと二人だったんでしょ? 今夜もそうなるかしらね」
ガーラはにこりと笑った。友人の幸せのおすそ分けをしてもらうというように。フローは軽く答えた。
「うん、そだね」
「良かったわね」
ガーラは祝福した。
「もしクオが一緒に旅に出ないで、あなたへの恋心に気付かないままだったら、どうしていたの?」
「ん? 別にクオがウィンデラにいたままでも、たまには会えるから、オレはそれでいいかなー。恋人じゃなくても、クオが元気ならそれでいいって感じだな~」
「そう。フローらしいわね」
「ガーラはいつからクオのこと好きになったの~?」
「興味を持ったのは、シエララントの白の城でクオと話すようになってからね。クオを旅に誘いに行った時には、気になっていたわね。私も『もし良ければ付き合いたい』って感じだけど。三人で旅して、一生を寄り添うなら三人という形がいいって思うようになったわ」
「オレはガーラも大事だからさ、もしガーラと二人旅になっていても、クオの話をしてただろうね」
「そうね。それでも楽しそうよね。私もフローも大切よ」
クオが町から宿屋に帰ってきた。ちょうど昼食の時間だった。ガーラとフローは洗濯が終わり、クオの部屋で談笑していた。クオの部屋の鍵はフローが勝手に開けていた。クオは外出中の部屋に二人とディアドラがいることに慣れていた。
「おかえり~魔術師ちゃん!」
クオが部屋に入ると、フローは悪びれもせず部屋の主に挨拶をした。
「仕事が入ったかしら?」
椅子に座っていたガーラが、温かな迎えの言葉を放った。クオは馴染んだ空気にほっと息をついた。
「明日一日、教会に集まった町の人達に魔術を教える予定ができた」
クオは鞄を置いた。
「大忙しだね~、クオ」
フローは明るく祝った。
「しばらく私も酒場でカジノをしているわ」
ガーラもクオの予定に合わせた。
「その、二人に渡したい物があるんだが……」
クオは町中で買った二本の青い花を鞄から出して、二人に渡した。
「リン・アーデンは、自分の大切な人に青い花を渡していたそうだ。その、貰ってくれ……」
ガーラは口元がほころび、フローは「ひゅ~」と口笛を吹いた。
「クオが花を贈るなんて珍しいね~」
フローは機嫌よく花をゆらゆらと振った。
「そうだな」
クオは素直に認めた。
「私の部屋に飾るわね」
ガーラは喜んで花を眺めた。
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