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第二章

18話

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 アイテムボックスからサブマシンガン【FN P90】を取り出すと、右手で握った状態で出てくる。なので右手の持ち方は分かるのだが、左手をどうしたらいいのか分からない。

「先ずは鑑定だな。それでハンドガンの時のように持ち方なんかも出るだろう」

 早速鑑定をすると詳細が出てきた。左手の位置、セミオート、フルオート……

「左手はここを持つのか、すげぇ構え方だな。これを引いて、これを覗くと……おぉ狙いやすいな」

 FN P90にはドットサイトが装着されているので狙いが付けやすくなっている。

「では早速フルオート……いや、まずはセミオートだな」

 無難にセミオート(単発)での射撃を選ぶ。目標の10m先の木へ照準を合わせて引き金を引く。

ー タンッ ー

「ハンドガンの音に似てる?あれのちょっと音がデカい感じかな?」 

 それもそのはず。このFN P90は、ハンドガンのFN Five-seveNと同じ5.7x28mm弾を使用している。

「次はフルオートだな。フルオートってどんな感じなんだろう」

 初のフルオートに少しワクワクしながら引き金を引いた。

ー タタタタタタタ ─── カツン ー

「……………き、気持ちいぃ~~!!!これ癖になりそうだな」

 次々に放たれる弾丸の反動がとても心地よく感じられ、全弾気持ちよく撃ち尽くした。肉体強化のお陰で銃から伝わる反動も問題ない。
 さぁ、練習の時間だ。
 この位置から丁度いい距離に木が生えている。きっき的にしたのが10m。その右の木が18m。更にその右30m。最初の的の左奥には100m離れた木がある。
 これを的にして順番に狙って射撃練習をする。

「その前に、周囲の安全確認っと」

 ハンドガンをサプレッサーなしの状態で、1発上空に向けて撃つ。

ー バンッ!!ー

 発砲音が周囲に響き渡る。

「っ?!サプレッサーなしって、こんなに音がするのか。危険察知は……大丈夫だな」

 発砲音に引き寄せられてくる魔物の反応も、誰かがこちらに注意を向けた反応もない。周囲に問題はなさそうだ。

「よし、やるか」

 フルオートで手前の木から撃っていく。

ー タタタタタタ ー

右!

ー タタタタタタタタタタタタ  ー

右!

ー タタタタタタタ ー

一番左!

ー タタタタタタタタタタタ ───  カツン ー

「うほぉ~♪ストレス発散に最高だな。命中率も悪くないし、50発連続で撃てるって凄いわ。快・感♪」

 この後、4回繰り返して射撃を楽しんだ……いや、練習に励んだ。

「今後はこれをメインで使っていこう」

 サブマシンガンに満足した俺は街へ帰るが、オバ草は売るほどの量がないのでギルドには寄らずに一葉へ帰ってきた。
 ウサギ2匹を解体してオバ草と一緒に伯父に渡して部屋に戻った。


◆◇◆◇◆◇


 翌日。

 メイン武器をサブマシンガン【FN P90】に変えた。

 その日から3日間は草原でハーブとオバ草の採取。そしてウサギ狩り。
 その翌日の4日目は、ギルドでオバ草の売却をして休み。
 という3日働いて1日休むシフトで活動をしていた。

 オバ草は時々助けた娘の薬剤店にも売却している。
 前世では6日間働いて1日休みだった俺からしたら、メッチャゆったりとした勤務体系だった。



 そんな日が2ヶ月程経ったある日。

 夏になったマホンはかなり暑くなってきた。それでも俺は戦闘服のお陰で涼しく活動できている。
 今日はギルドでオバ草を買い取ってもらう日だ。そしてその後は、休日をゆっくりと過ごそうと思っていた。

「アビーさん、おはようございます。今日もお願いします」
「ドルテナさん、おはようございます。いつもありがとうございます」

 持っていたオバ草を半分程残してギルドへ売却する。120株あったので24,000バルとなった。
 それを受け取って帰ろうとすると、カウンターの奥にいたグストル部長に声をかけられた。

「ドルテナさん、少しお時間を頂いてもよろしいです?」
「はい、いいですよ。今日は休養日なので特に予定もありませんし」
「ありがとうございます。どうぞこちらへ」

 といって、買い取りカウンターの横にある応接室に案内された。

「どうぞお掛け下さい。質のよい新鮮な品を提供して頂いており、誠にありがとうございます。大変助かっております」

 社交辞令的な挨拶を受けていると、アビーさんがお茶を持ってきてくれた。部長さんは、アビーさんが退室するのを待って話を続けた。

「さて、お時間をお取りしても申し訳ないので早速本題に入らせて頂きます。半年ほど前から街中で若い女達を狙う奴らが現れました。警備兵による巡回強化も行っておりますが、被害に遭った女性は増え続けており、ギルドにも要請がありましたので依頼として張り出しておりました」

 そんなことがあったのか。依頼ボードは見ることがないので知らなかった。どの世界にもそういう輩はいるんだな。

「そうなんですか?すみません、あまり依頼ボードを見てないもので」
「いえいえ、お気になさらずに。それで、月平均2~3人が被害に遭っておりました。ただここ最近、2ヶ月程になりますが、そやつらによると思われる犯罪が起きなくなりました。ドルテナさん、何か心当たりありませんか?」
「え?いや、わからないですね。依頼ボードを見ることがないので、そんな犯罪が起きていたことも知らなかったので。あ!もしかして俺って疑われてるんですか?!」

 おいおい、何で俺に変な嫌疑がかかってんだよ。そこまで溜まってねぇよ。まだ13歳だぞ。あ、若気の至りってやつを疑われてるのか?

 そんな不安が顔に出ていたのか、部長さんは慌てて否定した。

「いえいえ、ドルテナさんを疑っているわけではありません。目撃情報や被害者からの話で、犯罪者達の背格好は判明しております。それはドルテナさんとは全く違いますのでご安心を」

 よかったぁ~。

 ホッとしているのも束の間、応接室のドアがノックされ、警備兵が2人入ってきた。

 えぇ~!!今、疑ってないって言ってたよね?!

 俺が驚きながら警備兵を見ていると、部長さんが紹介してくれた。

「ドルテナさん、こちらは警備兵捜査部のパーナーショップ殿です。先程お話しした連続レイプ捜査班の班長を務められております」
「パーナーショップだ。君がドルテナ君だね」

 パーナーショップさんが手を差し出して挨拶してきたので握り返す。

「はい、見習い冒険者ランクHのドルテナです」
「早速だが君に確認したいことがある。2ヶ月程前、薬剤店の娘が襲われていた所に出くわしたのに間違いはないか?」

 あぁ、そういえばそんなこともあったな。俺は首を縦に振る。

「そうか。その娘から話を聞いたのだが、その襲ってきた男達を君が倒したと聞いたが、それも間違いがないか?」

 む?何か嫌な方向に話が行きそうだな。

「はい、女の子から助けを求められました。その子を背中に庇うと、向こうが先に剣を・・抜いて迫ってきたので対応しました。先に剣を抜いたのは向こうです。私に非はありませんよ」
「うむ、君に非があるとは思っておらん。その娘から聞いた男達の人相が、連続レイプ犯によく似ているのだ」

 え?そうなの?

 思ってもいなかった話の展開に戸惑ってしまった。

「その男達の死体なんだが……ここで話してもいいのか?」

 部長さんをチラッと見て俺に確認をしてきた。パーナーショップさんは俺のアイテムボックスに2人の死体が入っていることを既に知っているようだ。
 その容量が、一般的なアイテムボックスの常識からかけ離れている事が分かっていて、ここで話すと部長さん、延いてはギルドに俺のアイテムボックス容量がバレることになる。だから、それでもいいのか?と聞いてくれたのだ。
 まぁ部長さんにはよくしてもらっているし、何より初めてギルドで売却したときに、オバ草を持ってきすぎたから、容量が大きいことは薄々気付いているはずだ。

「部長さんが口外しないと約束できるなら、ここでも構いませんが」
「この事件はギルドでも依頼を出しております。捜査に支障が出ないのであれば話を聞かせて頂きたいと思います。それと、ドルテナさんのお話しする内容は口外致しません。ギルドに不誠実な内容でなければ」

 それならば、とここで話すことにする。

「パーナーショップさんが薬師の娘さんから聞いた通り、その男達の死体はアイテムボックスに入っています」
「うむ、娘から聞いた通りだな。どうして警備兵に引き渡さずアイテムボックスに入れたのかを聞きたいのだが」

 普通は倒したら警備兵に引き渡すよね。その辺りは、何かやましいことがあるのでは?と思われているかもな。

「わかりました。それも含めて倒した方法についてお話しします。ただこれは冒険者として本来はあまり言いたくはありません。なのでくれぐれも口外しないでください。パーナーショップさんのお連れの方も」

 全員が頷いた。

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