なんでも探偵部!

きとまるまる

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164話「夏に白球〜前編〜⑥」

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間宮(M)七回の裏、東咲高校の攻撃。一番、菊谷さんは空振り三振に倒れたが、二番の鈴田さんが粘りを見せ、センター前に弾き返すヒットを打つ。そして、三番キャプテン今本さんーーー


実況「打ったぁぁ! レフト前ヒット! 一塁ランナーは、二塁でストップ! キャプテン今本、今日これで四打数三安打!」

張間「よっしゃぁぁぁ!! ナイス、ショートさぁぁぁん! ナイスヒットだぜぇぇ!! いよっ、大将! あんたがキャプテンッ!!」

関「さぁ、そろそろ一本欲しいところですよ、剛ちゃん...!」

実況「さぁ、ワンアウト、ランナー一二塁のチャンスで迎えるは、四番の山上。ここまでは三打数ノーヒット、2三振と完璧に抑え込まれています。」

本島「山上さぁぁぁん!!」

甲柱「お願いします、山上さぁぁぁん!!」

石山「打てるぞぉぉ! 落ち着いて、いけぇぇぇ!!」

菊谷「東咲の怪物の力、見せつけてやれぇぇぇ!!」

大賀「ここで打てなきゃ、雑魚上ざこがみっすよ~! 嫌なら、さっさと打ってーーー」

山上「おんどらぁぁぁぁぁ!!」

大賀「あっ。」

実況「初球、振り抜いたぁぁぁ!! ライト下がる...が、見上げた見上げた! 入ったぁぁぁぁ! 逆転スリーランホームラァァァン!!」

本島「しゃぁぁぁぁ!!」

石山「山上ぃぃぃぃ!!」

実況「東咲高校、七回の裏、ついに逆転んん!! 東咲の怪物、目覚めの一発!! これで、5対4!!」

鈴田「ナイスバッチ、山上!!」

今本「お前、マジ最高! さすがだぜ!!」

山上「だらぁぁぁ! ボケゴラァァァ!! おいごら、見たか大賀ァァ!! 土下座しろ土下座!!」

大賀「ちぃ...! マジで打ちやがったよ。」

山上「なんで不満そうな顔してんだよ!?!? 逆転してやったんだぞ!? もっと崇め讃えろや!!」

張間「やったぁぁぁぁぁ!! やりましたよ!? やりましたよ、間宮先輩ぃぃぃ! やったぁぁぁぁ!!」

間宮「わ、わかったから!わかったから、肩揺らすなって!!」

張間「やったやったやったやっったぁぁぁぁ!!」


関(M)その後、五番六番と三振に打ち取られたが、東咲の怪物の一振りでついに逆転に成功した東咲高校。終盤の逆転ということもあり、スタンドも、ベンチも大いに盛り上がり、勢いはさらに増していく。


 八回の表、駒原高校の攻撃。ワンアウト、ランナーなし。


実況「落ちるボール、空振り三振!! 大賀 雄太、これで四、五、六番と連続三振!」

大賀「しゃぁぁ!!」

張間「よっしゃぁぁぁ!! いいぞいいぞ、大賀くーーーん!! 今日のヒーローは、てめぇだ、こんちくしょぉぉ!!」

関「堂々と投げてますね~! 見てて気持ちがいいですよ~!」

間宮「僕だったら、緊張で吐いてますよ...。すごいな、大賀くん...。」

張間「このままいけば...! このままいけば、決勝進出ですよ!? いけますよ!?」

関「こらこら、焦るんじゃありませんよ、張間二等兵。まだツーアウト、それに九回の攻防もあります。野球は、最後まで何が起こるかわかりませんよ。」


間宮(M)先輩の言う通り、そうすんなりと終わらせてはもらえなかった。五番、六番と連続三振に打ち取った大賀くんだったけど、次の打者には粘られて四球をだしてしまい、続く打者にはセンター前にヒットを打たれ、ツーアウトながらランナー一二塁のピンチを背負ってしまう。そして、九番ピッチャーに代わって代打との勝負ーーー


審判「ファールッ!」

実況「これで、カウントツーツー。二塁ランナー帰れば同点の場面。」

今本「ツーアウトツーアウト! 落ち着いていけー!」

菊谷「後ろは、俺たちに任せろ!」

大賀(んなこと、言われなくてもわかってるっつーの。あんたらの守備に文句はねぇよ。でもよ...これは、俺が出したランナーだ...! 自分のケツは、自分で拭くわっ!!)


 金属の音が響くと同時に、転々と三遊間方向へ打球が転がっていく。


大賀(やべっ、これは...!)


 打球は早く、勢いを落とすことなく小刻みに跳ねながら転がり続ける。投手を越え、三塁手を過ぎーーー


今本(抜かせねぇ...!)


 遊撃手ショートを守る今本は、黒茶の土を勢いよく蹴り飛ばしながら懸命にボールを追いかける。左腕を目一杯伸ばし、小刻みなバウンドにグローブを合わせる。


関「捕った!!」

張間「いけぇぇぇ!!」


 内野を越えず、間一髪で今本のグローブ内に収まった打球ーーー今本は体勢を整えることなく、勢いよく地面を蹴り上げ身体を浮かせ、空中でボールを右手へと移し替え一塁へとぶん投げる。
レーザービームのように、真っ直ぐと勢いよく伸びていくボールーーー打者も負けじと、地面を蹴り飛ばし、手を伸ばし、一塁に突っ込んでいく。
土煙が上がり、勢いに負けたヘルメットがコロコロと地面を転がる一塁側ーーーほんのわずかな一瞬だが、球場内は時が止まったかのような静寂に包まれる。


審判「アウトォォォ!!」


 一塁審判は、右腕を大きく上げ、声を張り上げ、コールする。球場内は、瞬く間に割れんばかりの歓声に包み込まれていく。


福川「しゃぁぁ!!」

山上「よくやったぁぁぁ!!」

菊谷「てめぇ、どんな肩してんだよ!? 鬼肩かよ!? このバケモンが!!」

今本「いや~間に合ってよかったわ~!」

大賀「......!」

今本「よっ、大賀くん! 何かキャプテンに言うことがあるんじゃないかい?」

大賀「だぁぁぁ! わーってるよ! どうもありがとうございました!!」

今本「素直でよろしい! あっはははは~!」

鶴森(大賀は、なぜちょっと不満そうなんだ...?)

張間「やったやったやったやっったぁぁぁ!! ショートさん、ナイスプレー!! カッコいいぞ! 最高だぞ! 天才だぞ! 大大大天才ぃぃぃ!!」

間宮「す、すごすぎる...カッコ良すぎる...!」

張間「このままガンガン攻めていけぇぇぇ!! イケイケドンドコ東咲高校~~!!」


関(M)ツーアウト一二塁のピンチだったが、キャプテン今本のナイスプレーで凌いだ東咲高校。守備でついた勢いは、攻撃をも勢いづかせる。
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