なんでも探偵部!

きとまるまる

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131話「調子に乗るといいことない③」

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 関と間宮が五人分の飲み物を持って、探偵部の部室へと歩きながら話している。


間宮「新沼さんと?」

関「そうそう! 日曜日、何かあったのかい!?」

間宮「なんですか、急に? というか、あんたら後ろからついてきてたんでしょ?」

関「あれ? 知ってたの?」

間宮「あんだけギャーギャー騒いでたら、嫌でも気づきますよ。」

関「途中から、私たち遊びに夢中になっちゃってね。君たちのこと、すっかり忘れてた。」

間宮「つーか、なんでついてきてたんだよ?」

関「なにか面白いことが起こりそうだったから!」

間宮「おい。」

関「で、私たちがいなくなった後に、何かあったのか~い?」

間宮「別になにも...あ、そうだ。」

関「おっと~? なにがあったんだ~い?」

間宮「新沼さんが、見知らぬ男二人に絡まれまして。」

関「ん? え? それ、大丈夫だったの? 想像してない事態だよ、それ。」

間宮「警察に電話するフリしたら逃げてったので、大丈夫でした。」

関「君、なかなか肝っ玉大きくなったよね。去年の君に見せてあげたいよ。」

間宮「どっかの誰かさんと一緒にいたら、嫌でもこうなりますよ。」

関「それ、褒めてる?」

間宮「さぁ、どうでしょうね。その後は、あんたに教えてもらった、たこ焼き屋さん行って帰りましたよ。」

関「あぁ、あそこね。あそこのたこ焼きは、美味しいからねぇ。いや~しかししかし、そうかそうかなるほどねぇ~!」

間宮「なんですか?」

関「青春の香りが漂ってきてるんですよ~!」

間宮「はい?」

関「あとは、君が私の教えたところを誰かに教えたりしてるのが、なんだかちょっぴり嬉しくてねぇ~!」

間宮「は、はぁ!? た、たまたま近くにあったからであって! あんたの真似したわけじゃ...!」

関「へぇ~! 君、私の真似してるんですか? どういうところ真似してるんですか? 教えてくださいよ~!」

間宮「あぁぁ、うるせぇ! 黙れ黙れ!!」

関「あ~怖い怖い! 怖いから、先に部室に戻りま~す!」

間宮「あっ!? おい、こら!」

間宮「...べ、別に、真似してるわけじゃねぇし。」



関「なるほどなるほど~! 彼は、優しい子ですからねぇ~! その優しさに、ドキドキッとなってしまったパターンですね~! いや~、青春ですね~!」

関「にしても、私が教えたところに行ったりしてるって...なんだか嬉しいですね。可愛い後輩だこと。」

関「さてさて~そんな可愛い後輩が帰ってくるぞ! 新沼く~ん!」


 関が部室の戸をあける。目の前には、椅子に縛られ、身動きとれない状態になっている後輩二人。二人の口にはガムテープが貼られており、目の前でニコニコと微笑む少女に、ガクガクと震えることしかできない。
ニコニコと微笑む少女ーーー新沼は、手にした巨大なハリセンを、表情変えずに狗山の頬に叩きつける。


新沼「やめてほしかったら、やめてって言ってね♡ 私、優しいからやめてあげる♡」

狗山「やめてくださいんーーー!! ごめんなさいごめんなさいんーーんーー!!」

新沼「え? もっと叩いてください? もぉ~ワンちゃんは欲しがりさんなんだから~♡」

狗山「そんなこと言ってないっすぅぅぅんーーんーーんーーー!!」

新沼「ほらっ♡ ほらっほらっ♡ どう? 気持ちいい? え? もっとほしい? もっと叩いてほしいの? もぉ~~♡ じゃあ、ハリセン壊れるくらい、強く叩いて...あ・げ・る♡ ワンちゃ~~ん♡ 歯、食いしばって♡」

狗山「やめろっすぅぅぅんーーーー!!」

張間「あっんっ!? 部長ぅぅぅんーーー!! 助けてくださいぃぃぃんーーんーー!!」

新沼「あ~や~か~ちゃん♡ 誰が喋っていいって言ったの?」

張間「いやぁぁぁぁんーーー!?」

新沼「え? なに? ワンちゃんばっかりずるいって? 大丈夫だよ♡ 今から、たっぷり構ってあげるから♡ おまたせ、彩香ちゃん♡ いくよ~♡」

張間「あぁぁぁぁぁんーーーー!?!?」


 関は何もなかったかのように、そっと扉を閉める。


関「...うん。私は、なにも見ていない。」

間宮「先輩、なにしてるんですか? 早く開けてくださいよ。」

関「傑くん、屋上に行こう。話がある。」

間宮「は? 話なら部室でもーーー」

関「久しぶりに、外の空気を吸いながらお話ししようじゃないか~! さぁ、行こう!!」

間宮「飲み物はどうするんですか?」

関「そんなモノは、どうでもいいんだ! とにかく今はーーー」

新沼「部長さぁ~ん♡」

関「はっ!?!?」


 可愛らしい声と共に、少しだけ開いた扉の隙間からスルスルと細い腕が伸び、関の腕をガッチリと掴む。


新沼「つーかまえた♡」

関「あぁぁぁぁぁぁ!?!?」

新沼「間宮先輩、部長さんとお話ししたいことがあるので、少しお借りしますね。」

間宮「え? あ、うん。」

関「新沼くん! 私は、今から傑くんと屋上で話すことがあってだね!!」

間宮「僕、先行って待ってますから。新沼さんの話聞いてあげて。」

関「え!? ちょっ、待って!! 傑くんも、部室にーーー」

新沼「ありがとうございます、間宮先輩♡ さぁ、部長さん♡」

間宮「んじゃ、飲み物渡しといてください。屋上で待ってますね~。」

関「あぁぁぁぁぁぁ!? ちょっ、傑くん!! ストップストップ! 待って待っーーー」

新沼「一名様、ごあんな~い♡」

関「あぁぁぁぁぁぁ!?!?」


 関は、スルスルと勢いよく吸い込まれるように部室内へと引きずられていく。
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