なんでも探偵部!

きとまるまる

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47話「嫌よ嫌よも好きのうちと言うけれど、嫌なもんは嫌④」

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張間「続いての勝負は!? どちらがドキドキさせられる!?シュチュエーション対決~!」

関「今回のお題は「放課後に教室で勉強会をしていた幼馴染の帰り道」ですね。」

新沼「あ、夕日も追加でお願いします。」

張間「えー「放課後に教室で勉強会をしていた幼馴染の、夕日が輝く帰り道」ですね。」

間宮「なんで夕日を追加したの!?」

関「追加された夕日をどう上手く使うかが、勝負の鍵となりそうですね。」

張間「では、先行の綾小路くん! お願いします!」

綾小路「え!? え、えっと...きょ、今日は夕日が綺麗だねぇ~~!」

新沼「そうだね、ホント綺麗だよね。」

綾小路(ど、どうすれば...!? どうすれば咲ちゃんの心を...!? はっ、そうだ! どこかの本で読んだことあるぞ! 女の子には、変化球はなるべく使わずに、直球勝負だと! 直球で勝負だ!!)

綾小路「夕日も綺麗だけど、夕日よりも君の方が綺麗だよ!」

新沼「何言ってんの? さぁ、早く帰ろ。」

関「これは、シンプルにいきましたねぇ。」

張間「良くもなく悪くもなくですね。」

綾小路「おぉぉぉし! これはきたぞ! これは、心をがっちりキャッチしたぞ! どうだ、間宮 傑! お前に、これが超えられるか!?」

関「本人は、すごく手応えを感じてますね。」

張間「どこにあれだけ喜べる手応えを感じたんでしょうね?」

関「さぁ、続いては間宮 傑の番です! シンプルな相手に、どう立ち向かうのでしょうか?」

張間「緊張せずに、自分らしさを出してほしいですね。」

間宮(放課後に教室で勉強を教えてもらってた幼馴染二人の、夕日が輝く帰り道ぃぃぃぃ!? そんなの知らないよ! 「今日、勉強教えてくれてありがとう。」「どういたしまして。」以外に、どんな会話が生まれるというんだよ!! わかるか、ちくしょぉぉぉぉ! どうすりゃいいんだよぉぉぉ!?)

 「間宮、俺が力を貸してやるよ!」

間宮(あなたは、ポテチサラダ先生の!?)

張間「おっと、間宮 傑が動き出しましたね。」

間宮「あぁ...今日は疲れたぁ...。」

新沼「疲れたって言う前に、なにか私に言うことがあるんじゃないの?」

間宮「は? なんだよ?」

新沼「ふーん、もういいです。」

間宮「なんだよ、意味わかんねぇ。」

新沼「あっ、見て見て!」

間宮「あ? なにをだよ?」

新沼「夕日、ほら!」

間宮「...あぁ、綺麗だなぁ。」

新沼「ホントに思ってんの?」

間宮「思ってる思ってる。」

新沼「んもぉ...。でも、ホント綺麗だよね。ふふふ、見てるとなんか元気でちゃうね!」

間宮「......。」

関「おっと、間宮 傑がここで無言だ!? どうした!? セリフが思いつかないのか!?」

張間「違います! あれは...!!」

新沼「どうしたの?」

間宮「な、なんでもねぇよ!」

新沼「ん? ははーん、わかりました! 夕日よりも綺麗で可愛い幼馴染の咲ちゃんに、見惚れてましたなぁ~~?」

関「な、なんと!? 「夕日よりも綺麗」というセリフを、相手自身に言わせる高度なテクニック!」

張間「これは、少女漫画「恋に恋して恋い焦がれ」の谷津日 礼央やつひ れおくんの技ですね。まさかここで、この技を見られるとは...!」

間宮「は!? んなわけねぇーだろ! 自分で言ってて、恥ずかしくねぇのかよ!」

新沼「だって、ホントのことだもーん。」

間宮「あーはいはい、そうですか。」

新沼「ふふふ。」

間宮「なんだよ?」

新沼「いやー平和だなぁって。」

間宮「は?」

新沼「こうやってさ、あんたと馬鹿みたいな話しをしながら帰れるってさ。」

間宮「......がと。」

新沼「ん?」

間宮「勉強...教えてくれて、あんがとよ。」

新沼「え? 急にどうしたの? なにか変なもん食べた?」

間宮「なんで素直にお礼言ったのに、そんな反応されなきゃなんねぇーんだよ!!」

新沼「もぉ、怒んないでよ~。それだけ、あんたは素直じゃないってことよ。」

間宮「うるせぇバーカ!」

新沼「そうやってすぐバカっていう...。私でよければ、あんたの隣で間違いないかずっとチェックしててあげる! ジュース二本でね!」

間宮「けっ、タダじゃねぇのかよ。」

新沼「当たり前でしょ~~! 世の中は、等価交換よ!」

間宮「......。」

新沼「どうしたの?」

間宮「...ずっとさ。」

新沼「え?」

間宮「勉強してない時も...ずっと、隣にいてくれよ...。」

新沼「え? そ、それって...!」

間宮「なーんてな。」

新沼「ふぇ?」

間宮「なんだ、そのバカみたいな反応は? お前から借りた漫画のセリフだよ。どうだった?」

新沼「え!? あ、えっ...! だ、だよね~~! ふーん、なかなか良かったんじゃないかなぁ~~!」

間宮「大丈夫か?」

新沼「な、なにがよ!?」

間宮「顔、真っ赤だぞ。」

新沼「ふぇ!? こ、こここここれは、夕日のせいなの!」

間宮「ふーん。」

新沼「こ、こ、こっち見んな、バカぁぁぁ!!」

間宮「おい! ちょっ、カバン振り回すなバカ!」

新沼「バカは、どっちだぁぁぁぁぁ!!」

張間「はい、カットォォォォォォ!」

関「さぁ、判定をどうぞ!」

新沼「勝者、間宮 傑!」

間宮「ポテチサラダ先生、ありがとうございました!」

綾小路「おいぃぃ!! 待ちたまえぇぇぇ!!」

関「今度はなんですか、綾小路くん?」

綾小路「なんだ今のは!? どこで打ち合わせしたんだ!? 打ち合わせしただろ! 打ち合わせ無しであの完成度ですか!? あの二人、どうなってるんですか!?」

張間「ノープランでも、あの完成度になりますよ。」

新沼「だって、私たち...付き合ってますから♡」


 新沼は、間宮の腕にピタリとくっつく。


間宮「新沼さん、近くない?」

新沼「んもぉ~いつもは、これ以上に近いじゃないですか~♡」

綾小路「そ、そ、それ以上に近いだとぉぉぉぉぉぉ!?」

新沼「ねぇ、ダ~リン♡ 今日ね、私の親...家帰ってくるの遅いの...。」

綾小路「遅いだとぉぉぉ!? あぁぁぁ!! それはダメだろぉぉぉ!!」

関「新沼くん、そろそろやめてあげて。彼の精神と喉が死んでしまうよ。」

綾小路「ま、ま、間宮 傑...覚えたぞ...! 貴様ぁぁぁぁぁ!! 今日のところは、ここら辺で...か、勘弁して...か、勘弁してやるからなぁぁぁ!! 覚えておけよぉぉぉ! うわぁぁぁぁんんん!!」

張間「あらら、泣いてどっか行っちゃいましたよ。 」

関「男は、失恋を経験して強くなる生き物さ。彼はきっと、ビックな男になって帰ってくる。」

新沼「私の前には、二度と現れないでほしいんですけどね。」

張間「にしても、間宮先輩って意外と演技できるんですね。」

間宮「無我夢中で、なにしてたか全然覚えてないけどね...。」

関「あなたの意外な一面が見られて、びっくりしちゃいましたよ。」

間宮「これも、去年暇だったおかげですね、先輩。」

関「暇って言うのやめてくれる? こう見えて結構傷ついてるのよ。」

新沼「皆さん、今日はありがとうございました。特に間宮先輩、ありがとうございました。」

間宮「新沼さんの力になれて良かったよ。」

新沼「また綾小路あれに困ったら、お力貸していただいていいですか?」

間宮「あ、うん。できれば無い方がいいけどね...。」


 四人のやりとりを、自販機の後ろからコソコソと見つめている怪しい人影ーーー怪盗2こと、演劇部の青海 七海は、怪盗2の格好でジッと、特に間宮と新沼を見つめている。


青海「間宮 傑...新沼 咲...素晴らしい演技力だ...! 我が演劇部に欲しい...欲しいぞ...! 欲しいものは、どんなものでも奪う...それが私、怪盗2かいとうに...! ふふふ...ふはははは! はーはっはっはーーー!!」

関「七海ちゃん、なにしてるんですか?」

青海「ほわぁぁぁ!? な、な、なぜバレたぁぁぁ!?」

張間「あんな大きな声で笑ってたら、嫌でも気づきますよ。」

新沼「どなたですか?」

間宮「三年生の、青海 七海さん。」

新沼「あっ、先輩なんですね。」

青海「ふふふ...! バレてしまっては仕方ない! 今日のところは、ここら辺でおさらばしてやる! 次、会える時を楽しみにしているんだな! はっはっはっはーー!!」


 青海はマントを翻し、出口へ向かって颯爽と走っていく。


青海「ふぎゃぁぁ!?」

張間「あ、転んだ。」

青海「あいたたた...。ちくしょぉぉぉ! こんなところに罠を仕掛けるなんて、ずるいぞお前ら!!」

間宮「いや、僕らなにもしてないけど...。」

青海「仕返ししてやるからな! 覚えておけよぉぉぉぉ!!」

新沼「賑やかな先輩ですね。」

間宮「あ、あははは...。」

関「はぁ...やれやれ。あれは、明日なんかしにくるぞ...。張間くん、傑くん、警戒しておきなさい。」

張間「サーイエッサー!」

間宮「何も起こらないといいけどなぁ...。」
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