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後日譚・取り違えたその後の二人

152 リカルド日記(抜粋、一部実況) ⑥

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○月×日(お祝い返しだ!)

昨日はジュリエッタの誕生日だった。どうしたら喜んでもらえるか考えるの、ものすごく楽しくて、結局思いついたこまごまとしたお祝いを全部詰め込んでしまった。
プレゼントは、考えてるうちに今までの誕生日全てにあげたくなってしまって、結局十九個用意してしまった。ただ、高価なものばかり十九個用意すると、ジュリエッタ絶対引いちゃうから、メインは二つで、あとはちょっとしたものを。
メインを二つにしたのは、最後の二つが絞れなかったからとジュリエッタには言ったけど、本当は、出会った年とこれからの一年、両方に特別な思いを込めて祝いたかったのだ。

メインのプレゼントは、髪飾りと腕輪にした。髪飾りは、俺、ジュリエッタの髪が大好きだから。腕輪は、アクセサリーを贈りたかったからだけど、腕輪のプレゼントって、実は、手錠みたいに自分に繋ぎ止めるみたいな意味もあると購入後に知った。俺の無意識の独占欲が選ばせたのかも、なんて、妙に納得したり。

夕飯は職場の先輩になんとかつなぎをつけてもらった有名店で。先輩の奥さんがシェフの姪で、半年待ちのところをなんとか一か月後にねじ込んでもらった。最初「最近人気が再燃してて、身内でも三か月後しか無理」って聞いた時は顔面蒼白だった。奥さんに相談してみたら、「老舗だからお店の老朽化進んでて、そこら辺の改善案出したらなんとかイケるかも」と入れ知恵してくれたので、アポイントを取ってもらって、直接プレゼンしてみた。

最初は難色を示していたオーナーシェフも、俺のプレゼンを聞くうちに表情が変わり、予約を受諾してくれた。端の席か普段閉鎖している個室しか用意できないですがいいですか、と言われたので、一も二もなく個室でお願いする。気兼ねせずに済んでむしろ個室嬉しい! 他に改善点がないか当日観察してほしいとお願いされ、ついでにもともとやる気だったらしいリノベーションの依頼ももらった。俺、大工なのに、図らずも営業してしまった。

最後に予約理由を訊ねられたので、最愛の妻と迎える初めての誕生日なので、この店しか考えられなかったと告げたところ、オーナーシェフの表情が初めてやわらかくなった。奥様が食事後も店を気に入ってくださったならのお話ですが、と前置きされた上で、これから毎年この日の予約枠をお約束しますがどうですか、と提案されたので、一も二もなくお願いする。このお店とは公私ともに、長いお付き合いになりそうだ。

先輩に礼を言ったところ「リカルドにはいつも世話になってるから、できることはなんでもしてやりたかったし、結局お前自分でなんとかしちゃったじゃないか」と笑われた。また頭が上がらない人が一人増えちゃったなあ。今度お礼を持っていこう。

今回、お祝いする側だったはずなのに、むしろ俺が楽しかったし、喜ばされてしまった。ベッドですごいサービスされてすぐにイッてしまって、かなり情けなくもあったけど……。とりあえず、ジュリエッタが言ってた、お祝いする権利を奪うなって、ものすごく正しかった。これ、剥奪されたらむちゃくちゃショックだ。来年、どう祝うか、今から楽しみだ!
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