【R18】取り違えと運命の人

テキイチ

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後日譚・取り違えたその後の二人

115 その闇に射す光 ③

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 翌朝、目覚めると私はベッドに一人残されていた。
 隣にルーカがいないのは、思いのほかショックだった。幸せな気持ちで眠りについたのに、それはにせものだと現実をつきつけられたようで。もしルーカが戻ってこなかったとしても、元の状態に戻るだけで、おかしくなんかないのに。

「……起きよう」

 考えても仕方ない。起き上がろうとふとシーツを見ると、破瓜の印で赤く染まっている。
 元の状態とは、もう違うよ。
 少し胸を締め付けられるような気持ちを味わいながら、シーツを外し、洗濯籠に投げ込む。
 ぼんやりとシャワーを浴び、黒い服を身につける。昨日白い服を着たから、単なる順番だけど、なんだか喪に服するようで、気分が沈んだ。

 昨日の残りでも食べればいいのだろうけれど、食欲なんか全然わかない。
 なにをしていいかわからず、リビングのテーブルに着き、ぼんやりしているとひょっこりあらわれたルーカが、笑いながら声を掛けてきた。

「ようやく起きたのか、ねぼすけ」
「で、出かけるなら、ちゃんと知らせてからにしなさいよね!」

 しまった。気が抜けたからか、思わずどなりつけるように言ってしまった。あわててルーカを見る。気にしてないのか、笑顔はむしろ深まっていて、ほっとする。

「悪い悪い。あんまりぐっすり寝てたから。町に出て、いろいろ用事済ませてきた」
「用事?」
「婚姻届出したり、住民票移したり、ギルドに登録したり、買い物したり」
「こ……婚姻届?」

 予想外の言葉に、びっくりする。

「手続きいるだろ。魔法球があれば本人承諾済とみなされるから、俺一人でできることはやっといた」
「そ、そう……」

 本当に、いいの? 私とずっと一緒にいるって、簡単に決めてしまって。そんな言葉が喉まで出かかるけど、訊ねる勇気なんて出ない。

「起きたらいなかったから、やり逃げされたとでも思った?」

 にやにやした表情から察するに、ルーカは冗談で言ったのだろうけど、図星で二の句がつげない。私があまりにも黙っていたから、ルーカも察したのだろう。にやにや笑いが消え、ふてくされたような表情に変わった。

「……失礼な。俺、やり逃げとかしねーし。今までも、同意の上でしかしたことないし、彼女がいる時は彼女としかしねーよ」

 それはきっと本当にそうなのだろう。ルーカが不実な人間だったら、もっと禍々しいオーラを纏っているだろうし、あんなに丁寧に抱いたりもしないと思う。でも、それと私とずっと一緒にいるかどうかは、全く別の話で。

「……バカ。婚姻届とか出したら、もう私としかできないじゃない」

 つい、そんな言葉を口にしてしまう。私を配偶者にするって、他の女の子との可能性捨てちゃうってことなのに。

「まあ、そうだな。お前がやらせてくれんならな」

 ルーカは、それの一体なにがおかしいんだ? と言わんばかりの表情で、飄々と皮肉を返してきた。
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