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本編・取り違えと運命の人
089 本当の運命の人 ③
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神官様が全員をじっと眺める。
「あなた方は、お互いを補い合う組み合わせなのですね」
ルーカさんとジュリエッタさんを見て、神官様が評される。
「そして、あなた方は、一緒にいることで増幅する組み合わせ」
リカルドと私を見て、同様に評される。
「正しいとされる組み合わせで、並んでいただけますか?」
ジュリエッタさんと私が、位置を交換する。
「…………なるほど」
神官様にはなにかしら「見える」んだろうけど、私にはさっぱりわからない。
「私は、神託も、あなた方の主張も、どちらも正しいように思います」
「「「「えっ?」」」」
みんな一斉に疑問符。
どういうことなのかしら……?と、想像を巡らせていると、神官様が続けてくださった。
「神託の相手は地域によって決まります。あなたがたの組み合わせになることは普通ない」
そ、そうなんですか! 神のお告げなのに、結構、限界あるんですね!資源節約のリサイクルもするし! とか、さすがにツッこめない。そんな空気じゃない。
「ですが、あなたがたは二組とも、ちょっと例を見ないほど相性がよい。魔法球がより合っている人間に惹かれたのか、男性方がぶつかったことも神の御心だったのか、そこまでは私にはわかりかねますが……」
一息ついて、神官様が続ける。
「あなたがたを見ていると『魔法球を取り違えるところまでが運命』と解釈してよいのではないかと強く感じます」
それ、なんかむしろ、ただの神託よりすごい気がする……と、リカルドを見ると、同じこと考えてたみたいで、バッチリ目が合った。
「ですから、こちらの記録を『魔法球の取り違えをもって神託が成就した』と追記しておけば、後は問題ないはずです」
その神官様の言葉を聞いて、私は思わずつぶやいた。
「布が足された……!」
私の声に、リカルドが笑顔を浮かべる。あの、最初に会った時みたいな、にっこにこの、おひさまみたいな笑顔。
「これにて、一件落着?」
「これにて、一件落着……!」
そう言って私達はハイタッチする。やっぱり、私、リカルドとの掛け合いが、たまらなく好きだ。
「ちなみに、正しいとされた最初の相手のままだったら、どんな『組み合わせ』だったんですか?」
じゃれ合ってる私達を無視するように、ジュリエッタさんが淡々と神官様に訊ねる。なるほど、確かに気になる。
「『相手を食いつぶす組み合わせ』と『一緒にいることで停滞する組み合わせ』ですね。努力してもどうしようもなく、ずっと一緒にいるのはつらいでしょう。どちらも、友人としてなら、そう悪くない組み合わせなのですが」
余計、入れ替わるところまでが運命、みたいなのに、説得力が増す。帰り着くまでが遠足、みたいな感じで。これきっと「相手を食いつぶす組み合わせ」がリカルドとジュリエッタさんの方だ。しかもリカルドが食われる方。アーメン。
「あなたがたのこれからに幸多からんことを祈っておきます」
神官様がにこにこ笑って締めてくださる。
正しい組み合わせとして認められた私達四人は、お互いの相手と、満面の笑みで抱き合った。
「あなた方は、お互いを補い合う組み合わせなのですね」
ルーカさんとジュリエッタさんを見て、神官様が評される。
「そして、あなた方は、一緒にいることで増幅する組み合わせ」
リカルドと私を見て、同様に評される。
「正しいとされる組み合わせで、並んでいただけますか?」
ジュリエッタさんと私が、位置を交換する。
「…………なるほど」
神官様にはなにかしら「見える」んだろうけど、私にはさっぱりわからない。
「私は、神託も、あなた方の主張も、どちらも正しいように思います」
「「「「えっ?」」」」
みんな一斉に疑問符。
どういうことなのかしら……?と、想像を巡らせていると、神官様が続けてくださった。
「神託の相手は地域によって決まります。あなたがたの組み合わせになることは普通ない」
そ、そうなんですか! 神のお告げなのに、結構、限界あるんですね!資源節約のリサイクルもするし! とか、さすがにツッこめない。そんな空気じゃない。
「ですが、あなたがたは二組とも、ちょっと例を見ないほど相性がよい。魔法球がより合っている人間に惹かれたのか、男性方がぶつかったことも神の御心だったのか、そこまでは私にはわかりかねますが……」
一息ついて、神官様が続ける。
「あなたがたを見ていると『魔法球を取り違えるところまでが運命』と解釈してよいのではないかと強く感じます」
それ、なんかむしろ、ただの神託よりすごい気がする……と、リカルドを見ると、同じこと考えてたみたいで、バッチリ目が合った。
「ですから、こちらの記録を『魔法球の取り違えをもって神託が成就した』と追記しておけば、後は問題ないはずです」
その神官様の言葉を聞いて、私は思わずつぶやいた。
「布が足された……!」
私の声に、リカルドが笑顔を浮かべる。あの、最初に会った時みたいな、にっこにこの、おひさまみたいな笑顔。
「これにて、一件落着?」
「これにて、一件落着……!」
そう言って私達はハイタッチする。やっぱり、私、リカルドとの掛け合いが、たまらなく好きだ。
「ちなみに、正しいとされた最初の相手のままだったら、どんな『組み合わせ』だったんですか?」
じゃれ合ってる私達を無視するように、ジュリエッタさんが淡々と神官様に訊ねる。なるほど、確かに気になる。
「『相手を食いつぶす組み合わせ』と『一緒にいることで停滞する組み合わせ』ですね。努力してもどうしようもなく、ずっと一緒にいるのはつらいでしょう。どちらも、友人としてなら、そう悪くない組み合わせなのですが」
余計、入れ替わるところまでが運命、みたいなのに、説得力が増す。帰り着くまでが遠足、みたいな感じで。これきっと「相手を食いつぶす組み合わせ」がリカルドとジュリエッタさんの方だ。しかもリカルドが食われる方。アーメン。
「あなたがたのこれからに幸多からんことを祈っておきます」
神官様がにこにこ笑って締めてくださる。
正しい組み合わせとして認められた私達四人は、お互いの相手と、満面の笑みで抱き合った。
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