【R18】取り違えと運命の人

テキイチ

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本編・取り違えと運命の人

069 来る年 ②

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「大丈夫なら、いいけど。無理しないでよ。リカルド、大変でも絶対言わないんだから。私、リカルドに対して、そこだけが不満」
「不満?」

 グラスを一気に飲み干したリカルドが身を乗り出してきた。

「俺、ジュリエッタのこと、満足させられてない?!」
「やっぱり酔ってる? 酔ってないって台詞、酔っぱらいの定番だし」
「だって、俺、自分は、多少不便だろうが忙しかろうが我慢できるけど、ジュリエッタが不満なのは、全然我慢できない!」

 これは、完全に酔っぱらいだ。食べ終わってるみたいだし、早く寝せた方がよさそう。

「えーっと、だから……リカルドがそう思ってくれてるように、私もリカルドに無理させたくないし、不満溜め込ませたくないの。その、気づかなくてごめん。疲れてたんだね。今日はもうベッド行っていいよ。後片づけしとくから」
「ジュリエッタ、優しい」
「普通普通」

「……俺、目的のためには、手段選ばないとこあるから、酔った勢いってことでいいや」

 リカルドが私のそばに近寄ってきて、耳元でささやく。

「俺も一緒に後片づけがんばるから、終わったら……しよ」

 指で背中をつつっとなぞる動作と、ちょっと色っぽい声に、ぞくっとする。

「リカルド……?」
「今年最後の日だし、仕納め」
「仕納め?」
「仕納め」

 アレなこと言っている割に、目が真剣で、どきっとする。

「……うん」

 ただ、ちょっと疲れてるんじゃないかな、というのがやっぱり心配なので、少し休ませたい。だから、知恵を絞ってみた。

「リカルド」

 呼びかけてそっと唇を奪う。予想外だったのか、リカルドの顔がさっと赤くなった。酔っぱらってるようでも、さっきまで顔色はいつも通りだったのに、たったこれだけで。

「ジュ、ジュリエッタ?」
「片づけは、私だけで大丈夫。ベッドで先に休んで待ってて。ね?」
「うん……」

 リカルドはあっさりおとなしくなって、ゆっくり寝室に向かった。
 別にしたくないんじゃないけど、というか、むしろその気になっちゃったけど、なんかリカルドいつもと違うし、体調大丈夫かなっていうのと、無理させたくないなっていうのが、気になって仕方ないんだよね。
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