34 / 201
本編・取り違えと運命の人
033 夏の嵐 ②
しおりを挟む
リカルドががばっと私を抱きしめる。びっくり。
「リ、リカルド?」
「お、俺はジュリエッタだけだから! 浮気とかしない!」
「うん。しないと思う」
「温かい家庭は俺も築きたい! これからもなかよく楽しく過ごそう!」
「うん。毎日楽しいよ」
リカルドが思いがけず真剣な表情で私を見つめていて、少しどきっとする。リカルドは私の頬をなで、そっとくちづけた。
「俺……君のことが、大好きだから」
耳元でささやかれ、なんだかすごく恥ずかしくなってしまった。
「うん……私も……」
「……今から、証明したい」
「え……」
リカルドは再び私にくちづけてきた。互いの舌が絡み、水音がするような、息もできないくらい、深く長いキス。
そっと終えると、リカルドと私の唇の間に銀糸が連なっていた。こんな風になってしまったのは初めてで、なんだかひどくどきどきする。
「……いい?」
「……うん……」
その後リカルドはいつも以上に優しく丁寧に私のことを抱いてくれたと思う。優しいけど興奮したし、興奮したけど安心するような、アンビバレントな行為。
「んー」
リカルドが私を後ろから抱きしめてきた。リカルドは終わった後もすごく優しくしてくれる。少し照れるけど、心地よいなと思う。
「可愛かった」
「……自分じゃわかんない」
「俺だけが知ってるって、いいね」
後ろからだからはっきりはわかんないけど、なんだか嬉しそうに笑ってる気配がする。
さっきまでの話の流れで、ふと、こんな風にリカルドがふれた女性は、きっと私だけじゃないんだよね、と思う。兄なんか、十六の頃から女性の家を渡り歩いてたし。リカルドも、私と出会う前の二十二年間に、いろいろあっただろう。
「どうしたの?」
私が黙ってるから、リカルドが心配そうに顔をのぞきこんできた。
「いや、別に」
「証明が足りなかったかな」
もっと精進しなければ、とかぶつぶつ言ってるのを見てたら、なんだかリカルドの過去の女性関係を気にするのがばからしくなって、笑ってしまった。
「よかった。ジュリエッタが笑顔になった」
そう言って、リカルドもいつものおひさまみたいな笑顔を浮かべた。
「うん。リカルドと一緒にいると嬉しいから」
「証明足りてた?」
「充分」
リカルドのその類の話は知らないし、今のところ取り立てて訊ねる気もないけれど、なにがあったとしても、それがあっての今なんだから。よくわからないことを気にするよりも、一緒にいて幸せな今を大事にしよう。そう思っているうちに睡魔が襲ってきて、ぐっすりと眠ってしまった。
「リ、リカルド?」
「お、俺はジュリエッタだけだから! 浮気とかしない!」
「うん。しないと思う」
「温かい家庭は俺も築きたい! これからもなかよく楽しく過ごそう!」
「うん。毎日楽しいよ」
リカルドが思いがけず真剣な表情で私を見つめていて、少しどきっとする。リカルドは私の頬をなで、そっとくちづけた。
「俺……君のことが、大好きだから」
耳元でささやかれ、なんだかすごく恥ずかしくなってしまった。
「うん……私も……」
「……今から、証明したい」
「え……」
リカルドは再び私にくちづけてきた。互いの舌が絡み、水音がするような、息もできないくらい、深く長いキス。
そっと終えると、リカルドと私の唇の間に銀糸が連なっていた。こんな風になってしまったのは初めてで、なんだかひどくどきどきする。
「……いい?」
「……うん……」
その後リカルドはいつも以上に優しく丁寧に私のことを抱いてくれたと思う。優しいけど興奮したし、興奮したけど安心するような、アンビバレントな行為。
「んー」
リカルドが私を後ろから抱きしめてきた。リカルドは終わった後もすごく優しくしてくれる。少し照れるけど、心地よいなと思う。
「可愛かった」
「……自分じゃわかんない」
「俺だけが知ってるって、いいね」
後ろからだからはっきりはわかんないけど、なんだか嬉しそうに笑ってる気配がする。
さっきまでの話の流れで、ふと、こんな風にリカルドがふれた女性は、きっと私だけじゃないんだよね、と思う。兄なんか、十六の頃から女性の家を渡り歩いてたし。リカルドも、私と出会う前の二十二年間に、いろいろあっただろう。
「どうしたの?」
私が黙ってるから、リカルドが心配そうに顔をのぞきこんできた。
「いや、別に」
「証明が足りなかったかな」
もっと精進しなければ、とかぶつぶつ言ってるのを見てたら、なんだかリカルドの過去の女性関係を気にするのがばからしくなって、笑ってしまった。
「よかった。ジュリエッタが笑顔になった」
そう言って、リカルドもいつものおひさまみたいな笑顔を浮かべた。
「うん。リカルドと一緒にいると嬉しいから」
「証明足りてた?」
「充分」
リカルドのその類の話は知らないし、今のところ取り立てて訊ねる気もないけれど、なにがあったとしても、それがあっての今なんだから。よくわからないことを気にするよりも、一緒にいて幸せな今を大事にしよう。そう思っているうちに睡魔が襲ってきて、ぐっすりと眠ってしまった。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
307
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる