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本編・取り違えと運命の人
029 リカルドの本当の誕生日 ③
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「リカルド」
仕事を終え、帰ろうとしたら、先輩に声をかけられた。
「はい。なんでしょう?」
「今日、誕生日なんだろ? おめでとう!」
「えっ?!」
な、なんで知ってるんだ? 先輩??
「言えばいいのに。お前、目立つキャラの割に謙虚だよな」
「俺、昼休みに聞いたんだぜ。知ってればプレゼント用意したのに」
「そうだよ! 水くせえな!」
他の先輩達も次々に乗っかってくる。
「ええと、その、確かに誕生日ですけど、なんで……?」
「ボスが教えてくれた」
「ボスが?」
ひたすら疑問符を飛ばしていると、颯爽とボスが登場した。
「リカルド、お前、履歴書に生年月日書いてたじゃないか」
「そりゃ履歴書には普通書くでしょう……あ」
なるほど、それでか。
「うちの期待のホープの誕生日だから、儂が代表してお祝い買ってきた」
ボスからワインを手渡された。古風なラベルが粋な感じ。
「今夜は最愛の奥さんとお祝いだろ? そん時にでも飲めばいい」
ボスも先輩達も、みなさんにこにこしてる。
「あ……ありがとうございます! すごく嬉しいです!」
「明日からも期待してるぜ!」
「これからもよろしくな!」
「こちらこそ、よろしくお願いします!」
思いがけずお祝いされてしまい、嬉しくてにやにやしながら帰宅する。
もうすぐ家だ。
窓からもれた明かりを見るたびに、中にジュリエッタがいるんだなと実感する。なんだか嬉しくてたまらなくなって、毎回ドアを開ける前につい立ち止まってしまうんだけど、今日の明かりは格別にあたたかく綺麗に見えて、つい、いつもよりも長い時間眺め続けてしまった。
「ただいま」
「あ、お帰りなさい!」
いいにおいが鼻をくすぐる。
「ごめんね、もうすぐできるから部屋で待ってて」
「うん、わかった。今日の献立はなに?」
「昨日お魚だったから、今日はお肉と思って、ハンバーグ」
「わあ! ハンバーグ大好き!」
肉好きの俺には誕生祝いとしか思えないメニュー。やったあ!
「あ、ちょうどいいや。職場でワインもらってきたから、夕飯につけよう」
いただいたワインの瓶をジュリエッタに手渡す。
「赤ワイン? 肉料理だから、確かにちょうどいいわね」
ジュリエッタはそう言い、ラベルを見続ける。
「ずいぶん昔のなのね……にじゅう……二十三年前?」
「え、二十三年も前の?」
俺の生まれた年にちなんだワインをくれたのか。さすがボス。
ジュリエッタに誕生日を悟られないように、俺は続ける。
「なんだろう、ワインの当たり年だったのかな?」
「私も詳しくないからわからないけど、それなら楽しみね」
仕事を終え、帰ろうとしたら、先輩に声をかけられた。
「はい。なんでしょう?」
「今日、誕生日なんだろ? おめでとう!」
「えっ?!」
な、なんで知ってるんだ? 先輩??
「言えばいいのに。お前、目立つキャラの割に謙虚だよな」
「俺、昼休みに聞いたんだぜ。知ってればプレゼント用意したのに」
「そうだよ! 水くせえな!」
他の先輩達も次々に乗っかってくる。
「ええと、その、確かに誕生日ですけど、なんで……?」
「ボスが教えてくれた」
「ボスが?」
ひたすら疑問符を飛ばしていると、颯爽とボスが登場した。
「リカルド、お前、履歴書に生年月日書いてたじゃないか」
「そりゃ履歴書には普通書くでしょう……あ」
なるほど、それでか。
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ボスからワインを手渡された。古風なラベルが粋な感じ。
「今夜は最愛の奥さんとお祝いだろ? そん時にでも飲めばいい」
ボスも先輩達も、みなさんにこにこしてる。
「あ……ありがとうございます! すごく嬉しいです!」
「明日からも期待してるぜ!」
「これからもよろしくな!」
「こちらこそ、よろしくお願いします!」
思いがけずお祝いされてしまい、嬉しくてにやにやしながら帰宅する。
もうすぐ家だ。
窓からもれた明かりを見るたびに、中にジュリエッタがいるんだなと実感する。なんだか嬉しくてたまらなくなって、毎回ドアを開ける前につい立ち止まってしまうんだけど、今日の明かりは格別にあたたかく綺麗に見えて、つい、いつもよりも長い時間眺め続けてしまった。
「ただいま」
「あ、お帰りなさい!」
いいにおいが鼻をくすぐる。
「ごめんね、もうすぐできるから部屋で待ってて」
「うん、わかった。今日の献立はなに?」
「昨日お魚だったから、今日はお肉と思って、ハンバーグ」
「わあ! ハンバーグ大好き!」
肉好きの俺には誕生祝いとしか思えないメニュー。やったあ!
「あ、ちょうどいいや。職場でワインもらってきたから、夕飯につけよう」
いただいたワインの瓶をジュリエッタに手渡す。
「赤ワイン? 肉料理だから、確かにちょうどいいわね」
ジュリエッタはそう言い、ラベルを見続ける。
「ずいぶん昔のなのね……にじゅう……二十三年前?」
「え、二十三年も前の?」
俺の生まれた年にちなんだワインをくれたのか。さすがボス。
ジュリエッタに誕生日を悟られないように、俺は続ける。
「なんだろう、ワインの当たり年だったのかな?」
「私も詳しくないからわからないけど、それなら楽しみね」
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