ブルガリブラックに濡れる〜恋人の元・セフレ(攻)を優しくじっくりメス堕ちさせる話〜

松原 慎

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イキすぎ酔いすぎでふわぽやな元タチと甘々飲み会からの最悪な3P②

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「俺、昔からお前のこと好き。セックスしなくても俺の話いっぱい聞いてくれるし」
「なにそれ」
「俺さー、周りの人間、会ってすぐセックスしてる奴ばっかなんだよな。セックスしちゃいけない理由があるヤツとはしてねぇけど。玲児の身内とか。でも理由がないヤツはほぼセックスしてて」

 君は恋人がいるんだから瑞生以外の人はセックスしちゃいけないんだよと思ったが、ムードを保つために口を噤む。

「さっきのマネージャーなんか名前も知らねぇまま、女だと思ってホテル行って、セックスして、そのあと浅人の兄ちゃんだし芸能事務所のスカウトって気づいたんだぜ? ウケるだろ」
「何度聞いても……ひどい」
「でもお前ともセックスしちゃったなー、結局」

 ケラケラと面白くもないのに笑っていた隼人は、平坦な声でそう言った。

「したくなかった?」

 聞いてみれば、遊んでいた僕の手で自分の目元を隠す。

「隼人?」
「そりゃそうだろ」
「どうして?」
「だって俺、別に幸せだったのに。満足してたのに。こんな……どこまでも沈められて、めちゃくちゃにされるセックス……知らないまま生きていきたかった」

 どんな顔して言っているのかわからなくて、声色からも感情が読めなくて。不安になる。これでは隼人の気持ちが読めない。
 でも、同じことを思ったことがある。
 出雲と関わって、触れ合って、感情が動いて。
 好きになって。
 でもそれは凄く苦しいことで、出雲と出会わなければ良かったと思っていた。いや、今でも思う。
 でも僕はその気持ちを抱えながらも出雲といることを選んで、ちゃんと幸せな生活に身を置いている。この苦しみにも意味はある。
 隼人の話していることが僕の感情と近いものだとして。
 この先の発展を望めないこの関係ではそれは苦しいばっかりなんじゃないか。

「元は教師だったし、すげぇ年上だけど、お前のこと友達だって思ってた。セックスしなくてもお前のこと好きだったのに」
「……そうだよ。君は、僕のこと……前から、大好きだったよ?」
「大好きは言いすぎだろ」

 ふふ、と笑って、僕の手からひょっこりとまた顔を出すが、今度は口元が隠れる。その顔がぽやんと力の抜けた、お酒に酔った表情のままだったのでほっとした。

「言いすぎじゃ、ない」
「んだよぉ、お前そんなに俺に好かれたいのかよぉ」
「うん」

 君が僕を好いてくれるなら、苦しいばっかじゃないかもしれないから。
 頬をつんつんされながらシャープな顎のラインを撫でていると、くすぐったそうに肩を竦めて僕の手から逃れるために上半身を起こして、背中を見せる。軽くなった膝のせいで目の前にいる隼人が遠く見える。
 それがたまらなく嫌で。捕まえるように、その背中を力任せに抱き寄せた。首筋に鼻先を寄せてもあの香水の匂いが今日はしない。

「学校の屋上でさ。俺の弱音聞いてくれたじゃん。最低なことばっかして、自業自得な俺のこと……助けてくれるって言ってくれたじゃん。しかも本当に病院と繋げてくれて、そのお陰で眠れるようになった。俺あの時、色んな人に責められてばっかだった……当たり前だけど。俺が全部悪い。でも水泡はさ」

 隼人を抱く僕の手に触れて、顔だけこちらに向けて僕を見上げる。

「俺の頭に手ぇ置いて、頑張ったねって……あの時のことは、これからお前と何があっても……一生忘れない」
「ごめん」
「はぁ……?」

 考えなく、思わず謝罪の言葉が口を出た。
 隼人は眉間に皺を寄せ、向かい合って僕の膝に乗ってくる。ぐっと額がつきそうなほど顔を寄せ、睨まれ、両方をつねって引っ張られる。

「何謝ってんだよ。俺とヤッたこと?」

 頬がつっぱって口があかない。とりあえず頷いた。

「ばーか。ばかばかばーか」
「痛ひ」
「後悔してねぇーってことはないけどさ。俺はさ、セックスしなくてもお前が好きだっつってんの。だから本当に飲み会もしたかったんだよ、俺……いま、こうやって飲んでて、嬉しい……」

 僕も……僕も、君のことが昔から可愛かったよ。
 そう言ったら君は喜ぶだろうか。しかし頬が解放されたらすぐにキスされてしまって言えなかった。触れるだけのキスをして、腰のあたりをもじもじと揺らして、何か言いたげだったから、黙っているしかなく。

「あとな、だからお前に褒められるの好きって……言いたかった。水泡、好き。好き…………撫でる?」

 しかもこんな可愛いことを言われたら、撫でてあげるしかなくて。

「どうしたの? そんなに素直で。とってもいい子だね?」
「べぇーつにぃー」
「よしよし」

 嬉しそうに、気持ちよさそうに瞼を閉じて、僕にされるがままに撫でられる。可愛い。
 可愛い顔のまま隼人は薄く目を開けて微笑む。

「でも、お前もさぁー……セックスしてからの方がやさしーから……他の奴と、一緒なのかなぁ……」

 撫でる手が止まる。

「違うよ」

 そして低く、強い声で否定した。
 膝に座る隼人の両肘に添えていた手に力が加わる。

「違う」
「あ、悪い……なんか、思ったことそのまま……そんなマジじゃねーから、ごめん……」
「本当?」
「うん……」

 ぎゅっと身を縮めるように顎を引いて、そっと盗み見るみたいに目線だけを僕に向ける。脅えてる。脅えさせてる。
 昼間もそうだった、ちょっと語気を強めると身を竦めて僕を怖がる。
 昨夜のお仕置がよく効いてる……そのくせ褒めて褒めてと甘えてきて、撫でてやれば喜んで、不機嫌になれば顔色を伺って。まるで子供みたいだ。こんな大きい子供、僕にはいないんだけどな。
 子供。そう、子供みたいだ。
 この子も、出雲も。
 僕にいやらしいことを沢山されてるのに、子供みたいな態度をとってくる。撫でてとか、抱っこしてとか。
 叱られればごめんなさいを繰り返して。いい子と言えば心底ほっとして見せて。
 悪い子と言われて……喜ぶのは出雲。隼人は悪い子じゃないと否定する。自分はいい子だといつも反論する。そんなところがますます、手のかかる子供みたいだ。
 悪いことをしてるみたいで僕としてはとても興奮するけれど。
 歳が離れてるから甘えてくるのだろうが、それにしても父性を求められているようだ。
 出雲は幼い頃に厳しい母に反して優しかった父親を亡くしている。
 では、隼人は?

「ねぇ、聞いて? 隼人」

 言葉が強くならないよう、ゆっくりと語りかける。

「認めるよ。確かに抱いてからの方が……君に優しくできてる。でもね? 僕は前から……気になっては、いたんだよ。君のこと。君にしてあげたいことは、たくさんあった。でも、そんな仲じゃないと思ってたから」
「してあげたいことってなんだよ……?」

 首を傾げながら、僕の機嫌をとるように鼻先と鼻先を擦って甘えた行動をとってくる。
 しかし僕はそんな隼人の肩を受け止め身体を引き剥がした。
 ああ、そんなに瞳を揺らして怖がらないで。

「そうやって君が、いつまでも女の子とセックスばかりしてること。睡眠薬がやめられないこと……トラウマのこと。どうにかならないのかなって。思ってた。でも踏み込むほどの仲でない……僕が首を突っ込むことでは無いと、思ってた」
「は、は? なんだよ急に、そんな話っ……」
「セックスしなくても僕は君が大事だったんだと思う。気になってたんだ。でも今は……君がこうやって、甘えてくれるから。優しくできる。ちゃんと話を聞いてあげられる……」
「意味わかんねぇって」
「君は本当に、幸せだったかな」

 とろとろした半分開いていなかった目を大きく開いて、歯を食いしばって戸惑いいっぱいの顔で僕を見る。
 あ、と口を開くが、また閉じて歯がカチッと鳴る。

「だって君は……僕に抱かれる前だって、薬がなければ、未だに寝付けない。女遊びも、止められない。不幸では、なくても……それは、幸せ? 健全な状態?」
「あ……」

 何も言えずに漏れた声のあとぐっと息を飲む。弱々しい。隙だらけだ。

「しあわせ、だった……今、も……」
「ずっとは、続かない」
「あっ……」

 八の字に下がってしまった眉に、僅かに口を開いたまま、あまりにも自信がなさそうに首を左右に振る。次第にボロボロ涙まで零れ始めた。

「そんなんだから僕にこうやって、ハマってしまったんだよ? まだ君は弱くて傷ついたまま……頑張っているけど……そう、頑張っているんだね」

 涙を流す隼人をぎゅっと抱きしめる。頭を撫でる。隼人の欲しいだろうことをする。欲しいだろうことを言う。
 今日の君はホルモンバランスが乱れて、ぐずぐずなんだ。わかってる。だから今日、君を崩してしまおう。
 君の中に入ったのは僕だけなんだ。だから君の一番奥の、深いところまで触れていいんだ。

「隼人は偉いね。でも、そんなに抱えて、我慢して……心配」

 ひたすら、ひたすら、可愛がる。頭を撫でて、髪を指で梳いて。こめかみに頬を寄せて。敏感な腰を抱いて、密着して。
 隼人の手が震えながら……僕の脇から入ってきて。しばらく迷ってから、ガシッと力強く、僕の背にしがみついた。

「でも、でも……頑張るしかねーだろぉっ……!」

 決壊する。
 涙で声を滲ませ、しゃくりあげる。
 隼人に応えるように僕も力を込めて震える背中を抱く。

「でも違う、俺、ちゃんと頑張れないんだ。頑張れてねぇから、未だに……止められ、なくて……頑張ってないんだ、俺、放置してるだけで……結局は……今を守るために、生活が変えられなくて……俺、すげぇ荒れるの、わかってるから。眠れなくても、女抱けなくても、荒れて、玲児のこと傷つける……なら、玲児は目を瞑ってくれるし、今のままの方が……っ」

 うん、うん、と頷いてはいるが、ところどころ口を挟みたくなる。一番は、瑞生が目を瞑っているとはいえどこまで本気で許しているかなどわからないのに、随分お気楽だということ。指摘はしてあげないけれど。今僕のやるべきことは彼の話に耳を傾け、頷き、可愛がって、柔らかい部分を晒すこと。

「玲児にはかっこいい姿しか見せたくねぇし、見せられない。玲児が求めてる俺でいたいんだ」
「……うん」
「好きだから、愛してるから、頑張りたい。俺自身、そういう俺でいたいっ……」
「そう……だから、頑張ってるんだね」

 膝に乗られているため、隼人のほうが頭の位置が高い。それなのに肩を丸めて小さくなり、ぎゅうぎゅうしがみついてきて、うーん窒息しそうだ。
 ぽんぽん、と背中を叩く。ますます力が強くなる。鍛えているだけある、痛い。とんとん、と肩を叩く。反応がないのでもう一回。

「ちょっと、苦しい」

 その一言に、びくっと反応して身体が離れる。でもそれは嫌で、僕が今度は抱き寄せて。

「逃げないで」
「だって、ご、ごめ」
「ほら。ちょうどいい」

 真っ赤な濡れた顔が、困ったように僕を見下ろしてる。
 頑張ってきたし、今だって正しいと思ってることをやっているんだろう。
 でも、頑張りすぎて道がわからなくなってる。それにも気がつけない。迷子のまま突っ走ってる。
 馬鹿だな。可愛いな。愛しいな。

「隼人」

 もしも僕がそんな君を正しい道に戻してあげることができたなら。

「ちゃんと、オナニーできるようになろうか。この間みたいなのじゃなくて、お尻じゃなくて、おちんちんで。ゆっくり、少しずつ。だから……よく知りもしない女の子を抱くの、止めよう?」

 この関係にも欲望だけじゃない、ちゃんとした意味が生まれるだろうか。

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