6 / 54
ゲーム前
どうしてあなたは
しおりを挟む
額に残る少し冷たいけど、柔らかい感触。
それはキス。または接吻。または口付けともいう。
ぬおおおおおおおおおお!
思い出してはベッドの上を転げ回る。
どうやってここまで帰ってきたかも覚えていない。
つまり、あの瞬間から私の思考回路はショートし、壊れたステレオのように同じ場面をリフレインしている。
どんな拷問だ。
こんな乙女展開に持っていくルー様の凄まじさ。
ますます攻略対象でない謎が深まる。
前世の私なら絶対推しメンにしていただろうに。
いやしかし、二次元だから萌えるのであって、現実でされたらトキメキよりも先に恥ずか死ぬということを実感した。
二次元のヒロインの心臓の強さと対処力、恐るべし。
もうこのリフレイン地獄を抜け出すには、寝るしかない。
そう思うか思わないかのうちに、私の意識は都合よくフェイドアウトした。
ーーー
「弟が、目の前で死んだんだ」
画面の向こうのアラン殿下が悲痛な顔で告げる。
「兄弟仲は良くはなかった。むしろ、私は弟を疎んですらいた」
画面の向こうでヒロインが励ますようにアラン殿下の手にそっと触れる。
「だけど、死ぬなんて考えてもいなかった。
…死だ。死んだんだ。普通悲しいことなはずなのに、誰も気にも止めなかった」
ポロリとアラン殿下の頬を涙が伝う。
「そして怖くなった。私が死んでも、何事もなく時が進むことが。誰も悲しんでくれないんじゃないかということが…」
俯くアラン殿下にヒロインがそっと身を寄せる。
「アランがいなくなるなんて、考えたくない。そうなったら私の時間もそこで止まるでしょう。あなたは弟王子とは違う。大丈夫、大丈夫よ」
そう言って優しくアラン殿下の髪を撫でるヒロインを、アラン殿下は搔き抱き、そして………。
「やめーーーーーーい!」
胸糞悪い展開に叫びながらガバリと身を起こす。
ネグリジェが汗で肌にまとわりつき、荒く息をつきながら、夢見の悪さに頭を掻き毟る。
何あれ何あれ何あれ!
いや、本当は分かってる。
あれは前世の私が見ていた、この乙女ゲームの場面。
そう、まさにアラン殿下がヒロインに心開くイベントの場面。
そのスチル画像に身悶えしたのも覚えてる。
だけど今は、全く萌えない。
アラン殿下が嘆いているのは、結局は自分の身を思ってのこと。
ルー様のことになんて、これっぽっちも想いを馳せていない。
それに、ヒロイン。
大丈夫ってなんだ。あなたは弟王子とは違うってなんだ。
ぶっ飛ばすぞこら。
一緒だよ!
むしろルー様の方が尊いよ!
アラン殿下がクズならヒロインはクソだよ!
………それに、それに。
ルー様が死ぬって何。
攻略対象者じゃない理由が、本編始まる前に死んでるって…。
そんなの嫌。
ルー様が死ぬなんて考えたくもない。
そんなことにはさせない。
私の全身全霊をかけて、ルー様を守る。
だけど、今思い出した展開だけでは、ルー様をどうやって守ればいいかなんて正解は分からない。
つまり、ルー様を守るためにはどんなことでも対処できるようにならなきゃいけない。
それならば、することはただ一つ。
スキルを上げる。
それに尽きる。
そうと分かれば、あとは行動あるのみ。
ルー様の危機がいつかも分からない今、悠長に構えている暇なんてない。
ルー様は、私が守る!!!!
それはキス。または接吻。または口付けともいう。
ぬおおおおおおおおおお!
思い出してはベッドの上を転げ回る。
どうやってここまで帰ってきたかも覚えていない。
つまり、あの瞬間から私の思考回路はショートし、壊れたステレオのように同じ場面をリフレインしている。
どんな拷問だ。
こんな乙女展開に持っていくルー様の凄まじさ。
ますます攻略対象でない謎が深まる。
前世の私なら絶対推しメンにしていただろうに。
いやしかし、二次元だから萌えるのであって、現実でされたらトキメキよりも先に恥ずか死ぬということを実感した。
二次元のヒロインの心臓の強さと対処力、恐るべし。
もうこのリフレイン地獄を抜け出すには、寝るしかない。
そう思うか思わないかのうちに、私の意識は都合よくフェイドアウトした。
ーーー
「弟が、目の前で死んだんだ」
画面の向こうのアラン殿下が悲痛な顔で告げる。
「兄弟仲は良くはなかった。むしろ、私は弟を疎んですらいた」
画面の向こうでヒロインが励ますようにアラン殿下の手にそっと触れる。
「だけど、死ぬなんて考えてもいなかった。
…死だ。死んだんだ。普通悲しいことなはずなのに、誰も気にも止めなかった」
ポロリとアラン殿下の頬を涙が伝う。
「そして怖くなった。私が死んでも、何事もなく時が進むことが。誰も悲しんでくれないんじゃないかということが…」
俯くアラン殿下にヒロインがそっと身を寄せる。
「アランがいなくなるなんて、考えたくない。そうなったら私の時間もそこで止まるでしょう。あなたは弟王子とは違う。大丈夫、大丈夫よ」
そう言って優しくアラン殿下の髪を撫でるヒロインを、アラン殿下は搔き抱き、そして………。
「やめーーーーーーい!」
胸糞悪い展開に叫びながらガバリと身を起こす。
ネグリジェが汗で肌にまとわりつき、荒く息をつきながら、夢見の悪さに頭を掻き毟る。
何あれ何あれ何あれ!
いや、本当は分かってる。
あれは前世の私が見ていた、この乙女ゲームの場面。
そう、まさにアラン殿下がヒロインに心開くイベントの場面。
そのスチル画像に身悶えしたのも覚えてる。
だけど今は、全く萌えない。
アラン殿下が嘆いているのは、結局は自分の身を思ってのこと。
ルー様のことになんて、これっぽっちも想いを馳せていない。
それに、ヒロイン。
大丈夫ってなんだ。あなたは弟王子とは違うってなんだ。
ぶっ飛ばすぞこら。
一緒だよ!
むしろルー様の方が尊いよ!
アラン殿下がクズならヒロインはクソだよ!
………それに、それに。
ルー様が死ぬって何。
攻略対象者じゃない理由が、本編始まる前に死んでるって…。
そんなの嫌。
ルー様が死ぬなんて考えたくもない。
そんなことにはさせない。
私の全身全霊をかけて、ルー様を守る。
だけど、今思い出した展開だけでは、ルー様をどうやって守ればいいかなんて正解は分からない。
つまり、ルー様を守るためにはどんなことでも対処できるようにならなきゃいけない。
それならば、することはただ一つ。
スキルを上げる。
それに尽きる。
そうと分かれば、あとは行動あるのみ。
ルー様の危機がいつかも分からない今、悠長に構えている暇なんてない。
ルー様は、私が守る!!!!
0
あなたにおすすめの小説
気配消し令嬢の失敗
かな
恋愛
ユリアは公爵家の次女として生まれ、獣人国に攫われた長女エーリアの代わりに第1王子の婚約者候補の筆頭にされてしまう。王妃なんて面倒臭いと思ったユリアは、自分自身に認識阻害と気配消しの魔法を掛け、居るかいないかわからないと言われるほどの地味な令嬢を装った。
15才になり学園に入学すると、編入してきた男爵令嬢が第1王子と有力貴族令息を複数侍らかせることとなり、ユリア以外の婚約者候補と男爵令嬢の揉める事が日常茶飯事に。ユリアは遠くからボーッとそれを眺めながら〘 いつになったら婚約者候補から外してくれるのかな? 〙と思っていた。そんなユリアが失敗する話。
※王子は曾祖母コンです。
※ユリアは悪役令嬢ではありません。
※タグを少し修正しました。
初めての投稿なのでゆる〜く読んでください。ご都合主義はご愛嬌ということで見逃してください( *・ω・)*_ _))ペコリン
逆ハーレムエンド? 現実を見て下さいませ
朝霞 花純@電子書籍発売中
恋愛
エリザベート・ラガルド公爵令嬢は溜息を吐く。
理由はとある男爵令嬢による逆ハーレム。
逆ハーレムのメンバーは彼女の婚約者のアレックス王太子殿下とその側近一同だ。
エリザベートは男爵令嬢に注意する為に逆ハーレムの元へ向かう。
シナリオ通り追放されて早死にしましたが幸せでした
黒姫
恋愛
乙女ゲームの悪役令嬢に転生しました。神様によると、婚約者の王太子に断罪されて極北の修道院に幽閉され、30歳を前にして死んでしまう設定は変えられないそうです。さて、それでも幸せになるにはどうしたら良いでしょうか?(2/16 完結。カテゴリーを恋愛に変更しました。)
悪役令嬢ですが、当て馬なんて奉仕活動はいたしませんので、どうぞあしからず!
たぬきち25番
恋愛
気が付くと私は、ゲームの中の悪役令嬢フォルトナに転生していた。自分は、婚約者のルジェク王子殿下と、ヒロインのクレアを邪魔する悪役令嬢。そして、ふと気が付いた。私は今、強大な権力と、惚れ惚れするほどの美貌と身体、そして、かなり出来の良い頭を持っていた。王子も確かにカッコイイけど、この世界には他にもカッコイイ男性はいる、王子はヒロインにお任せします。え? 当て馬がいないと物語が進まない? ごめんなさい、王子殿下、私、自分のことを優先させて頂きまぁ~す♡
※マルチエンディングです!!
コルネリウス(兄)&ルジェク(王子)好きなエンディングをお迎えください m(_ _)m
2024.11.14アイク(誰?)ルートをスタートいたしました。
楽しんで頂けると幸いです。
※他サイト様にも掲載中です
転生者はチートな悪役令嬢になりました〜私を死なせた貴方を許しません〜
みおな
恋愛
私が転生したのは、乙女ゲームの世界でした。何ですか?このライトノベル的な展開は。
しかも、転生先の悪役令嬢は公爵家の婚約者に冤罪をかけられて、処刑されてるじゃないですか。
冗談は顔だけにして下さい。元々、好きでもなかった婚約者に、何で殺されなきゃならないんですか!
わかりました。私が転生したのは、この悪役令嬢を「救う」ためなんですね?
それなら、ついでに公爵家との婚約も回避しましょう。おまけで貴方にも仕返しさせていただきますね?
記憶を失くして転生しました…転生先は悪役令嬢?
ねこママ
恋愛
「いいかげんにしないかっ!」
バシッ!!
わたくしは咄嗟に、フリード様の腕に抱き付くメリンダ様を引き離さなければと手を伸ばしてしまい…頬を叩かれてバランスを崩し倒れこみ、壁に頭を強く打ち付け意識を失いました。
目が覚めると知らない部屋、豪華な寝台に…近付いてくるのはメイド? 何故髪が緑なの?
最後の記憶は私に向かって来る車のライト…交通事故?
ここは何処? 家族? 友人? 誰も思い出せない……
前世を思い出したセレンディアだが、事故の衝撃で記憶を失くしていた……
前世の自分を含む人物の記憶だけが消えているようです。
転生した先の記憶すら全く無く、頭に浮かぶものと違い過ぎる世界観に戸惑っていると……?
【完結】【35万pt感謝】転生したらお飾りにもならない王妃のようなので自由にやらせていただきます
宇水涼麻
恋愛
王妃レイジーナは出産を期に入れ替わった。現世の知識と前世の記憶を持ったレイジーナは王子を産む道具である現状の脱却に奮闘する。
さらには息子に殺される運命から逃れられるのか。
中世ヨーロッパ風異世界転生。
悪役令嬢がヒロインからのハラスメントにビンタをぶちかますまで。
倉桐ぱきぽ
恋愛
乙女ゲームの悪役令嬢に転生した私は、ざまぁ回避のため、まじめに生きていた。
でも、ヒロイン(転生者)がひどい!
彼女の嘘を信じた推しから嫌われるし。無実の罪を着せられるし。そのうえ「ちゃんと悪役やりなさい」⁉
シナリオ通りに進めたいヒロインからのハラスメントは、もう、うんざり!
私は私の望むままに生きます!!
本編+番外編3作で、40000文字くらいです。
⚠途中、視点が変わります。サブタイトルをご覧下さい。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる