修学旅行のはずが突然異世界に!?

中澤 亮

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2章 スティルド王国編

第74話 応戦と華麗な精霊

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 琉海がティニアを助けている間、エアリスたちは他の襲撃者と戦っていた。

 馬車を中心にエアリスが前線に立ち、静華とメイリが後方から援護する陣形を取る。

 アンジュは気を失っており、馬車に背中をもたれかからせて、座らせていた。

「さて、ルイにここを任されたから少し張り切らせてもらうわね」

 エアリスはそう言うと、空いている片方の手に《創造》で剣を生み出した。

「…………えっ!?」

 何かの魔法なのかもしれないが、エアリスがやったことにメイリは驚いてしまった。

 メイリの能力は《魔力視》。

 今のエアリスの魔法には、魔力を一切感じなかった。

 さらに、今でもエアリスから魔力を感じることはできない。

 理解できない状況にメイリの精神は混乱していた。

 そして、魔力のないエアリスが最前線で戦って大丈夫なのかと、隣にいる静華に視線を送る。

 メイリの能力で視る限り、静華がこの中で一番魔力が高い。

 不安を持ちつつ、見守るメイリ。

 メイリはさっきまでのエアリスの戦闘を馬車の中にいて見てなかったので仕方がない。

 メイリの心配を余所に、両手に二振りの剣を持ったエアリスは駆け出した。

 精霊術の身体強化をエアリスも施している。

 琉海の動きと遜色ない速さで襲撃者の懐に入り、二刀の斬撃で斬り飛ばした。

 囲まれそうになるもエアリスはスルリと躱し、お返しとばかりに銀閃が煌めく。

 あっという間に全員を倒してしまった。

「……す、すごい」

 メイリは呆けたように呟いた。

 静華も驚いていたが、精霊であることを知っている静華はメイリほどではなかった。

 返り血は一切浴びておらず、剣にも血が付いているようには見えない。

「お待たせ」

 エアリスは買い物から戻ってきたかのように言って帰ってくる。

 剣は戻ってくる間に消していた。

「すごいです。ルイ様に迫る強さでした」

 メイリがエアリスを称賛して迎える。

「ありがとう。でも、私より、ルイのほうが強いわよ」

 エアリスはウインクしてそう答えた。

「そうなんですか?」

「ええ、強いわ」

 エアリスは自分のことのように自慢する。

 そんな雑談をしていると――

「ん、ううん……」

 アンジュが意識を戻した。

「ティニア様ッ!」

 思い出したかのようにいきなり飛び起きるアンジュ。

「アンジュ、ティニア様なら大丈夫よ。ルイ様に頼んだから」

 メイリがアンジュを落ち着かせるように言う。

「だ、だが、ティニア様に何かあったら……」

「あなたもルイ様の強さは見たでしょ。あれだけ強い方がダメな相手にアンジュが助けられると思うの?」

 子供をなだめるかのようにメイリは言い聞かせる。

「待ちましょう」

 アンジュも頭では、理解したのか何も言わなくなった。

 そうしていると、王宮のほうから、バンッ! バンッ! バンッ! バンッ! と音がしてくる。

 その音にメイリとアンジュは王宮の上空を見上げた。

 様々な色の火花が咲いて儚く消える。

「花火?」

「綺麗ね」

 静華はそれを見て首を傾げ、エアリスは花火に見惚れた。

 だが、アンジュとメイリは反対に青ざめる。

「どうしました?」

 静華が二人の表情に気づいて聞く。

「あの花火は決勝戦の開始を意味します」

「例年通りなら、もうすぐ決勝の一試合目が始まるということです」

 メイリとアンジュはか細い声で説明してくる。

「たしか、琉海くんの試合って一試合目だっけ?」

「ええ、そうね」

 静華が思い出したように言い、エアリスは頷いた。

「つまり、試合には間に合わないってことじゃないですか!?」

 静華もこの重大さに気づいたようだ。

「そうです。ですが、ルイ様はティニア様を救いに……」

 メイリは王宮とは逆のほうに視線を向けた。

 その方向は、ティニアを連れ去った男が向かった方角だ。

 焦り出す静華。

 主の家が没落してしまうという状況に悲痛の表情を浮かべる二人。

 そんな中――

「う~ん、大丈夫だと思うわよ」

 エアリスのその言葉に三人は彼女に視線を向けた。

 三人は何も言わず無言で先を促す。

「だって、ルイはもう向かっているもの」

 エアリスは琉海が走っている方角を指差した。

「「「…………えっ!?」」」

 三人の声と表情が揃った瞬間だった。
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