【完結】♡短編詰め合わせ♡

Erily

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④ あやかし書店のアルバイト

7 五丁目について

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side狐光咲夜

「美緒っ…!
何をやっているんだ!?」

「まぁまぁ、何があったのか知りませんが、あんみつをご馳走していただけですよ。」

鬼流さんが穏やかに言う。

「…美緒、お前は帰れ。」

「そうですね。
私も少し狐光さんと話があります。」

美緒はトボトボと帰っていった。

「ウチの者にちょっかいをかけるのはやめてもらえますか?」

「心外ですねぇ。
ちょっかいなどかけていませんよ。

それよりも、話があるのです。」

「?
何ですか?」

俺はアイスコーヒーを注文して、そう尋ねた。

「彼女、美緒さんね。
おそらく妖怪の血が入っていますよ。」

「まさか…!?
何の冗談だ?
そんなはず…」

「彼女と最初に会った時、私は彼女の腕を掴みましたが、その時彼女は彼女自身の妖気を発しました。
おそらくあの妖気の大きさから言って、クォーターまたは、1/8というところでしょうか…」

「そんな…
美緒が…

ま…さか…?」

「えぇ、そうです。
あの童話、いいえ、昔話の龍王の姫。
あの時お姫様は人間界に戻りましたが、もしも…
龍王の子供を孕っていたとしたら…?
1/8は、ちょうど美緒さんと同じ年頃という計算になります。」

鬼流さんは言う。

「馬鹿な…
美緒が龍王の子孫?

そんなはずは…」

「なぜ、と言いきれますか?

実際彼女はこのあやかし街に転移してきている。
普通の人間にそんな事が可能でしょうか?」

鬼流さんは畳み掛けるように言った。

「それから…」

「まだあるのかよ…」

俺はゲンナリしてそう答えた。

「五丁目の話ですよ。」

鬼流さんは言った。

五丁目、それは魔境とも呼ばれ、あやかし街から追放された妖怪のいくところだった。

「五丁目がどうかしたのか?」

「五丁目のぬらりひょんがどうも仲間を結集させているようです。
あやかし街に攻め込むつもりかも…
しれませんねぇ?」

鬼流さんは言う。

「待てよ。
あやかし街と五丁目には大きな結界が…

まさか…
結界を破るために美緒を呼び寄せた…?」

「私も同じ考えですよ。
もしも、美緒さんが龍王の直系ならば、結界を破る力を持っているはずです。

まぁ、全ては推測ですが、そう考えると全ての点と点が繋がります。」

鬼流さんは言う。

「分かった…

その話はまだ他言しないでくれ。
俺も美緒が出歩かないように注意しておく。」

俺はいい、鬼流さんは黙って頷いた。

そして、俺は勘定を払い、暗い気持ちで狐光書店へと帰っていった。

「美緒、俺と蝶花は付き合っていない。
騙されたんだよ、お前。」

そう言っておいた。

事実だ。

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