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過去作品<抜粋版>

(8)「息子に求められない日々…」

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【2015年2月】


(ゆうちゃん、どうしたの?)

妊娠騒動があってから、もう1ヶ月以上が過ぎました。

息子の赤ちゃんを妊娠するという、危険極まりない事態は回避出来ました。

ただ、あれ以来、息子から求められることは、ぱったり無くなりました。

(やっぱり、ゆうちゃんも後悔してるのかな?)

常識的に考えれば、それは当たり前だと思います。

妊娠云々より、母と息子が、男女として愛し合うこと自体が、本来は間違っています。

(仕方ないよね、本当はいけないことなんだから…。 それに、やっぱりゆうちゃんには同じくらいの若い子がいいよ。 もうすぐ40のおばさんなんて…。)

諦めようと、自分の置かれた立場を冷静に考えます。

ただ、考えれば考えるほど、未練は大きく膨らんでいきます。

(お母さんだって、そんなに悪くはないよね…。 胸だって、大きい方だし…。 お尻は…、少し大きいかもしれないけど、くびれだってしっかりあるんだから、若い子にだって…。)

誰の為と思って磨いてきたわけではありませんが、スタイルは20代の頃からずっと維持してきました。

息子と結ばれてからは、通っていたフィットネスもより一層頑張っていました。

(ゆうちゃんに恋人が出来ても、絶対負けないんだから…。)

存在しない恋人に、ライバル意識を燃やしたこともありました。

恋愛をすると綺麗になる、と一般的に言われていますが、実際にお化粧のノリも以前より遥かに良くなっていました。

(ゆうちゃんの為に、もっともっと綺麗になりたい…。)

そんな事まで思い描いていました。

(けど、ゆうちゃんが、してくれなかったら、お母さん、どうしたらいいの?)

息子の代わりを、主人に求めることはあり得ませんでした。

かと言って、外に目を向ける気持ちも、勇気もありません。

(はぁ、お母さん、どうしたらいい?)

おそらくは2階で勉強している息子に向けて問いかけます。

以前は、逆の事で悩む毎日でした。

(時間があればお母さんに抱きついて…。 困ったゆうちゃん…。)

けれど今は、求められないことが辛くて堪りません。

(ゆうちゃんが、悪いの…。)

気付けば、自らで慰める日々が続いていました。

(ゆうちゃん、ゆうちゃん…。)

息子の脱ぎ捨てたシャツを顔に当て、若い牡の臭気を深く吸い込み、満たされない欲望を埋める母親。

息子と関係を持つ前、彼が私の下着を悪戯していたことが頭をよぎります。

(本当、血は争えないのね…。)

息子との関係が終わってしまう。

そう考えれば考えるほど、母の欲望は大きくなっていました。

「じゃあ、今度は母さんから誘ってよ。」

「妊娠しなかったことは…、良かったことじゃないからね!」

「俺は母さんが妊娠してもいいと思ってたよ。 いや、違う、妊娠して欲しいと思ったんだ!!」

私の気持ちが限界に達し、息子を問い詰めた時の、彼の言葉です。

(お母さん、ゆうちゃんの為なら、どうなってもいい!)

心の底からそう思いました。
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