［ R-18 ］息子に女の悦びを教え込まれた母の日常

過去作品＜抜粋版＞

（５）「息子を引き寄せる蜜…」

【２０１４年９月】


「うっ…。」

（やっぱり、少し痛い…。　久しぶりなのに、あんなにしたからかな…。）

お腹の奥に、軽い痛みを感じます。

原因は…、わかっています。

（まさか、こんな深いところまで届くなんて…。）

お臍の辺りを撫でながら、彼の大きさを実感していました。

「あれ、恵子ちゃん、あの日？」

後ろの席に座っている女性が声をかけてきます。

彼女は梶田さんと言います。

私が入社してから、ずっと面倒を見てくれている先輩です。

「梶田さん、違いますよ。　ちょっとお腹が…。」

「あら、食べ過ぎ？　それとも、旦那と頑張っちゃったのかなぁ？」

彼女は、こう言った事もさらっと言葉にします。

仕事も出来、面倒見も良い先輩ですが、こういうところは困ります。

「もぅ、どっちも違いますよ！！」

（本当は、半分当たってる、怖い人…。）

「少し冷えたのかも、ちょっと外しますね。」

「ごゆっくり！」

せっかくなので梶田さんにお願いしてトイレに向かいました。

これ以上質問されるのを避ける意味もありましたが、本当にトイレに用もありました。

（もぅ、まだ出てくる…。　ゆうちゃんの、こんなに…。）

土曜日に注がれたものは、月曜日になっても溢れてきました。

（お母さんを、こんなに困らせて…。）

こんな体験は初めてでした。

（これからはもっと持ち歩かないとだめね。）

普段でも１、２枚はナプキンをバッグに入れています。

しかし、それも午前中で使い切ってしまうほど、溢れてきました。

（あの人の時は、こんなこと１度もなかったのに…。）

男女の交わりは、もちろん初めてではありません。

現に、息子を妊娠するために、同じ行為はしてきました。

しかし、何度もナプキンを変えなくてはらないようなことは全くありませんでした。

男性経験自体、私は多くありません。

高校時代、初めてを捧げた先輩とも、１度しかしていません。

激しい痛みだけが印象に残り、次に求められてもなかなか応じる勇気がありませんでした。

そのうち、先輩からは連絡が無くなり、初めての彼氏は去っていきました。

主人とはお仕事の繋がりで知り合いました。

主人の、仕事への情熱と人生観に惹かれ、結婚を決意しました。

初めての時の苦い経験もありましたので、子供を作るだけの最低限の行為にも不満はありませんでした。

（これが、本当に愛し合うってことなのかな…。）

ティッシュに付いた液体を見ながら、そう思いました。

流し込んだ量が、愛情の深さとは思っていません。

けど、好きでなければあんなに何度も出来るとは思えませんでした。

（お母さんのこと、好き？）

お化粧を整えながら、鏡に問いかけます。

トイレに誰もいないことは確認済みです。

「お母さんは、ゆうちゃんが大好き…。」

今度は声に出して呟きます。

恥ずかしくありませんでした。

本当はもっと大きな声で叫びたいくらいでした。

（やっぱり、私は、ゆうちゃんのこと、ずっと前から、好きだったんだ…。）

彼がお腹に宿った瞬間から愛していました。

それは、母としては当たり前の感情です。

しかし今は、母の想うそれとは全く違っていました。

「大好き、愛してるの…。」

もう１度呟いた瞬間、身体の奥から溢れ出るものを感じます。

それは液ではなく、蜜と呼ぶべきものでした。

蜜は、牡を引き寄せるためのものです。

その蜜を溢れさせる身体は、母ではなく、女であることを証明していました。

（あぁ、たぶん、また濡れて…。）

１度出たトイレに戻り、ショーツを確認します。

（あぁ、もぅ、早く仕事に戻らないと、また梶田さんに揶揄われそう…。）

今度は手早く拭き取り、自席に戻りました。

「恵子ちゃん、大丈夫？」

そう声を掛けてきた梶田さんの目が、すべてを見透かしているように思えました。

もちろんそんなことを想像するはずもありません。

母と息子が、愛し合うなんてことは…。