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オープン初日
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学園内に突如として謎の建物が建築されたという噂は、あっという間に広がっていたらしく、のぼり旗を店の横に立てると少しずつではあるが人が入ってきた。
「まだオープンも伝えてねぇのに、意外と来てるな…」
「お店の横の旗のおかげじゃない?」
バックヤードにあったのぼり旗を少し魔法で書き換えてもらい、店の横に立てたのは正解だったようだ。
それを見た生徒が店を見に来て、その生徒がさらに友達に話し、どんどんと店の噂が広まる。
店には常時人がいる状態で、意外にも繁盛した…ように見えたのだが…
「全っっっ然売れない………」
そう、商品が売れないのである。
かろうじてこの世界にもあるゆで卵やサラダチキンは売れるものの、そもそも店で売っている品物自体この世界の人にとっては見慣れぬ物なのである。
しかもそれを販売しているのは、異世界から来た青年。
興味本位で多数の生徒が店には入るものの、商品を実際に購入するのはわずかな人数だけであった。
大多数は商品を見るだけで帰り、時々レオンとノクタールのクラスメイト達が冷やかしにくる程度である。
客足が引き、店内に渚たち三人だけが取り残される。
「この世界には弁当とか菓子パンって文化がないのか…」
渚は蒸しパンを手に取ると、その袋を開けて少しちぎって二人に分けた。
「これは蒸しパン。多分、これも菓子パンの一つなんだけど…」
「虫!?」
「…多分、”むし”違いだと思う。生き物の虫じゃなくて、蒸す方の蒸しね」
レオンとノクタールは、それでも”むし”という言葉に嫌悪感を示し食べるのを躊躇った。
しかしあまりにも渚が躊躇なく口に入れるため、二人も意を決して食べてみる。
そして…
「え…うま…」
「なにこれ…おいしすぎる…!」
「でしょー。菓子パンは正義だからねー」
「メロンパンといい、この蒸しパンといい、パンってのはこんなに種類があるのか」
ノクタールは、商品棚に並ぶ菓子パンを眺める。
おそらく30種類を超えるであろう菓子パンが並んでいる商品棚は、この世界の人が見るととても奇妙な光景らしい。
「そもそも、パンに味がついてるってのがすごいもんね」
レオンもそういうと、どうにか売れないかな、と渚と一緒に頭を悩ませた。
「地道に売っていくしかなさそうだね…でもせっかくの機会だし、クラスメイトの人たちに菓子パン配ってくれない?宣伝にもなりそうだし」
そう言うと渚は、スティック状になったチョコチップの入った菓子パンを差し出す。
「これ、1袋に6本入ってるから、一本ずつ分けてもらうとして…何個必要?」
渚はそういうと、唐揚げ弁当のある棚の前に立つ。
そして慣れた手つきでポトポトとスティックパンを出していった。
「18人いるから…3袋かな…。あとさ、ずっと言いたかったんだけど…食べ物を直に床に落とすのはどうかと…」
「あ、ごめん」
「じゃあ、これはあとでもらうとして…どうしようね、あんまりお客さん来なくなっちゃった」
レオンは入口をチラリと見た。
前を通る生徒はいるものの、段々と中まで入ってくる生徒は減ってしまった。
と、その時、一人の生徒が入ってくるのが見えた。
「お!新しい客が来たぞ」
「まだオープンも伝えてねぇのに、意外と来てるな…」
「お店の横の旗のおかげじゃない?」
バックヤードにあったのぼり旗を少し魔法で書き換えてもらい、店の横に立てたのは正解だったようだ。
それを見た生徒が店を見に来て、その生徒がさらに友達に話し、どんどんと店の噂が広まる。
店には常時人がいる状態で、意外にも繁盛した…ように見えたのだが…
「全っっっ然売れない………」
そう、商品が売れないのである。
かろうじてこの世界にもあるゆで卵やサラダチキンは売れるものの、そもそも店で売っている品物自体この世界の人にとっては見慣れぬ物なのである。
しかもそれを販売しているのは、異世界から来た青年。
興味本位で多数の生徒が店には入るものの、商品を実際に購入するのはわずかな人数だけであった。
大多数は商品を見るだけで帰り、時々レオンとノクタールのクラスメイト達が冷やかしにくる程度である。
客足が引き、店内に渚たち三人だけが取り残される。
「この世界には弁当とか菓子パンって文化がないのか…」
渚は蒸しパンを手に取ると、その袋を開けて少しちぎって二人に分けた。
「これは蒸しパン。多分、これも菓子パンの一つなんだけど…」
「虫!?」
「…多分、”むし”違いだと思う。生き物の虫じゃなくて、蒸す方の蒸しね」
レオンとノクタールは、それでも”むし”という言葉に嫌悪感を示し食べるのを躊躇った。
しかしあまりにも渚が躊躇なく口に入れるため、二人も意を決して食べてみる。
そして…
「え…うま…」
「なにこれ…おいしすぎる…!」
「でしょー。菓子パンは正義だからねー」
「メロンパンといい、この蒸しパンといい、パンってのはこんなに種類があるのか」
ノクタールは、商品棚に並ぶ菓子パンを眺める。
おそらく30種類を超えるであろう菓子パンが並んでいる商品棚は、この世界の人が見るととても奇妙な光景らしい。
「そもそも、パンに味がついてるってのがすごいもんね」
レオンもそういうと、どうにか売れないかな、と渚と一緒に頭を悩ませた。
「地道に売っていくしかなさそうだね…でもせっかくの機会だし、クラスメイトの人たちに菓子パン配ってくれない?宣伝にもなりそうだし」
そう言うと渚は、スティック状になったチョコチップの入った菓子パンを差し出す。
「これ、1袋に6本入ってるから、一本ずつ分けてもらうとして…何個必要?」
渚はそういうと、唐揚げ弁当のある棚の前に立つ。
そして慣れた手つきでポトポトとスティックパンを出していった。
「18人いるから…3袋かな…。あとさ、ずっと言いたかったんだけど…食べ物を直に床に落とすのはどうかと…」
「あ、ごめん」
「じゃあ、これはあとでもらうとして…どうしようね、あんまりお客さん来なくなっちゃった」
レオンは入口をチラリと見た。
前を通る生徒はいるものの、段々と中まで入ってくる生徒は減ってしまった。
と、その時、一人の生徒が入ってくるのが見えた。
「お!新しい客が来たぞ」
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