魔王の馬鹿息子(五歳)が魔法学校に入るそうです

何てかこうか?

文字の大きさ
36 / 45
皇帝生誕九十年祭

第三十六話 オリギナの調査

しおりを挟む
「これは、火薬の痕跡だね」
「インパクトシェイカー以外の攻撃魔法は感知できませんね」
「あのクソガキ、火薬何て持ち込みやがったのか」

 シュンカとレトス、近衛兵による現場検証だ。シュンカはカテイナの魔力を知っているため、魔力検査の人員として呼び出された。シュンカ自身も皇帝陛下にかかわることと招集にはすぐに応じた。

「彼は火薬を持っていないよ。彼のことは城壁の外の時点から監視していた。荷物無し、服に忍び込ませるにしても今度は威力がおかしい。建屋の爆散は火薬によるものだ」
「それにこの血痕、彼自身がダメージを受けてます。それもかなりの重傷、よくもまあ、インパクトシェイカーにゲート、正確にこれだけの魔法を駆使できたものです」
「何が言いたいんです?」
「一度目の爆発は彼が意図してやったんじゃないのさ。現場の証拠だけだとね。あとは二度目のインパクトシェイカーに巻き込まれた人員への聞き取りだね」
「全員、城の救護棟に収容されています。命に別状はなく、事情聴取は可能です」

 レトスはにっこり笑うと、救護棟に向かう。シュンカや近衛兵もそれに続いた。
 カテイナに吹っ飛ばされた人員は四名、重傷二名、軽傷一名、すでに現場復帰済みが一名だ。

「ひどいね」
「本当に」
「全くです」
「このレベルで近衛の師団長ですか?」
「えっ?」
「とっさの防御、回避、受け流し、レベルが低いね。さらに言うなら予感はできたろう?これができてないならヒラからやり直したまえ」
「ちょっと……」
「ケガの原因は平和ボケですか? 鍛錬不足だとしたら、全隊員を鍛えなおさないと」
「うげぇ……」

 ベッドで横になっている三名が申し訳ないと頭を下げる。復帰したのはかの第一師団長だ。彼だけはカテイナの力を正確に把握していた。彼も事情聴取と言うことで病室に来ている。

「それで、君たちの見たカテイナ君の状態を確認したいのだが?」
「それは私が答えましょう」

 第一師団長がレトスの問に答える。カテイナも爆心点から吹き飛ばされていたこと。重傷だったこと。近寄ったら激昂されたこと。

「なるほどねぇ……そうするとまずいな」
「同感です。私も失敗しました。駆けつけるのが早すぎて、完全武装で彼の前に立つべきではなかった。武装解除はクラウディアに指示して前例があったのに……面目ない」
「そうだねぇ。かなりの率で彼がオリギナの張った罠だと考えてるね。そして彼の性格は――」
「暴れん坊です。やられたと思ったならやり返すでしょうね」

 その場の全員がため息をつく。

「カテイナ君の居場所はつかめているかね?」
「現在、大使館内に居ます。そこまでは魔力感知で調べられました。皇帝陛下のご命令で調査完了まで手を出すなとのこと、近衛の第一と第二師団で隠密包囲中です」
「伝令――! 大使館からジブリル殿が出てきました。現在ジオール城前で皇帝陛下に謁見を申し入れています」
「流石に早いねぇ。できれば我々で動向を伺いたいけど。それどころじゃないだろうし、皇帝陛下にこの事情を説明する間だけでもジブリルさんと話をできないだろうか」
「――よい――全員、謁見の間に、参集のこと――」

 いきなりこの場の誰でもない声が響いた。静かに、囁くような声だったが全員がその声を聴いている。
 議論をしていた集団に対して囁くような声を的確に漏らさず伝えるその技量。魔法技術の天才たちが集う魔法帝国オリギナにおいて、使用した魔力を感知させないという並ぶことのできない技。そんなことが可能な人物は帝国広しといえどただ一人しかいない。
 その場の全員が姿勢を正して起立する。

「「「「皇帝陛下の仰せのままに!」」」」

 その場の全員が部屋を飛び出した。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。

僕に仕えるメイドは世界最強の英雄です1~またクビになったけど、親代わりのメイドが慰めてくれるので悲しくなんてない!!~

あきくん☆ひろくん
ファンタジー
仕事を失い、居場所をなくした青年。 彼に仕えるのは――世界を救った英雄たちだった。 剣も魔法も得意ではない主人公は、 最強のメイドたちに守られながら生きている。 だが彼自身は、 「守られるだけの存在」でいることを良しとしなかった。 自分にできることは何か。 この世界で、どう生きていくべきか。 最強の力を持つ者たちと、 何者でもない一人の青年。 その主従関係は、やがて世界の歪みと過去へと繋がっていく。 本作は、 圧倒的な安心感のある日常パートと、 必要なときには本格的に描かれる戦い、 そして「守られる側の成長」を軸にした 完結済み長編ファンタジーです。 シリーズ作品の一編ですが、本作単体でもお楽しみいただけます。 最後まで安心して、一気読みしていただければ幸いです。

おばちゃんダイバーは浅い層で頑張ります

きむらきむこ
ファンタジー
ダンジョンができて十年。年金の足しにダンジョンに通ってます。田中優子61歳

【魔女ローゼマリー伝説】~5歳で存在を忘れられた元王女の私だけど、自称美少女天才魔女として世界を救うために冒険したいと思います!~

ハムえっぐ
ファンタジー
かつて魔族が降臨し、7人の英雄によって平和がもたらされた大陸。その一国、ベルガー王国で物語は始まる。 王国の第一王女ローゼマリーは、5歳の誕生日の夜、幸せな時間のさなかに王宮を襲撃され、目の前で両親である国王夫妻を「漆黒の剣を持つ謎の黒髪の女」に殺害される。母が最後の力で放った転移魔法と「魔女ディルを頼れ」という遺言によりローゼマリーは辛くも死地を脱した。 15歳になったローゼは師ディルと別れ、両親の仇である黒髪の女を探し出すため、そして悪政により荒廃しつつある祖国の現状を確かめるため旅立つ。 国境の街ビオレールで冒険者として活動を始めたローゼは、運命的な出会いを果たす。因縁の仇と同じ黒髪と漆黒の剣を持つ少年傭兵リョウ。自由奔放で可愛いが、何か秘密を抱えていそうなエルフの美少女ベレニス。クセの強い仲間たちと共にローゼの新たな人生が動き出す。 これは王女の身分を失った最強天才魔女ローゼが、復讐の誓いを胸に仲間たちとの絆を育みながら、王国の闇や自らの運命に立ち向かう物語。友情、復讐、恋愛、魔法、剣戟、謀略が織りなす、ダークファンタジー英雄譚が、今、幕を開ける。  

裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね

魚夢ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。 元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、 王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。 代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。 父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。 カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。 その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。 ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。 「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」 そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。 もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。 

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

冤罪で辺境に幽閉された第4王子

satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。 「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。 辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

処理中です...