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第三膜 寝取られ撲滅パーティ編

六十二射目「布団に染み入る真っ赤な血」

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 俺は静かに目を覚ました。
 外から、微かに光が届いてくる。
 心地のよい、穏やかな朝だった。
 
 ふかふかの布団が気持ちよすぎて、俺はため息をついた。
 そして、俺の右隣には、温かいかたまりがあった。

 新崎直穂にいざきなおほが、俺に寄りそうように眠っていたのだ。
 年不相応の童顔を脱力させて、白い浴衣の隙間から、乳房の谷間がちらりと見える。
 浴衣の直穂なおほ、エロ過ぎるだろっ!

 気づけば、俺の下半身は、ギンギンに屹立していた。
 直穂の身体のラインに沿っていく、浴衣の描く曲線を、舐めるように視姦していく。
 
 この浴衣を剥げば、直穂なおほは生まれたままのまっ裸になるのだ。
 くそぉ、見たい、見たいなぁ。
 というか俺は、一応直穂なおほの彼氏なんだよな?
 彼氏なら寝込みを襲っても許される、とかないか?
 
 せ、せめて、おっぱいくらい……
 
 俺の本能は、下半身でビクビクと暴れまくる。

 俺は、股間をギュッと押さえこんだ。
 耐えろ。
 まだ直穂なおほの裸を見る訳にはいかないのだ。
 もし見てしまえば、俺のオ〇二ーの質が落ちてしまうのだ。


 直穂なおほの裸を見てしまっては、俺はもう、ハダカを見ないと達せない身体になってしまう。
 妄想だけではきっと、満足できなくなってしまう。
 俺が賢者になろうとするたびに、直穂なおほに服を脱いで貰わないとイケなくなる。
 それは……絵的にマズイ。

 それは、【自慰マスター〇ーション】スキル使いの俺にとって、致命的なのである。
 俺が妄想だけでオ〇ニー出来る相手は、新崎直穂にいざきなおほだけである。

 俺は、賢者タイムという武器を失う訳には、いかない。
 三人で現実世界に帰る為に、俺のスキルはどうしても必要になるだろう。
 だから、あくまでオ〇ニーなのだ。
 セッ……はしない。 その快楽を知る訳にはいかないのだ。
 直穂なおほと二人で決めたじゃないか。



「おはようございます、行宗ゆきむねさん」

 振り返ると、あぐらをかいたリリィさんがいた。
 リリィさんは、ツインテールを解いた金色の長髪だった。
 髪を下ろした姿は、ユリィさんそっくりだ。

 リリィさんは眠そうな目で俺を見てくる。
 それは、昨日の光景と重なった。
 俺がリリィさんに出会った時である。
 あの時のリリィさんは、今と同じように女の子座りであくびして、
 そして、素っ裸だった俺を、変態誘拐犯と罵って、股間を踏みつけてきたのだった。
 
「リリィさんか…… おはよう、また股間を蹴られなくて良かったよ」

「なっ、あ、あの際は。本当にすみませんでした。あたしも混乱していまして……」

 リリィさんは、上目遣いで、申し訳なさそうに俺を見上げた。

 リリィさんは、出会った頃のクールな感じに比べて、表情が柔らかくなった気がする。
 俺に、心を許すようになったのだろうか?
 なんにせよ、リリィさんはさらに可愛くなった。

 リリィさんは、お人形みたいに可愛い。
 小学校高学年くらいなのに、おっばいが大きいのだ。
 おっぱいが大きいのに、体のバランスは整っている。
 本当に、最高のラブ〇ールだ。
 やはりリリィさんは万能家電である。
 きっと夜の仕事も、難なくこなせるはずだ。

 ……やめておこう。
 俺が変態だとバレれば、今度こそ、股間を破壊されてしまうかもしれない。
 
 

「さて、すぐに出発の準備をしましょう。今日中には、国境を越えますからね。公国の領土に入れば、あとは明日のうちに、首都アキバハラまで辿り着けます」

 リリィさんは、布団の上から腰を上げた。

「そ、そうか、首都アキバハラか……」

 アキバハラといえば、東京都の秋葉原しか思いつかないのだが。
 この世界の秋葉原は、一体どんな街なのだろうか?
 本家通りに、萌えと溢れたアニメ街だといいな。
 なんて思った。

「あ、そういえば、行宗ゆきむねさん。言い忘れていましたが、あなた達が、異世界から来た召喚勇者だという事は、なるべく秘密にしておくべきです」

 リリィさんは真剣な表情でそう言った。
 
「マナ騎士団のギャベルとシルヴァでしたっけ? 
 その二人は、まだ生きているんですよね?
 これは憶測ですが。彼らは行宗ゆきむねさん達の、命を狙っているかもしれません。
 現存するマナ騎士団なんて、聞いたことがありません。
 マナ騎士団はマナ王国と共に、1700年前に公国によって滅ぼされた筈なのですから。
 とにかく、あたしや行宗ゆきむねさんは、彼らの秘密を知ってしまった訳です」

「なるほど………」

 リリィさんの忠告に、俺は背筋を凍らせた。
 そうか。
 まだ、アイツらは生きているのだ。
 考えただけで恐ろしい。
 特にシルヴァという背の低い方は強かった。
 俺が【マルハブシの猛毒】と【自慰マスター〇ーション】を併用して、レベル273状態だった時も。
 完全に勝てると確信できなかったほどである。
 
 【マルハブシの猛毒】が使えない今の俺は、彼には敵わないだろう。
 現在の俺のレベルは……27から52まで上がった。
 賢者状態になれば、さらに三倍の倍率がかかり、156レベルとなるものの、ボス戦時の強さには遠く並ばない。

 ちなみに、新崎直穂にいざきなおほのレベルは48。
 浅尾和奈あさおかずなのレベルは、53だそうだ。
 
「あの、そういえばリリィさんは、レベルはいくつなんですか?」

「レベル……? とは、何のことでしょうか?」

「え??」

 予想外の返答に困惑した。
 何を言っているんだリリィさん。
 心の中でステータスオープンと唱えるだけだぞ。
 それだけで、自分のレベルやステータス、スキルが書かれた画面が現れるだろう。

「あぁ! レベルですね! 思い出しました! 本で読みましたよ行宗ゆきむねさんっ!! 【ステータスの魔法】の事ですね! 行宗ゆきむねさんは召喚勇者だから、自分の強さを数字で見る事ができるんですね!」

 リリィさんは、興奮を抑えられない様子で俺に詰め寄った。
 
「さあ行宗ゆきむねさん! 見せて下さいっ!! どうやってステータスを見るんですかっ!?」

「まてまてっ、まさか、普通の人はステータスが見れないのかっ? というか、大きな声をだすなっ、みんな起きちゃうだろっ!」

 俺に詰め寄るリリィさんの、うるさい口を両手で抑えて牽制したのだが、間に合わなかったらしい。

「うぅぅぅ…………」

 という声をあげて、直穂なおほが目を覚ました。

 そして……

「ゴホ、ゴホゴホッ!!」

 と咳き込んだ様子で、浅尾あさおさんが目を覚ました。

 俺は、浅尾あさおさんの方を見た。


 
 浅尾あさおさんは、口から血を吐いて、布団を赤く染めていた。



「え??」

 信じられなかった。
 吐血? なんで?
 浅尾あさおさんは、なぜ、血を吐いている?
 背筋に寒気が、ゾワゾワと登ってくるのを感じた。

「え……? え? え??」

 浅尾あさおさんは、自分の口からでた赤色を凝視して、動揺していた。

「なんで?? 私……お腹、痛いっ……ゥオェ"ッ!!」

 そしてまた、胃の中から血を吐き出した。
 とても苦しそうで、目を覆いたくなる真っ赤な血であった。

和奈かずなっ!?」

 起きたばかりの直穂なおほが、目の色を変えて起き上がった。
 浅尾あさおさんの元に駆けつけると同時に、両手をかざして魔法を唱える。

「【超回復ハイパヒール】!!」

 淡い緑の光に包まれて、和奈の赤い血が蒸発していく。
 新崎直穂にいざきなおほ超回復ハイパヒールは、毒にも有効のはずだ。
 しかし……

「ぃ"っ!! いだいいたぃいたぃっ!! 痛いよ直穂なおほっ!! 死んじゃぅっ!!」

 浅尾あさおさんは、身をよじらせながら、金切り声で泣き叫んだ。
 怯えた直穂なおほが魔法を解くと、浅尾あさおさんはガクンと布団に脱力した。
 
 直穂なおほは、身体を震わせながら、泣きそうな顔で俺たちの方を見てきた。

「どうしよう、リリィちゃん、行宗ゆきむねっ。超回復ハイパヒールが効かない……」

 それは絶望的で、俺はどうすれば良いのか分からなかった。

「怖いよっ……! 直穂なおほっ!! 助けてよっ……私、死にたくないっ、帰りたいっ……! まだ行きたいよっ……!!」

 浅尾あさおさんは、直穂なおほの手をギュッと握りしめて。
 その顔は血と恐怖に染まっていた。

【第三膜 寝取られ撲滅パーティ編 完】
【第F膜へ続く】
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