クラス転移した俺のスキルが【マスター◯―ション】だった件 (新版)

スイーツ阿修羅

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第二膜 異世界ダンジョンハーレム編

三十八射目「【天ぷらうどん】」

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 俺は今までの経緯を、リリィさんに説明していった。

 この世界に召喚されて、ラスボスを倒すことになった事。
 俺が、「特殊スキル」とマルハブシの毒の力で、ラスボスを倒した事。
 新崎にいざきさんや浅尾あさおさんと共に遭難して、うどんに飲み込まれてしまった事。

 ただし、俺の特殊スキルについては誤魔化しておいた。
 流石に、10才ぐらいの女の子に、性知識を教えるのは教育に悪い。
 【自慰マスター○-ション】とは、口に出さなかった。

 しかしリリィさんは、その説明が不服だったようだ。

「なるほど、今の状況は分かりました。ですが気になる点が一つ、行宗ゆきむねくんのスキルは、一体何なんですか??」

 俺が話を終えると、リリィさんは真っ先に、俺のスキルにツッコんできた。
 不満そうな青い瞳で、俺を真っすぐに見つめてくる。
 
 説明すべきなのだろうか。
 こんな少女に、オ○ニーについて……
 
 いやいや、マズイだろう。まだ小学生ぐらいのはずだ。

 俺が、どうしようかと悩んでいると、
 ぐーぐーぐー、と、
 リリィさんの腹の虫が鳴った。
 お腹が空いているようだ。
 
 俺はリリィさんに、小籠包しょうろんぽうをご馳走することにした。
 お風呂上りに、新崎にいざきさんと浅尾あさおさんと、三人で食べる予定だった昼食である。

 リリィさんは、小籠包しょうろんぽうを一目見ると、目を輝かせて飛びついた。
 よっぽどお腹が空いていたのだろう。

 よし、これで話題は逸れた。
 

 ★★★


「んふぅぅぅ!!美味しいですぅ!!ずっと、うどんばっかり食べていた気がするので、美味しすぎて、涙が出てきてしまいます………」

 金髪少女のリリィは、大きな小籠包しょうろんぽうを口に咥えて、涙を流していた。
 こんなに美味しそうに食べられるなら、小籠包しょうろんぽうも本望だろう。
 しかし、うどんを食べていたと言ったか?。まさか。

「リリィさん、まさか【天ぷらうどん】の中で、うどんを食べたんですか?」

「はい……。どちらかというと、食べさせられていた・・・・・・・・・という感覚ですね。
 はっきりとした記憶はないんです……ぼーっとした中で、ぬるぬると身体中をいたぶられ続けるという、まさに悪夢のような……」

「食べさせられていた??」

 どういう事だよ??
 ……ヌルヌルといたぶられ続ける??、なんかエ〇くね??

「これは人から聞いた知識ですが。【天ぷらうどん】というモンスターは、取り込んだ人間に、自身の肉体を食べさせて、人間の出す排泄物を食べると聞きました。
 想像するだけで食欲が減退しますね……。記憶が曖昧で良かったです。」

 は??
 排泄物を食べるって、バクテリアかよ。
 まさか、新崎にいざきさん達も今、同じ状況にいるのだろうか。
 つまり今、【天ぷらうどん】は、新崎にいざきさんたちの排泄物を食べ………
 いや、やめよう。
 スカ〇ロは、俺の性癖の範囲外だ……

「ですので、飲み込まれた人間は、【天ぷらうどん】に生かしてもらえるんです。
 しかし、やがてうどんの一部となり、人間単体での生命活動が維持できなくなってしまいます。
 先ほど倒れていた裸の男のように……
 さらに、魔法装備を着ていない全裸状態では、取り込まれる速度が早くなります。
 行宗ゆきむねさんの友達のタイムリミットは、あと一週間程でしょうか。」

「なるほど……」

 つまり、全裸状態の新崎にいざきさんや浅尾あさおさんは、一週間経てばモンスターの一部となってしまうという事だ。
 そうなれば、生きて外へ出る事は出来ない。
 
 果たして俺は、二人助けられるのだろうか??
 俺は一度失敗している。
 しかも、肝心の【天ぷらうどん】が、何処に逃げたのか分からない。


熱蒸気ホットスチーム

 すると、リリィさんは突然、魔法を詠唱した。
 
 リリィさんの両手から、白い湯気が立ち上った。
 それは、大きな小籠包を包み込むように、熱い蒸気が広がっていく。

 
 やがて蒸気が晴れると、小籠包は湯気を立てて美味しそうに蒸されていた。

 「どうぞ、行宗ゆきむねさんも食べてください。心配は大切ですが、焦りは禁物ですよ。腹が減ってはいくさは出来ません。」

 リリィさんは、小籠包しょうろんぽうの欠片を千切って、俺に手渡してきた。
 

「ああ、ありがとう。…熱っ!!」

 俺は、リリィさんが温めてくれた、ホカホカの小籠包しょうろんぽうを、フーフーと冷ましながら頬張った。
 蒸したての小籠包しょうろんぽうは、口の中で蕩けて、疲れた体に染み込んでいく。

 俺ってこんなに疲れてたんだな。
 思えば俺は、朝起きてから歩きっぱなしだった。
 ずっと極限状態のサバイバルで、新崎にいざきさんと浅尾あさおさんを失って、絶望状態だった。

 美味い、美味すぎる……
 この味を、新崎にいざきさんと浅尾あさおさんと一緒に、お風呂上りに食べたかったなぁ……

「う…うぅうぅ……っぅ……美味いよリリィさん……ありがとうっ……」

 俺は涙ながらに、小籠包しょうろんぽうの美味しさを噛み締めた。

 この世界に来てから泣いてばかりだ。死ぬほど辛い事ばかりなのだ。
 クラスメイトと離れ離れになって、ギリギリのサバイバルを強制させられて…

 だが俺は、同じぐらいの幸せを知った。友達や好きな人もできた。
 俺は、新崎にいざきさんと浅尾あさおさん、そしてリリィ姉妹と一緒にご飯を食べたい。
 まだ俺は、みんなと一緒に生きたいのだ。
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