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【3.あのときからずっと 】「イヤな私」
「イヤな私」(11)
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そのときだ。
「おはようございます」という爽やかな挨拶がすぐ背後から聞こえ、呉田は自ら眼鏡を取り落としてしまった。
「お、おはよう……」
部活に登校してきた生徒だ。
星歌は隣りの女子高生に目で合図を送る。
彼があたふたと眼鏡を拾うあいだに、ふたりは校門を飛び出した。
「こっちこっち!」
もはや勝手知ったるとばかりに、向かいのパン屋に駆け込む。
開店準備をしていた翔太が驚いたようにこちらを見るのを「ゴメン」という仕草で謝ってみせてから、星歌はスタッフルームへと彼女を招き入れた。
「ご、ごめんなさい。ご迷惑をおかけして……」
自由に使って良いと言われたティファールで湯を沸かし、ケースに詰められているティーバッグを勝手に出して紅茶をいれる。
昨日雇われたばかりの星歌だが、遠慮する様子はない。
「で。石野谷……さん? 呉田はどうする?」
なみなみと注がれたカップを手渡された彼女は、胸の奥にためていた重い空気を吐き出すように長い溜め息をついた。
それから、星歌の問いに首をかしげてみせる。
「どうするって?」
「警察に突き出そうよ! だって、どう見たってストーカーだよ。困ってたんでしょ!」
「おはようございます」という爽やかな挨拶がすぐ背後から聞こえ、呉田は自ら眼鏡を取り落としてしまった。
「お、おはよう……」
部活に登校してきた生徒だ。
星歌は隣りの女子高生に目で合図を送る。
彼があたふたと眼鏡を拾うあいだに、ふたりは校門を飛び出した。
「こっちこっち!」
もはや勝手知ったるとばかりに、向かいのパン屋に駆け込む。
開店準備をしていた翔太が驚いたようにこちらを見るのを「ゴメン」という仕草で謝ってみせてから、星歌はスタッフルームへと彼女を招き入れた。
「ご、ごめんなさい。ご迷惑をおかけして……」
自由に使って良いと言われたティファールで湯を沸かし、ケースに詰められているティーバッグを勝手に出して紅茶をいれる。
昨日雇われたばかりの星歌だが、遠慮する様子はない。
「で。石野谷……さん? 呉田はどうする?」
なみなみと注がれたカップを手渡された彼女は、胸の奥にためていた重い空気を吐き出すように長い溜め息をついた。
それから、星歌の問いに首をかしげてみせる。
「どうするって?」
「警察に突き出そうよ! だって、どう見たってストーカーだよ。困ってたんでしょ!」
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