あの日の恋

河衣佳奈

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既婚女性と独身男性との恋

会社の独身男性と……

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私は中村由美。52歳の既婚です。実は、会社の後輩社員(31歳の独身)と関係を持ってしまいました。

きっかけはテレワークが基本となったものの、どうしても会社に行かなきゃならない用事があった時こと。

オフィスには誰もおらず、私は必要な書類とデータを探していました。すると、誰かが出勤してきました。それが後輩の正樹君だった。彼は入社8年目で背が高く、とても爽やかな好青年といった感じの魅力的な男の子です。

「どうせ一人暮らしで暇なんで、手伝いに来ちゃいました」

「ありがとう。ごめんね」

課長とのメールのやり取りを共有していたからでしょう。私が今朝出社することが分かり、わざわざ手伝いに来てくれたのでした。

二人で手分けし、お陰で仕事はスムーズに終わりました。お昼にはオフィスを後にし、帰りの電車が同じ方向だったので途中まで一緒に帰ることに。お礼もしたかったので、ランチでもしていく?と誘い、ファミレスに行きました。

普段は仕事の話しかしないので、ちょっぴりプライベートな話題を振ったり。今思えば私、少し彼のことが気になっていたのかもしれません。

「まさっちは彼女いるの?」

「今はいないです。一昨年別れちゃいました」

「へぇーなんかあったの?」

「いや、自然消滅ですね。向こうが転勤になって遠距離にはなったから」

「そっかぁ……うちも旦那が単身赴任になってかれこれ3年目。まぁ、うちの場合は居なくて気が楽だけどね(笑)」

「そうなんですか! 旦那さん、心配だろうなぁ……」

「旦那が? なんで?」

「だって由美さん、めちゃ綺麗じゃないですか! 浮気とか心配ですよ」

「何言ってんのよ、そんなわけないわよ」

「僕だったらほっとかないです」

そんな話からちょっぴり空気が変わって……

ファミレスを出て駅に向かう途中でした。急に正樹君が立ち止まり、

「由美さん、まだ時間あります?」

「時間? 今日は娘も夜まで外出してるから大丈夫だけど……どうしたの?」

「良かったら、僕の家に寄って行きませんか? もう少しお話したくて」

流石に家は……と思いながら、独身男性の一人暮らしを覗いてみたい気持ちもちょっぴりあり、

「い、いいけど……」

と、わざと躊躇いがちに返事をしました。

見るからに嬉しそうな表情になった正樹君がとても可愛かったです。




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