フィライン・エデン Ⅱ

夜市彼乃

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10.三日月の真相編

50三日月を討つ日 ①

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 事実は小説より奇なりというのが本当かはわからない。
 だが、少なくとも、事実は小説と同程度には異なものだ。
 時として、あたかも何者かにあらかじめ設えられたかのように、過去の点たちは未来と線で結ばれる。
 濡れ縁で三日月雅音が話に上ったのも、改めて一蓮托生の絆を確認しあったのも、今ここにつながっているかのよう。
 仮にそうであれば、あれらはあってはならない経緯だったのかもしれない。
 あの時、雷奈の父の話などしなければ、彼が立ちはだかることもなかったのかもしれない。いざというときは助け合おうなどと口にしなければ、いざというときなど訪れなかったのかもしれない。
 けれど、もしこれらの出来事の有無にかかわらず、否応なく今の事態に巻き込まれる運命なのだったとしたら。
 だとしたら――あの小さな騒動は、そこで発した些末な一言は、なければならないものだったに違いない。
 朱色の火影に照らされる。友の声が絶望的に響く。
 立ち上がることもできないまま、焼け付く痛みを放つ足の傷を押さえて、氷架璃は――を、絶叫した。
ッ!」
 直後、ガソリン火災もかくやの勢いで炎が上がった。着地点を中心に、雪を食い荒らして円状に押し広がる。極寒の地に突如として現れた、焼炙しょうしゃ地獄。
 ――そこから猛スピードで引き戻される蜘蛛の糸。もとい、撓葛しなりかずら
 その先端に、握力の限りを尽くしてつかまっていた氷架璃は、ツルの収縮が止まってからも残る慣性に引っ張られ、力の発生源である芽華実に、抱きつくようにダイブした。そのまま突き飛ばす形で直線運動は続き、芽華実の背中が地面の雪を大きく抉り抜いたところで、ようやく止まった。
 芽華実を押し倒したままの氷架璃は、雪まみれの相手の頭を、髪型さえ崩す勢いでわしゃわしゃと撫で回した。その顔は、いまだ緊張は抜けないまま、あふれんばかりの喜びの色。
「ありがとうお釈迦様、いや、女神様! あの一言でも、あんたならわかってくれると思った!」
「咄嗟に気づいてよかったわよ……危なかったわ。この術を得意技にしておいてよかった。京都旅館の枕になった気分はどう?」
「最高だよ、チクショー」
 下敷きになりながらも安堵の息を漏らす幼馴染の髪をちょいちょいと撫でつけると、氷架璃は四つ這いならぬ三つ這いで横に避けた。右足は、神経が拒否反応でも起こしているのか、何の感覚も伝えなくなってきている。できれば見たくなかったのに、芽華実の視線につられて直視してしまった傷口は、初期の大出血は治まりつつあるものの、パックリと割れた奥、血ではない赤がうっすら覗いていた。襲ってきた悪寒は、おぞましさのあまりか、あるいは大量に血を流したからか。
 そんな光景が誰より苦手そうな芽華実だが、起き上がって氷架璃の足の傷を目視で確認すると、顔をくしゃくしゃにして「ハンカチ、フーに使っちゃったから……」と代わりになるものを探そうとした。が、それらしいものも見当たらず、意味もなく手を宙に泳がせるだけに終わる。さっきの軽口で、絞り出せる空元気も枯渇したに近かった。自分のケガのように痛々しい顔をする芽華実に、氷架璃は努めて気丈に笑いかけた。
「いいよ、芽華実……じっとして、強く押さえとけば大丈夫」
 傷口に手を押し付けながら体勢を整えた氷架璃は、十数メートル先の地獄跡を見据えた。蜃気楼のように消えた火炎地獄の跡地から、仕留め損ねた獲物を見つめる二体のダークの視線が爛々と届く。
 もう、先ほどまでのような縦横無尽の切り込み隊長ではいられない。それどころか、あの足のない体が巨大ナメクジのような歩みで近づいてきても、氷架璃もいい勝負の鈍さでしか逃げられない。
 だが、氷架璃に今のスタンスを変えるつもりはなかった。変えるのは、ただその形だけだ。彼女は、後ろから背中を支える芽華実を振り返ると、早口で言った。
「芽華実。いいか、ここを砲台にしよう。私が遠距離攻撃をぶっ放すから、もし外したり耐えられたりして近づかれたら、後方から追撃を頼む。あと、あっちから遠距離攻撃を放ってきたときとかも。……ああ、けど、芽華実の草術は炎と鋼には相性が悪いか? なら、対触手攻撃専門でもいい」
 芽華実は目を見開いて氷架璃を見つめた。その瞳には、うっすらと迷いが浮かんでいた。
 彼女は心配性で用心深い。勇猛果敢、あるいはその裏返しに向こう見ずな氷架璃とは対極だ。この作戦も、言葉通りには上手くいかないと不安に駆られているのだろうと、氷架璃は想像に難くなかった。
 けれど、そんな芽華実を、氷架璃は小学校に入る前から引っ張ってきた。引っ張り方はいつも同じだ。
「大丈夫。私が盾になるから。あんたのことは必ず守るから。だから頼む、ここで私と一緒に立ち向かってくれ」
 何の保証もないまま、ただ力強く言い切るだけ。今までだって、それだけで、芽華実は迷いながらも、根拠も確証も地面に転がしたまま、ただ氷架璃への信頼でその手を取ってきた。ぐらぐら揺れる吊り橋の遊具も、激しく吠えたてる土佐犬のいる家の前も、何がどう大丈夫なのかも定かでない氷架璃の「大丈夫」で乗り越えてきた。
 今、直面している恐怖は、生存本能さえ脅かすものだ。過去の例の比ではない。けれど、確かにその瞬間、芽華実の瞳の中の揺らぎは消えた。
 芽華実は微笑むと、こくりとうなずいた。
 そして、
「え……おい、芽華実」
「何? 氷架璃」
「何やって……」
「氷架璃と一緒に立ち向かうの。氷架璃がそう言ったんじゃない」
 氷架璃の隣に並ぶ芽華実は、冗談を言っている顔ではなかった。かといって、極限状態に気がふれた様子でもない。
「だから、芽華実は後ろから……私が守るから……!」
「氷架璃」
 面食らった表情で見上げてくる氷架璃を一瞥もせず、芽華実は微笑を真剣で塗りつぶした目で、前だけを向いていた。
 今、氷架璃を見てしまえば、この決意も揺らいでしまう気がしたから。笑みを残すには、その誓いは本気すぎたから。
 寒さで動かしにくくなった唇を一度引き結んでから、彼女はこぼすように言葉を紡いだ。
「私の……私の立つ場所は、いつだって氷架璃の隣のようで、その一歩後ろだった」
 胸に手を当てて、芽華実はその奥に向き合うように目を伏せる。
「同い年で、同じ町で育って、同じ制服を着て、同じ教室で過ごしているのに、氷架璃の真横に立っている気がしなかった。一歩だけ……たった一歩だけ踏み出すだけなのに、その勇気すら、私にはなかったの」
 敵の動きを警戒することも忘れて、呆けたように芽華実を見上げる氷架璃の顔に、積もり積もった想いが降り注いだ。初めて触れるその温度は、知らなかった分だけ少しだけ冷たくて、気づけなかった分だけほんのわずか痛くて、けれど、それらをかき消すほどに尊かった。
そんな透明な結晶の一言一言が、芽華実の唇が動くたびにあふれ出ていく。
「だから、まぶしい光を真っ先に浴びるのも、素敵なものに最初に触れるのも、前にいる氷架璃でいいと思ってる。私は肩越しにこぼれてくる光をちょっと受けられれば、氷架璃の手からおさがりをもらえれば、それでよかったの。……でも」
 芽華実の目じりに力がこもった。柔和な目元が、悔しさかやるせなさか、そんな内側から湧き出る痛みを伴う衝動にゆがむ。
「でも……だからといって、吹き付ける向かい風を一身に受けるのも、飛んでくる矢の矢面になるのも、氷架璃でいいなんて……私はその陰で何もかもをしのげればいいなんて、そうは思わない。思わなかっただけで、今までずっとそうしてきたかもしれない……氷架璃が盾になってくれることに、ずっと甘んじてきたかもしれない。でも、もうそれも終わりよ」
 芽華実の左足が、ゆっくりと前へ伸びる。先の丸いショートブーツの裏が、一歩先で、確かに地を踏む音を奏でた。ずっと立ちたかった氷架璃の隣、そのさらに先に降り立つ。
「……芽華実」
「私は……ずっと、氷架璃の前に出るのが怖かった。今だって本当は、目の前に氷架璃の背中が見えないのは不安よ。……だけど、氷架璃の背中が見えなくたって……氷架璃が私の背中を見ていてくれるなら、怖くない。何も……怖くないわ!」
 張り上げた声に驚いたように、周囲の空気がびんと震えた。それに触発されたのだろうか、二体のダークはけたたましい咆哮を上げると、氷架璃の前に立ちふさがる芽華実を攻撃対象として認識した。怪物の喉からほとばしる低い響きを浴びても、芽華実の姿勢は揺るがない。
 威嚇の雄たけびに真正面から向かう彼女は、いつもの柔和な声を覚悟の刃で研ぎ澄ませ、凜乎りんことした反撃の狼煙をあげた。
「行くわよ、氷架璃! 後方支援をお願い! 今は私が……あなたを守ってみせる!」
 正面、炎のダークの口ががぱっと開いた。源子が渦巻き、再び紅蓮の炎が生み出される。氷架璃と芽華実のいる場所まで十メートルはあるが、勢いよく噴射すれば届かぬ距離ではない。
 芽華実は瞬時に両手を突き出し、長いツルの鞭を召還した。先ほどの氷架璃奪還作戦に迫る勢いで伸ばしていく。
 ダークの口元で、炎の乱舞がわずかに静まった。今なら、確信をもってわかる、発射の予備動作だ。
 今ならまだ逃げられる。だが、氷架璃を残してこの場を動くつもりはない。だから、芽華実は心胆を寒からしめながらも、大きくツルをしならせることに専念した。
「――しッ!」
 全力を注いだコントロール。水平に薙がれた撓葛が、ダークの側頭部を打った。ちょうどその瞬間、ダークが烈火を吐き出す。あと一瞬遅ければ、正面から火炎放射をもろに受けていただろうし、あと少しでも振れ幅が足りなければ、ダークの頭の向きをそらせず、やはり同じ運命をたどっていただろう。
 その絶妙なトレードオフを奇跡的に成功させた結果、衝撃で勢いを失った火炎はよだれのように口からこぼれ、すでに放たれた火の欠片も、早くに推進力を失って地に落ちた。
「氷架璃、追撃をお願い!」
「合点!」
 芽華実が息を整える合間、氷架璃の光砲が連続してダークを襲う。ケガのせいで踏ん張れず、着弾率は甘い。だが、下手な鉄砲が当たるまで数撃つことを苦としない氷架璃だ。声が枯れそうになるほどに言霊を叫び、次から次へと光の弾を撃ち放っていく。
 首筋、どてっ腹、左耳の根本……と着弾させていた氷架璃だが、さすがに疲労がたたったか、ダークが持ち直す余裕を与えるほどに連続で外し始めた。これ以上暇を許せば、またあの炎が来る。
「……ってややこしいときに、首っつーか触手突っ込んでくるなよ、もう一匹!」
 ここぞとばかりに右手前にいた鋼のダークが茶々を入れてくるのを、比較的広範囲の術、燎光で防ぐ。が、光砲よりエネルギーも集中力も要するこの技を放ったところで、氷架璃も息切れだ。
「すまん、穴空けた……!」
「大丈夫、いけるわ!」
 氷架璃が手を地に着くと同時、芽華実は残しておいたままの撓葛しなりかずらをさらに伸ばした。命を吹き込まれたように動き出したツルは、炎のダークの首に巻き付き、とぐろを巻くように上へ上へとさらにからみついていく。危険を感じたダークが再び口に炎を蓄え始めるが、ツルはまだ種火のうちにそれを抑え込んで、口を塞いでしまった。
 薪やゲームにおける相性のイメージが先行して、草木は炎にめっぽう弱いと思われがちだ。間違いではないが、十把一絡げにそうといえるわけではない。ヒノキやスギ、また油分を含む木の葉などは森林火災でも延焼につながりやすいが、逆に防火樹などというものがあるくらいだ。まして、水分を多く含んでいれば燃えにくいのは想像に難くない。
 撓葛は、その名の通りしなやかに曲がるほどの水分量を有している。そのため、種火程度の炎で崩れ落ちることはない。
 だが、もっと火力を増せば、その水分さえ蒸発させて、枷を灰へと変えてしまうことも可能だ。
 それはダークも認識済みの事項らしい。口枷の下で炎をたぎらせ、鮮やかな緑色を徐々に変色させていく。先ほどのナイスビンタを次も決められるとは限らない。それならいっそ、コントロールを狂わせられれば――。
「……っ、しげれ、養叢!」
 一か八か、芽華実は手元のツルをつかんだまま、念じた。試行錯誤していられるほど悠長な状況ではない。だが、躊躇していられないのも事実だ。
 自信は五分五分であったが、結果、源子は芽華実の期待に大いに応えた。手元を始点にして先へ向けて、ツルに長くまっすぐな草が所狭しと生えていく。遠目から見れば、途方もなく長いエノコログサに見えたかもしれない。
 すさまじいスピードで、成長点はダークに巻き付いている部位へと達し、顔周りのツルからもボウボウと草が生い茂った。
 突如現れた草むらは、ダークの目を半分以上隠した。目論見は成功だ。視界さえ奪えば、相当爆発的な攻撃が来ない限り、やり過ごせる余地がある。
 だからといって、手を抜くことは許されない。今に炎は殺意を形にする。緊張と恐怖で、頬がひきつる。
 だが、事態はここで芽華実の予想を裏切った。
 ちょうど口枷を食い破った炎が細い葉に引火し、ダークの頭部を火だるまに変えたのだ。
「……うわあ」
 氷架璃も思わず、鋼のダークへの警戒を怠って呆然とした声を漏らした。頭を焼かれて悶えながら黒い霧を流していくダークの絵面は、少女たちの目にはなかなかに凄惨に映り、当の芽華実が口元を隠した指の下、「ごめんなさい」とつぶやいたほどだ。
「……と、とにかく、一体片した! あとは……」
 元々、雷奈の高電力のおかげでだいぶ弱っていた個体だ。もう放っておいても、やがて源子に返って消えていくだけだろう。
 となると……と視線を巡らせ、先に奇襲に気づいたのは氷架璃だ。早口で燎光の言霊を唱えると、芽華実の足を狙って伸びてきた触手を、すんでのところで焼き切る。
「お触り禁止じゃ!」
 遅ればせながら振り向いて、そこで初めて急襲に気づいた芽華実は、切断された触手の先が落ちた箇所の雪が、なたでも落としたかのようにさっくりと切れているのに戦慄した。鋼のダークの触手なのだから、そこに刃物の切れ味を宿すことも、鈍器の重さを乗せることも、利器の鋭さを伴わせることもお手の物なのだ。氷架璃が早くに気づかなければ、さっきの彼女の二の舞を演じていたところだろう。
「芽華実、鋼術は私たちには不利だ。芽華実の草木は切られてしまうだろうし、触手ならまだしも、飛び道具が来たら……私の光術でも太刀打ちできない。攻撃させる暇もないくらいに……畳みかけるぞ!」
「……ええ、わかったわ!」
 芽華実は右に移動し、氷架璃とダークを隔てる位置に立ちふさがった。その顔には焦慮が浮かんでいた。
(氷架璃の息が切れてる……これ以上無理させるわけには……!)
 そうはいえども、芽華実も度重なる術の使用で困憊状態だ。いつまでもつかを考えると、不安しか残らない。
 けれど、ここで膝をつくわけにはいかない。氷架璃を守ると決めた以上、芽華実が前線に立って敵を食い止めなければならないのだ。
「交代で浴びせましょう、氷架璃! 息をつくたびにスイッチよ!」
「オーケー!」
 先制は芽華実。彼女の手札の中で最も殺傷力のある堅肢で、ダークの体に刺傷を負わせようと試みる。察しよく気付かれるたび、鉈のような触手で切り伏せられてしまうが、それでも何度かに一度は体を貫くことに成功した。
 無言の合図で選手交代した氷架璃も、比較的威力の高い燎光で攻める。体力・精神力ともに尽き欠けているせいで、思い通りのダメージは見込めないが、それでも十分牽制にはなった。
 続く芽華実は、体力温存のために慣れた撓葛しなりかずらで応戦。
 その後の氷架璃も彼女を見習い、タイミングを見計らってダークの攻撃姿勢時に光砲を撃ち放つ。
 一つ一つは、もはや希兵隊でない猫の術にも及ばない。阿吽の呼吸で絶え間なく仕掛け続けることで、何とか足止めの形を保っているにすぎない。
 そう、所詮は足止めだ。どんなに息が上がろうとも、あの化け物を倒せる可能性は限りなく低い。もしここに二人だったならば、何もかもを手放したくなるほどの絶望に飲み込まれていただろう。
 けれど、必死で作り出したこの時間に、二人を二人きりにさせない彼女が、最後の希望をつかみ取ってくれるならば。それが仲間たちを、フィライン・エデンを救う手立ての大切な一角となるならば。
「諦めない……諦めるわけにはいかない!」
 一心不乱に源子を木の根に変え、先端をとがらせる。
「私たちの役割が果たされるまでは……大目的を成し遂げるまでは……!」
 ダークの目を狙って飛ばし、その当たり外れもわからないうちから次の根を召喚する。
「……雷奈が黒幕を倒すまでは!」
「そうか。それは残念だったな」
 ――刹那、少女達の心臓が二つ、凍り付いた。
 まとっていた熱が急激に冷え、氷点下に至るようだった。芽華実の口から吐き出される呼気が、細く痙攣する。錆びついた機械仕掛けのような動きで振り返る。振り返る前から、そこに立つ絶望は見えていた。
 絶望の色は黒。戦傷を負い、服のあちこちを擦り切れさせながらも、冷たくまっすぐに立つ男の形をしていた。
 どうして。
 その答えは、男の数メートル先、雪の上に長い髪を乱して倒れていた。
 ずっと聞こえ続けていた、運命をつかもうとする少女のもがく音が、いつ消えたのかもわからなかった。
 ただ静寂だけが、二人の耳に失意を流し込んでいた。
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