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6.新最司官編
26春と半旗と波乱の足音 前編
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彼女は、春陽にきらめく新葉の間から、その場所を見下ろしていた。
黒い瓦屋根に鼠色の石壁で統一された、横に長い平屋群。塀で四角く区切られた敷地内にいくつもあるそれらは、中心に位置するひときわ大きな建物を囲うように建っていた。
まるで中央の建物を守護するかのような配置である。まさしくその通りで、唯一縦横比がほぼ等しいその屋舎は、フィライン・エデンの警察・消防組織本部の中でも、全体に指示を飛ばす総司令部室が擁された、要所中の要所なのだ。
十の執行部隊舎や道場棟、開発部棟に守られた中央隊舎。そのさらに奥地で、ビジネスチェアの形をした玉座に腰掛ける人物は、アリスブルーの小柄な少女の姿をしている。
時尼霞冴。
この世界の三大機関の一角を担うには若すぎる、齢十四歳の首領だ。気取らない、やや甘えん坊な性格で、マイペースかつ飄々としている一方、心の内側では寂しさと臆病さが息を潜めている。
そんな彼女が治めるこの組織が、正義感にあふれ、和気あいあいとしていて――そして、ひどく脆いことを、彼女は知っている。
「……希兵隊」
鮮やかな緑で彩られた山の斜面、広葉樹の枝の上に立った彼女の唇が、小さく言葉を紡ぐ。木の葉がさわさわと音を立て、琥珀色の長い髪とともに数枚舞った。風が出てきたようだ。
「これから、私が頂点に立つ場所――」
再び生まれたささやきのような声は、一陣の春風にさらわれ、空高くに吸い込まれていった。
***
「すっ……げー……」
麗らかな日差しに照らされた、閑静な町の一角に位置する神社。四月の始まりを告げるように、敷地内の桜は華やかに咲き誇り、参道を壮美な景観に仕上げている。
感嘆したようなつぶやきは、その参道を進んで左手に設けられた、宿坊の一部屋から漏れ出た。
部屋は足元一面が畳で、ふすまに障子と純和風の造り。調度品も、温かい木目調のたんすや棚、鏡台などだ。ローテーブルをわきに寄せて作ったスペースで、今、三人の少女たちが、畳に寝かされた一枚の障子をのぞき込んでいた。声は、そのうちの黒髪の少女の口から発せられたものだ。
「今どき障子貼れる女子っているんだなー……」
「本当に元通りだわ。きれいに直ってる……」
隣のポニーテールの少女もうなずく。向かいで、「お安い御用よ!」と得意げな声が上がった。
「うちも和風家屋だから、障子の張り替えくらいしたことあるし。それに、もし未経験の仕事だったとしても、ちゃんとこなすわよ。プロだもの!」
そう言って、彼女は正座の姿勢のまま腰に手を当て、胸を張った。朽葉色の長い髪をリボンで二つに結わえた、活発そうな少女だ。年はほかの二人と同じだが、彼女らとは決定的な違いがある。
「やっぱり君を紹介してよかったなぁ」
「予想以上の早業だったわ。さすがね」
傍らで尻尾を揺らす二匹の猫。やや高い少年の声で言った片方は、水色の体をしており、耳の青い模様が特徴的。もう一匹は、全身真っ白な毛並みで、ブラウンの瞳をしている。名を、流清アワと風中フーという二人は、常人の知らざる猫の世界、フィライン・エデンの住人だ。
通常の猫ではありえない色素を持つアワだが、フィライン・エデンでは珍しくない。それは、存在する動物の中でもフィライン・エデンの猫の特権である、人間姿になっても同じことだ。今、障子を建付け終えた朽葉色の髪の少女の、菖蒲色の虹彩がいい例である。
黒目黒髪の人間の少女、水晶氷架璃は、よいしょと立ち上がって息をつく。
「これで雷奈も安心だな。私も安心。芽華実もでしょ?」
「ええ」
芽華実と呼ばれた、同じく正真正銘人間の少女は、ポニーテールを揺らして小さく笑った。その笑顔は、苦笑に近い。
と、そこへ縁側を上がってくる二つの足音が室内に届いた。噂をすれば、と振り返ると、引き戸を開けて、さらに二人が部屋に加わってきた。
「ご飯できたばいー……ああっ! 終わったと!? 直ったと!?」
先頭を歩いてきた、小柄な体の丈ほどある長い髪をした少女は、寄せられたローテーブルの上に盆を置いて、先ほど定位置に戻された障子に走り寄った。隅から隅まで見回すと、まるで前屈運動をするように体を折って、肺が空っぽになるまで深く息をついた。
「よかったぁー……助かったばい、おじさんとおばさんがいない間に直してくれて。バレたら縁切り確定やったけんね」
「二人は今日、地鎮祭と近所回りだっけ。悪運強いなぁ、雷奈」
「それじゃ、安心してお昼にできるね」
そう言って、雷奈とともに入室してきたもう一人が、同じように盆を机上に乗せた。肩につかない程度のボブヘアーだが、横の髪だけ胸の上まで伸ばし、半ばを白と赤の髪飾りで緩く結わえている。その髪とたれ目がちな瞳は、障子の修理を完遂したツインテールの少女と寸分違わない色をしていた。
雷奈は彼女にうなずいて、
「そうっちゃね。じゃあ、私の居候生活終了の危機ば回避したことを祝して、かんぱーい!」
***
去年の春、突如として雷奈たちの生活を一変させた異世界、フィライン・エデン。あらゆる動物を超越した存在となった猫たちと関わり、黒猫が不吉だといわれているのもむべなるかなといえる敵と戦い、やや後回しながらも巻き戻った時間の謎を追って早一年。三人とも、すっかりこの「日常」に順応しきっていた。
だから、昨日三月三十一日、絶体絶命の大ピンチに陥った時も、三人で解決できないと踏むや否や、一片の躊躇もなく人外の一人に頼ったのだった。
「昨日の話だけどさ、ボクに電話してきたとき、雷奈ってば慌てふためいていたから聞かなかったけど、何があってこうなったんだい? どうしたら障子があんなにボロッボロになるのさ?」
「いやぁ、実はその……Gが出て……。暖かくなったからか、コンニチハーって」
「G? ……ああ、ゴキブリかい?」
「忌み言葉やけん! Gとか、ヤツとか、婉曲して!」
虫が存在しないフィライン・エデン出身のアワは、そのあたりの感覚に疎いのだが、人間と接する際には人間の文化に合わせるのが正統後継者。どっちがいいのかなと口の中で唱えてみてから、
「じゃあ……そのGが、障子を破ったのかい?」
「ううん、退治しようと奮闘した私たちがズタズタにしちゃったとよ」
三人でお茶をしていた最中、身の毛もよだつような音を立てて参上した招かれざる客は、その場の空気を戦場へと変えた。蛾以外の虫は平気な氷架璃は猪突猛進に追いかけ回し、近寄ることもできない乙女な芽華実はお菓子の箱を投げつけ、あげく我を失った雷奈は竹刀を手に暴れ始めた。結局、Gは半開きだった戸の隙間から外へと逃げ、少女たちは殺生をせずにすんだのだが、気づけば障子の一枚がお化け屋敷におあつらえ向きの損傷加減になっていた、というわけである。
「で、ボクに術で何とかしてくれと頼んできたわけか。できるわけないでしょ」
「でも、二人を紹介してくれて助かったわ。私たちのせいでもあるから、それで雷奈が追い出されたりなんかしたらなんてお詫びしたらいいかわからないもの」
パニック状態の雷奈から連絡を受け、呆れ果てたアワが連絡を取ったのが、家事代行、雑務、何でもござれの「万屋かぜはや」だった。切り盛りしている双子の姉妹、ツリ目がちなツインテールの姉・風羽谷つかさと、柔和な目元のボブヘアーの妹・風羽谷まつりは、次の日すぐにやってきて、迅速に仕事を終えた。その手つきと言ったら、付け焼刃のDIYスキルでは成しえない鮮やかさだった。
「っていっても、仕事してくれたのはお姉ちゃんだけなんだけど……」
「まつりはこういうの不得手だからね。昼食作りを手伝っただけだけど、許してあげて」
「そんな、すっごく助かったばい。この人数の焼きそば作るの、大変だったとよ。ばってん、謝礼がお昼ご飯だけで本当によかと?」
ベジタリアンな猫たちに合わせた肉抜きの焼きそばを頬張りながら、雷奈は確認を込めて問うた。つかさは「いいのいいの」と手を振る。
「聞いてない? フィライン・エデンの猫は、人間界で収入を得ちゃダメなの。支出はオッケーだけどね。だから、これで十分。第一、私たち、明日の食事も困るくらいの貧乏だから」
神社にやってきたときも口にしていたそれは、冗談か誇張なのかと思っていたが、あまりにもおいしそうに、噛みしめるように食べる二人を見ていると、真実味を帯びてくる。本当に経済的に困っているようだ。
アワとフーも人間姿に変化したおかげで手狭になった食卓を囲んでいると――。
「やっほー、こんにちは~!」
「もぐ!?」
雷奈が、頬を膨らませたまま、驚嘆の声を上げた。ほかの者たちも目を見開いて箸を止める。次の一口を皿に取り落としながら、つかさが呆然とその名を呼んだ。
「か、霞冴!?」
腰より長い淡色の髪に、お気楽そうなシアンの瞳。今日も臙脂と白のセーラー服を着用した彼女は、フィライン・エデンの警察・消防組織、希兵隊の最高指令官だ。
「なんであんた、こんなところに!?」
「四月になったから、また時間が巻き戻る可能性があるじゃん? こっちでは何か変化が出てるかなーって、偵察にね」
おどけて敬礼して見せる霞冴に、アワが眉をひそめる。
「前回ループしたのは四月一日ではないし、そんなの最高司令官がする仕事じゃないし、見てわかる変化でもないのに?」
「あはは~、バレた?」
「そんなずさんな言い訳……隠す気なかったでしょ」
相変わらずだね、と嘆息するアワに愛想笑いを飛ばし、霞冴はつかさとまつりの後ろに回ると、二人の肩を抱き寄せた。
「久しぶり、二人とも~」
「ちょ、やめなさい、食事中!」
叱咤するつかさと、純粋に喜色をあらわにするまつり。二人を抱き寄せる霞冴の笑顔は、彼女の親友のルシルに向けるものによく似ている。出だしから親しげなスキンシップを見せる闖入者に、氷架璃が目をしばたたかせた。
「えっと……三人は友達だったのか?」
「幼馴染だよ~。親が、趣味の採掘つながりで仲良くてね」
「また渋いのかハイカラなのかわからん趣味だな」
「うちの親も、霞冴んちみたいに加工して売る職業だったらよかったのに、ただのコレクターだったからね。おかげで子供は苦労を強いられているわ」
やれやれと肩をすくめるつかさ。しかし、聞けば霞冴の両親も、つかさとまつりの両親も、採掘途中に事故にあって亡くなったというので、雷奈たちはそれ以上を追究するのをやめた。
霞冴は二人を解放し、緩いジェスチャーとともに言った。
「つかさが昨日、次の日に初めて人間界へ行くから雰囲気教えてって電話してくるもんだからさ。その時間帯に行けば二人に会えるんだなーと思ったら、いてもたってもいられず。ま、偵察だし、正攻法だよね~」
「どこが正攻法なのよ、アワに一瞬でバレてんじゃない」
「でも、わたしも霞冴ちゃんに久しぶりに会えて嬉しいよー」
「ダメよ、まつり。甘やかしちゃ」
「ありがと~っ。あ、焼きそば一口ちょうだい~」
「いいよー。はい、あーん」
「だから甘やかさないのってば!」
つかさの制止も聞かず霞冴を餌付けするまつりに、ほとほと呆れたつかさが雷奈たちに苦笑を向ける。
「ほんと、手のかかる妹たちだわ」
「ふふっ、確かに本物の三人姉妹みたいね。……姉妹といえば、雷奈。雷華は、雷帆ちゃんやお姉さんとうまくやってるかしら。九州で初顔合わせしてるのよね」
「たぶん大丈夫ったい。あれ以来、ちょっとは丸くなったし、それに今回はお願いに行っとる身やけんね」
「お願いって?」
芽華実の問いに答えようと雷奈が口を開きかけた時だ。
外で、高い声がした気がした。
「……なんか聞こえたよね?」
「声? 女の子の声かな?」
「なんていうか……泣いてる?」
最も戸に近い場所に座っていた雷奈が、コップの水を一口飲んでから、立ち上がり、引き戸を開けて外の様子をうかがった。目にした光景に、「あ」と声を漏らす。三、四歳くらいの小さな女の子が、大声で泣きながら参道をさまよっていた。
「おかあさーん……おかあさぁーん……」
なんだか前にもこんなことあったな、と夏休み中の逃亡生活を思い出しながら、雷奈は氷架璃たちに目配せして、外に出た。
「どげんし……じゃなくて、どうしたの?」
前回の教訓を踏まえつつ、雷奈は少女に近寄って話しかけた。しかし、今回の迷子は相当不安なのか、答えもせずに泣きじゃくっている。とはいえ、何があったのかは大体予想がつくので、クローズドクエスチョンに切り替えた。
「お母さんとはぐれたの?」
少女はぼろぼろ涙をこぼしながらうなずいた。その間に、氷架璃たちがどやどやと出てくる。
「迷子か?」
「そうみたい」
氷架璃は少女のそばにしゃがみ込むと、不意に自分の顔を両手で覆った。
「泣かなくていいぞ。いないいない……ばあー!」
「…………」
「いないいない……ばあぁー!」
「………………」
「よし、泣き止んだな」
「いや、呆気にとられてるんだと思うよ? そんな年じゃないし」
「んだと!?」
しばらくぽかんとしていた少女だったが、最後の氷架璃の大声に触発されて、また号泣し始めてしまった。今度は芽華実が歩み寄る。
「大丈夫? もしよかったら、これあげるわ。甘いものを食べたら、元気出るかも」
「芽華実、それハッカじゃないかしら……」
「あっ、本当! ご、ごめんなさい……」
フーの指摘に、芽華実は飴を差し出した手を慌てて引っ込めた。のど飴を常備している芽華実だが、よりによって今持っているのはメンソール系だったようだ。
それでも、芽華実の優しそうなソプラノで安心したのか、少女は心細そうにしながらも、すすり泣きに落ち着いた。
「どうするよ?」
「まあ、おばさんとおじさんがいないっていっても、ほかの巫女たちはいることやし……ちょっと相談するっちゃかね? ただ、もしこの子が神社の外で迷子になっとって、こっちに入り込んだとしたら、お母さんは神社の外で探し回っとるだろうし……」
「じゃあ、鳥居の辺で待ってたらどうかなー?」
間延びした声とともにやってきたのは霞冴だ。つかさとまつりがいないと思ったら、部屋の中から小さくのぞき見している。目が紫色の二人は、人間の前に出るべきでないと判断したのだろう。
だが、それを言えばアリスブルーの髪とシアンの目をした彼女も、人の目にさらしておけない人物である。氷架璃は度肝を抜かれた心地で霞冴の両肩をつかんだ。
「って、何出てきてんだあんたは! 自分の容姿を自覚しろ!」
「何のことかなー? ねえ、キミ」
霞冴はのんびりと迷子に話しかけた。
「私の髪の毛、何色かな?」
「……」
涙目で霞冴を見つめていた彼女は、
「……黒……」
「だよねー」
氷架璃のほうを流し見て、ふふんと笑う。確かに、以前、「霧猫だからごまかせる」というようなことを口走っていた。どうやら、人間にのみそう映るようにしてあるらしい。
霞冴の意見に賛成し、皆は鳥居のそばまでやってきた。母親らしき人影は見当たらない。まだ日も高いので、しばらくここで待ってみることにした。
黒い瓦屋根に鼠色の石壁で統一された、横に長い平屋群。塀で四角く区切られた敷地内にいくつもあるそれらは、中心に位置するひときわ大きな建物を囲うように建っていた。
まるで中央の建物を守護するかのような配置である。まさしくその通りで、唯一縦横比がほぼ等しいその屋舎は、フィライン・エデンの警察・消防組織本部の中でも、全体に指示を飛ばす総司令部室が擁された、要所中の要所なのだ。
十の執行部隊舎や道場棟、開発部棟に守られた中央隊舎。そのさらに奥地で、ビジネスチェアの形をした玉座に腰掛ける人物は、アリスブルーの小柄な少女の姿をしている。
時尼霞冴。
この世界の三大機関の一角を担うには若すぎる、齢十四歳の首領だ。気取らない、やや甘えん坊な性格で、マイペースかつ飄々としている一方、心の内側では寂しさと臆病さが息を潜めている。
そんな彼女が治めるこの組織が、正義感にあふれ、和気あいあいとしていて――そして、ひどく脆いことを、彼女は知っている。
「……希兵隊」
鮮やかな緑で彩られた山の斜面、広葉樹の枝の上に立った彼女の唇が、小さく言葉を紡ぐ。木の葉がさわさわと音を立て、琥珀色の長い髪とともに数枚舞った。風が出てきたようだ。
「これから、私が頂点に立つ場所――」
再び生まれたささやきのような声は、一陣の春風にさらわれ、空高くに吸い込まれていった。
***
「すっ……げー……」
麗らかな日差しに照らされた、閑静な町の一角に位置する神社。四月の始まりを告げるように、敷地内の桜は華やかに咲き誇り、参道を壮美な景観に仕上げている。
感嘆したようなつぶやきは、その参道を進んで左手に設けられた、宿坊の一部屋から漏れ出た。
部屋は足元一面が畳で、ふすまに障子と純和風の造り。調度品も、温かい木目調のたんすや棚、鏡台などだ。ローテーブルをわきに寄せて作ったスペースで、今、三人の少女たちが、畳に寝かされた一枚の障子をのぞき込んでいた。声は、そのうちの黒髪の少女の口から発せられたものだ。
「今どき障子貼れる女子っているんだなー……」
「本当に元通りだわ。きれいに直ってる……」
隣のポニーテールの少女もうなずく。向かいで、「お安い御用よ!」と得意げな声が上がった。
「うちも和風家屋だから、障子の張り替えくらいしたことあるし。それに、もし未経験の仕事だったとしても、ちゃんとこなすわよ。プロだもの!」
そう言って、彼女は正座の姿勢のまま腰に手を当て、胸を張った。朽葉色の長い髪をリボンで二つに結わえた、活発そうな少女だ。年はほかの二人と同じだが、彼女らとは決定的な違いがある。
「やっぱり君を紹介してよかったなぁ」
「予想以上の早業だったわ。さすがね」
傍らで尻尾を揺らす二匹の猫。やや高い少年の声で言った片方は、水色の体をしており、耳の青い模様が特徴的。もう一匹は、全身真っ白な毛並みで、ブラウンの瞳をしている。名を、流清アワと風中フーという二人は、常人の知らざる猫の世界、フィライン・エデンの住人だ。
通常の猫ではありえない色素を持つアワだが、フィライン・エデンでは珍しくない。それは、存在する動物の中でもフィライン・エデンの猫の特権である、人間姿になっても同じことだ。今、障子を建付け終えた朽葉色の髪の少女の、菖蒲色の虹彩がいい例である。
黒目黒髪の人間の少女、水晶氷架璃は、よいしょと立ち上がって息をつく。
「これで雷奈も安心だな。私も安心。芽華実もでしょ?」
「ええ」
芽華実と呼ばれた、同じく正真正銘人間の少女は、ポニーテールを揺らして小さく笑った。その笑顔は、苦笑に近い。
と、そこへ縁側を上がってくる二つの足音が室内に届いた。噂をすれば、と振り返ると、引き戸を開けて、さらに二人が部屋に加わってきた。
「ご飯できたばいー……ああっ! 終わったと!? 直ったと!?」
先頭を歩いてきた、小柄な体の丈ほどある長い髪をした少女は、寄せられたローテーブルの上に盆を置いて、先ほど定位置に戻された障子に走り寄った。隅から隅まで見回すと、まるで前屈運動をするように体を折って、肺が空っぽになるまで深く息をついた。
「よかったぁー……助かったばい、おじさんとおばさんがいない間に直してくれて。バレたら縁切り確定やったけんね」
「二人は今日、地鎮祭と近所回りだっけ。悪運強いなぁ、雷奈」
「それじゃ、安心してお昼にできるね」
そう言って、雷奈とともに入室してきたもう一人が、同じように盆を机上に乗せた。肩につかない程度のボブヘアーだが、横の髪だけ胸の上まで伸ばし、半ばを白と赤の髪飾りで緩く結わえている。その髪とたれ目がちな瞳は、障子の修理を完遂したツインテールの少女と寸分違わない色をしていた。
雷奈は彼女にうなずいて、
「そうっちゃね。じゃあ、私の居候生活終了の危機ば回避したことを祝して、かんぱーい!」
***
去年の春、突如として雷奈たちの生活を一変させた異世界、フィライン・エデン。あらゆる動物を超越した存在となった猫たちと関わり、黒猫が不吉だといわれているのもむべなるかなといえる敵と戦い、やや後回しながらも巻き戻った時間の謎を追って早一年。三人とも、すっかりこの「日常」に順応しきっていた。
だから、昨日三月三十一日、絶体絶命の大ピンチに陥った時も、三人で解決できないと踏むや否や、一片の躊躇もなく人外の一人に頼ったのだった。
「昨日の話だけどさ、ボクに電話してきたとき、雷奈ってば慌てふためいていたから聞かなかったけど、何があってこうなったんだい? どうしたら障子があんなにボロッボロになるのさ?」
「いやぁ、実はその……Gが出て……。暖かくなったからか、コンニチハーって」
「G? ……ああ、ゴキブリかい?」
「忌み言葉やけん! Gとか、ヤツとか、婉曲して!」
虫が存在しないフィライン・エデン出身のアワは、そのあたりの感覚に疎いのだが、人間と接する際には人間の文化に合わせるのが正統後継者。どっちがいいのかなと口の中で唱えてみてから、
「じゃあ……そのGが、障子を破ったのかい?」
「ううん、退治しようと奮闘した私たちがズタズタにしちゃったとよ」
三人でお茶をしていた最中、身の毛もよだつような音を立てて参上した招かれざる客は、その場の空気を戦場へと変えた。蛾以外の虫は平気な氷架璃は猪突猛進に追いかけ回し、近寄ることもできない乙女な芽華実はお菓子の箱を投げつけ、あげく我を失った雷奈は竹刀を手に暴れ始めた。結局、Gは半開きだった戸の隙間から外へと逃げ、少女たちは殺生をせずにすんだのだが、気づけば障子の一枚がお化け屋敷におあつらえ向きの損傷加減になっていた、というわけである。
「で、ボクに術で何とかしてくれと頼んできたわけか。できるわけないでしょ」
「でも、二人を紹介してくれて助かったわ。私たちのせいでもあるから、それで雷奈が追い出されたりなんかしたらなんてお詫びしたらいいかわからないもの」
パニック状態の雷奈から連絡を受け、呆れ果てたアワが連絡を取ったのが、家事代行、雑務、何でもござれの「万屋かぜはや」だった。切り盛りしている双子の姉妹、ツリ目がちなツインテールの姉・風羽谷つかさと、柔和な目元のボブヘアーの妹・風羽谷まつりは、次の日すぐにやってきて、迅速に仕事を終えた。その手つきと言ったら、付け焼刃のDIYスキルでは成しえない鮮やかさだった。
「っていっても、仕事してくれたのはお姉ちゃんだけなんだけど……」
「まつりはこういうの不得手だからね。昼食作りを手伝っただけだけど、許してあげて」
「そんな、すっごく助かったばい。この人数の焼きそば作るの、大変だったとよ。ばってん、謝礼がお昼ご飯だけで本当によかと?」
ベジタリアンな猫たちに合わせた肉抜きの焼きそばを頬張りながら、雷奈は確認を込めて問うた。つかさは「いいのいいの」と手を振る。
「聞いてない? フィライン・エデンの猫は、人間界で収入を得ちゃダメなの。支出はオッケーだけどね。だから、これで十分。第一、私たち、明日の食事も困るくらいの貧乏だから」
神社にやってきたときも口にしていたそれは、冗談か誇張なのかと思っていたが、あまりにもおいしそうに、噛みしめるように食べる二人を見ていると、真実味を帯びてくる。本当に経済的に困っているようだ。
アワとフーも人間姿に変化したおかげで手狭になった食卓を囲んでいると――。
「やっほー、こんにちは~!」
「もぐ!?」
雷奈が、頬を膨らませたまま、驚嘆の声を上げた。ほかの者たちも目を見開いて箸を止める。次の一口を皿に取り落としながら、つかさが呆然とその名を呼んだ。
「か、霞冴!?」
腰より長い淡色の髪に、お気楽そうなシアンの瞳。今日も臙脂と白のセーラー服を着用した彼女は、フィライン・エデンの警察・消防組織、希兵隊の最高指令官だ。
「なんであんた、こんなところに!?」
「四月になったから、また時間が巻き戻る可能性があるじゃん? こっちでは何か変化が出てるかなーって、偵察にね」
おどけて敬礼して見せる霞冴に、アワが眉をひそめる。
「前回ループしたのは四月一日ではないし、そんなの最高司令官がする仕事じゃないし、見てわかる変化でもないのに?」
「あはは~、バレた?」
「そんなずさんな言い訳……隠す気なかったでしょ」
相変わらずだね、と嘆息するアワに愛想笑いを飛ばし、霞冴はつかさとまつりの後ろに回ると、二人の肩を抱き寄せた。
「久しぶり、二人とも~」
「ちょ、やめなさい、食事中!」
叱咤するつかさと、純粋に喜色をあらわにするまつり。二人を抱き寄せる霞冴の笑顔は、彼女の親友のルシルに向けるものによく似ている。出だしから親しげなスキンシップを見せる闖入者に、氷架璃が目をしばたたかせた。
「えっと……三人は友達だったのか?」
「幼馴染だよ~。親が、趣味の採掘つながりで仲良くてね」
「また渋いのかハイカラなのかわからん趣味だな」
「うちの親も、霞冴んちみたいに加工して売る職業だったらよかったのに、ただのコレクターだったからね。おかげで子供は苦労を強いられているわ」
やれやれと肩をすくめるつかさ。しかし、聞けば霞冴の両親も、つかさとまつりの両親も、採掘途中に事故にあって亡くなったというので、雷奈たちはそれ以上を追究するのをやめた。
霞冴は二人を解放し、緩いジェスチャーとともに言った。
「つかさが昨日、次の日に初めて人間界へ行くから雰囲気教えてって電話してくるもんだからさ。その時間帯に行けば二人に会えるんだなーと思ったら、いてもたってもいられず。ま、偵察だし、正攻法だよね~」
「どこが正攻法なのよ、アワに一瞬でバレてんじゃない」
「でも、わたしも霞冴ちゃんに久しぶりに会えて嬉しいよー」
「ダメよ、まつり。甘やかしちゃ」
「ありがと~っ。あ、焼きそば一口ちょうだい~」
「いいよー。はい、あーん」
「だから甘やかさないのってば!」
つかさの制止も聞かず霞冴を餌付けするまつりに、ほとほと呆れたつかさが雷奈たちに苦笑を向ける。
「ほんと、手のかかる妹たちだわ」
「ふふっ、確かに本物の三人姉妹みたいね。……姉妹といえば、雷奈。雷華は、雷帆ちゃんやお姉さんとうまくやってるかしら。九州で初顔合わせしてるのよね」
「たぶん大丈夫ったい。あれ以来、ちょっとは丸くなったし、それに今回はお願いに行っとる身やけんね」
「お願いって?」
芽華実の問いに答えようと雷奈が口を開きかけた時だ。
外で、高い声がした気がした。
「……なんか聞こえたよね?」
「声? 女の子の声かな?」
「なんていうか……泣いてる?」
最も戸に近い場所に座っていた雷奈が、コップの水を一口飲んでから、立ち上がり、引き戸を開けて外の様子をうかがった。目にした光景に、「あ」と声を漏らす。三、四歳くらいの小さな女の子が、大声で泣きながら参道をさまよっていた。
「おかあさーん……おかあさぁーん……」
なんだか前にもこんなことあったな、と夏休み中の逃亡生活を思い出しながら、雷奈は氷架璃たちに目配せして、外に出た。
「どげんし……じゃなくて、どうしたの?」
前回の教訓を踏まえつつ、雷奈は少女に近寄って話しかけた。しかし、今回の迷子は相当不安なのか、答えもせずに泣きじゃくっている。とはいえ、何があったのかは大体予想がつくので、クローズドクエスチョンに切り替えた。
「お母さんとはぐれたの?」
少女はぼろぼろ涙をこぼしながらうなずいた。その間に、氷架璃たちがどやどやと出てくる。
「迷子か?」
「そうみたい」
氷架璃は少女のそばにしゃがみ込むと、不意に自分の顔を両手で覆った。
「泣かなくていいぞ。いないいない……ばあー!」
「…………」
「いないいない……ばあぁー!」
「………………」
「よし、泣き止んだな」
「いや、呆気にとられてるんだと思うよ? そんな年じゃないし」
「んだと!?」
しばらくぽかんとしていた少女だったが、最後の氷架璃の大声に触発されて、また号泣し始めてしまった。今度は芽華実が歩み寄る。
「大丈夫? もしよかったら、これあげるわ。甘いものを食べたら、元気出るかも」
「芽華実、それハッカじゃないかしら……」
「あっ、本当! ご、ごめんなさい……」
フーの指摘に、芽華実は飴を差し出した手を慌てて引っ込めた。のど飴を常備している芽華実だが、よりによって今持っているのはメンソール系だったようだ。
それでも、芽華実の優しそうなソプラノで安心したのか、少女は心細そうにしながらも、すすり泣きに落ち着いた。
「どうするよ?」
「まあ、おばさんとおじさんがいないっていっても、ほかの巫女たちはいることやし……ちょっと相談するっちゃかね? ただ、もしこの子が神社の外で迷子になっとって、こっちに入り込んだとしたら、お母さんは神社の外で探し回っとるだろうし……」
「じゃあ、鳥居の辺で待ってたらどうかなー?」
間延びした声とともにやってきたのは霞冴だ。つかさとまつりがいないと思ったら、部屋の中から小さくのぞき見している。目が紫色の二人は、人間の前に出るべきでないと判断したのだろう。
だが、それを言えばアリスブルーの髪とシアンの目をした彼女も、人の目にさらしておけない人物である。氷架璃は度肝を抜かれた心地で霞冴の両肩をつかんだ。
「って、何出てきてんだあんたは! 自分の容姿を自覚しろ!」
「何のことかなー? ねえ、キミ」
霞冴はのんびりと迷子に話しかけた。
「私の髪の毛、何色かな?」
「……」
涙目で霞冴を見つめていた彼女は、
「……黒……」
「だよねー」
氷架璃のほうを流し見て、ふふんと笑う。確かに、以前、「霧猫だからごまかせる」というようなことを口走っていた。どうやら、人間にのみそう映るようにしてあるらしい。
霞冴の意見に賛成し、皆は鳥居のそばまでやってきた。母親らしき人影は見当たらない。まだ日も高いので、しばらくここで待ってみることにした。
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最終目標は日本に帰ること。それが無理なら、ずっとやりたかったお茶屋さんをはじめたいと思います!
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R15は保険。
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魔法陣の中心で困惑する男女の高校生と陸。そして眼鏡をかけた女子高生が中心へ近づいた瞬間、目の前が真っ白に包まれる。
次に目が覚めた時、男女の高校生と眼鏡の女子高生、そして陸の目の前には中世のお姫様のような恰好をした女性が両手を組んで声を上げる。
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『あなた達はなんですか? 自分が召喚したのは二人だけなのに』
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現在毎日更新中。
※この作品は『カクヨム』『ノベルアップ+』にも投稿されています。
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