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第2章「甘苦い二人暮らし」
水野くん家。
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…………
水野くんは独り暮らしのくせに二階建ての家に住んでいるらしく、そのまま案内させられた部屋は二階の奥にあった。
ここが、これからあたしの部屋になるらしい。
そして水野くんはその部屋の扉を開けると、浮かない表情を浮かべているあたしに言う。
「瀬川さんの部屋、ここだから。好きに使っていいよ」
「……ありがとう」
そう言って見せられた部屋は、だいたい10畳くらいの部屋。
あたしの前の家の部屋は6畳だったのに、一人で10畳はいくらなんでも広すぎる。
そこには数日前に事前に運んだあたしのベッドや本棚があって、私物が入った段ボールもいくつかあった。
あぁ…これを今から片付けなきゃいけないのか。
っていうか…
「…ね、いくら何でも広すぎじゃない?一人で10畳って、結構あるよ」
あたしはそう言うと、その広い部屋の中をキョロキョロと見渡す。
…すごい。
天井や壁、フローリングの床やドアの色が全部真っ白だ。
そう思っていると、あたしの言葉を聞いた水野くんが言った。
「だったらここはやめて俺の部屋に来る?二人で10畳なら、ちょうどいいだろ?」
水野くんはそう言うと、わざとらしくニッコリ笑う。でも…
「っ…な、何言ってんの!?誰が水野くんなんかの部屋にっ…!」
「はいはい。じゃあ次トイレとか風呂場案内するから、ついておいで」
彼はあたしの言葉を遮るようにそう言って、その場を離れた。
む、ムカつく!
そう思いながらも水野くんについて行くと、今度は一階に下りてお風呂場に案内された。
お風呂場は階段を下りるとすぐ傍にあって、中を見てみるとやっぱりそこも無駄に広い。
どうやら家がお金持ちなのは本当みたいだな。
そう思っていたら、水野くんが言った。
「シャワーの使い方が独特だからわかりづらいかもしれないけど、まぁ適当に使っていいから」
「て、適当にって…」
説明とかしてくれないわけ?
そう思って口を膨らませていると、水野くんが言葉を続けて言う。
「…でもまぁ、最近は電気も水道も必要以上は使わないように節約してるんだ。
だから、瀬川さんもなるべく節約に協力してほしいんだけど」
「…だったらシャワーの使い方教えてよ。お風呂に入ってる時全然わからなかったら困る」
あたしはそう言うと、目の前のシャワーを指差した。
そしてあたしにそう言われた水野くんはそのシャワーに視線を移すと、言った。
「…イヤめんどい」
「は、」
「じゃあ風呂一緒に入る?
そしたら電気代も水道代も浮くし、その時にシャワーの使い方も直に教えられるじゃんね」
水野くんは独り暮らしのくせに二階建ての家に住んでいるらしく、そのまま案内させられた部屋は二階の奥にあった。
ここが、これからあたしの部屋になるらしい。
そして水野くんはその部屋の扉を開けると、浮かない表情を浮かべているあたしに言う。
「瀬川さんの部屋、ここだから。好きに使っていいよ」
「……ありがとう」
そう言って見せられた部屋は、だいたい10畳くらいの部屋。
あたしの前の家の部屋は6畳だったのに、一人で10畳はいくらなんでも広すぎる。
そこには数日前に事前に運んだあたしのベッドや本棚があって、私物が入った段ボールもいくつかあった。
あぁ…これを今から片付けなきゃいけないのか。
っていうか…
「…ね、いくら何でも広すぎじゃない?一人で10畳って、結構あるよ」
あたしはそう言うと、その広い部屋の中をキョロキョロと見渡す。
…すごい。
天井や壁、フローリングの床やドアの色が全部真っ白だ。
そう思っていると、あたしの言葉を聞いた水野くんが言った。
「だったらここはやめて俺の部屋に来る?二人で10畳なら、ちょうどいいだろ?」
水野くんはそう言うと、わざとらしくニッコリ笑う。でも…
「っ…な、何言ってんの!?誰が水野くんなんかの部屋にっ…!」
「はいはい。じゃあ次トイレとか風呂場案内するから、ついておいで」
彼はあたしの言葉を遮るようにそう言って、その場を離れた。
む、ムカつく!
そう思いながらも水野くんについて行くと、今度は一階に下りてお風呂場に案内された。
お風呂場は階段を下りるとすぐ傍にあって、中を見てみるとやっぱりそこも無駄に広い。
どうやら家がお金持ちなのは本当みたいだな。
そう思っていたら、水野くんが言った。
「シャワーの使い方が独特だからわかりづらいかもしれないけど、まぁ適当に使っていいから」
「て、適当にって…」
説明とかしてくれないわけ?
そう思って口を膨らませていると、水野くんが言葉を続けて言う。
「…でもまぁ、最近は電気も水道も必要以上は使わないように節約してるんだ。
だから、瀬川さんもなるべく節約に協力してほしいんだけど」
「…だったらシャワーの使い方教えてよ。お風呂に入ってる時全然わからなかったら困る」
あたしはそう言うと、目の前のシャワーを指差した。
そしてあたしにそう言われた水野くんはそのシャワーに視線を移すと、言った。
「…イヤめんどい」
「は、」
「じゃあ風呂一緒に入る?
そしたら電気代も水道代も浮くし、その時にシャワーの使い方も直に教えられるじゃんね」
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