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婚約解消。(王太子)
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広い舞踏会会場を彼女ミスティア・フォン・ノートン公爵令嬢は、一人歩いていた。
流れる銀髪を靡かせながら、美しい肌を真紅のドレスに包み。
背筋を伸ばし緑の瞳を前に向け凛とした姿で、会場の真ん中を国王陛下の座する前へと。
婚約者であるこの国の王太子アルフィノ・フォン・ブックスのエスコート無しで。
紳士淑女の見守るなか、ミスティアは国王陛下の前まで進み出る。数段上の玉座に座る王と王妃、その一段下に金髪碧眼の王太子のアルフィノが立っていた。
彼の横には、庇護欲をそそる柔らかい茶髪の可愛らしい令嬢が立っている。王太子の側近たちも彼女を守るように立っていた。
彼女の名はアイシア・フォン・ノートン、ミスティアの義理の妹である。
彼女の存在がミスティアの総てを奪って行ったのだ。
ミスティアは悲しそうに、王太子のアルフィノを見つめた。
アルフィノも目を逸らさず、ミスティア見つめる。
「ミスティアよ、そなたとアルフィノとの婚約を此処に解消する。」
「仰せのままに。」
威厳ある国王陛下のお言葉を聞き、ミスティアは静かに頭を下げた。
此れは分かっていたことだ、彼女アイシアが現れた時点で。
祝福の儀で、アイシアが『聖女』として女神に選ばれた時点で。
『聖女』となれば高位の貴族の養女となる、それは庶民であっても変わらない。王族との婚姻をスムーズにするために、高位の貴族の養女となり王家と婚姻するのだ。
『聖女』は王家へ嫁ぐ、それは国の昔からの方針であった。故に誰も意義を唱えない。
そして『聖女』に年が近く、王家でも一番地位のある王子が婚約者として選ばれる。
例え婚約者がいても婚姻していない王子なら、婚約を解消し『聖女』の相手として選ばれる。
高位の王子を選ぶのは、王家の『聖女』への敬意の表しでもあった。
アイシアが『聖女』となった時点で、ノートン公爵家への養女は決まり王子の中で一番地位の高い王太子と婚姻をするのは当たり前の事であった。
それ故、ミスティアと王太子アルフィノとの婚約解消は当然であった。貴族であるミスティアが、婚約解消を受け入れるのは仕方がない事である。
王太子は静かにミスティアに近づき、話しかける。
「すまない、ミスティア。国の定めだ、許してくれ。私は王太子としてアイシアと婚姻する。」
「はい、アルフィノ様。分かっておりますわ、此れは国の定め。致し方ないことでございます。」
「ミスティア。」
「アルフィノ様。」
二人は悲しそうに見詰めった。
「此処に余は宣言する。『聖女』アイシアと、王太子アルフィノとの婚約を!! 」
国王陛下が声高らかに、『聖女』と王太子の婚約を宣言した。
「アルフィノさま!! 」
アイシアが声をあげた。
アルフィノはミスティアに哀しい笑顔を残し、アイシアに顔を向ける。
王太子の瞳の色のドレスを左手で掴み、階段を転げるように降りてくる。
その危なっかしさに王太子アルフィノは手を広げた、その腕に吸い込まれるようにアイシアは近寄ってくる。
抱き合う二人を見たくなかったミスティアは顔を逸し、瞳を閉じた。
「アルフィノさま!! 」
「危ないアイシア!! 」
ドゴッ!!
ぎゅるるん!!
ガッ!!
ガッ!!
ガッ!!
ガガガガガガ、ガッ!!
何かが、ミスティアの横をすり抜けて行った。
静まり返る会場。
ミスティアは、ゆっくりと目を開けた。
「きゃあぁぁぁぁああ!! 」
ミスティアはすり抜けて行ったものを見て悲鳴をあげた。
流れる銀髪を靡かせながら、美しい肌を真紅のドレスに包み。
背筋を伸ばし緑の瞳を前に向け凛とした姿で、会場の真ん中を国王陛下の座する前へと。
婚約者であるこの国の王太子アルフィノ・フォン・ブックスのエスコート無しで。
紳士淑女の見守るなか、ミスティアは国王陛下の前まで進み出る。数段上の玉座に座る王と王妃、その一段下に金髪碧眼の王太子のアルフィノが立っていた。
彼の横には、庇護欲をそそる柔らかい茶髪の可愛らしい令嬢が立っている。王太子の側近たちも彼女を守るように立っていた。
彼女の名はアイシア・フォン・ノートン、ミスティアの義理の妹である。
彼女の存在がミスティアの総てを奪って行ったのだ。
ミスティアは悲しそうに、王太子のアルフィノを見つめた。
アルフィノも目を逸らさず、ミスティア見つめる。
「ミスティアよ、そなたとアルフィノとの婚約を此処に解消する。」
「仰せのままに。」
威厳ある国王陛下のお言葉を聞き、ミスティアは静かに頭を下げた。
此れは分かっていたことだ、彼女アイシアが現れた時点で。
祝福の儀で、アイシアが『聖女』として女神に選ばれた時点で。
『聖女』となれば高位の貴族の養女となる、それは庶民であっても変わらない。王族との婚姻をスムーズにするために、高位の貴族の養女となり王家と婚姻するのだ。
『聖女』は王家へ嫁ぐ、それは国の昔からの方針であった。故に誰も意義を唱えない。
そして『聖女』に年が近く、王家でも一番地位のある王子が婚約者として選ばれる。
例え婚約者がいても婚姻していない王子なら、婚約を解消し『聖女』の相手として選ばれる。
高位の王子を選ぶのは、王家の『聖女』への敬意の表しでもあった。
アイシアが『聖女』となった時点で、ノートン公爵家への養女は決まり王子の中で一番地位の高い王太子と婚姻をするのは当たり前の事であった。
それ故、ミスティアと王太子アルフィノとの婚約解消は当然であった。貴族であるミスティアが、婚約解消を受け入れるのは仕方がない事である。
王太子は静かにミスティアに近づき、話しかける。
「すまない、ミスティア。国の定めだ、許してくれ。私は王太子としてアイシアと婚姻する。」
「はい、アルフィノ様。分かっておりますわ、此れは国の定め。致し方ないことでございます。」
「ミスティア。」
「アルフィノ様。」
二人は悲しそうに見詰めった。
「此処に余は宣言する。『聖女』アイシアと、王太子アルフィノとの婚約を!! 」
国王陛下が声高らかに、『聖女』と王太子の婚約を宣言した。
「アルフィノさま!! 」
アイシアが声をあげた。
アルフィノはミスティアに哀しい笑顔を残し、アイシアに顔を向ける。
王太子の瞳の色のドレスを左手で掴み、階段を転げるように降りてくる。
その危なっかしさに王太子アルフィノは手を広げた、その腕に吸い込まれるようにアイシアは近寄ってくる。
抱き合う二人を見たくなかったミスティアは顔を逸し、瞳を閉じた。
「アルフィノさま!! 」
「危ないアイシア!! 」
ドゴッ!!
ぎゅるるん!!
ガッ!!
ガッ!!
ガッ!!
ガガガガガガ、ガッ!!
何かが、ミスティアの横をすり抜けて行った。
静まり返る会場。
ミスティアは、ゆっくりと目を開けた。
「きゃあぁぁぁぁああ!! 」
ミスティアはすり抜けて行ったものを見て悲鳴をあげた。
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