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あとがき、解説
しおりを挟む前話にて「とある護衛の業務日記」は完結です。皆さま、お付き合い頂きたありがとうございました。
終わり方が中途半端だとか、結局のところどういうことなのかわからないとかのご意見はあるかと思いますが、今の私の技術ではこれで精一杯でした。
一人称視点で文章を書いていくのって本当に難しいです。その人物の主観を中心に書いていくので、他人視点とは齟齬もありますし、読者の方にもわかりやすいようにと説明的文章を組み込むのも、一人称視点ゆえに違和感しかありませんでした。
なのでこの作品は、登場人物それぞれが持つ、その時々の必要最低限の情報でどこまで書けるのかを(結果的に)試行したものとなっています。
以下では、本編で全く語る隙間を見つけられなかった設定や状況を解説していきたいと思います。
・ランス王国…王政国家。本編の舞台。
王弟は優秀な軍人として国内外から畏敬を集めている。筆頭貴族ディオ家は内政に重きをおいていたが、戦争における嫡男の武勇や和平交渉の手腕などから国外でも恐れられるようになった。
・ルスツ王国…王政国家。ランス王国の東に隣接する。ランス王国の資源や技術を危険視し、戦争を起こした。
・レイテ神皇国…宗教国家。ランス王国、ルスツ王国の北に隣接する。宗教理念より非戦を謳い、軍隊を持たない。代わりに数多の傭兵を抱え、他国に出身を伏せて派遣、他国間の戦争に介入し、漁夫の利を謀って国益を得てきた。国主争いによっていくつかの実力者があちこちの戦争に首を突っ込んでいる。
・アルフ・ヴィオスの故郷…ランス王国の東に位置する。狩猟戦闘民族の集落であり、その成り立ちから王国でも特別な自治権が与えられていた。
ルスツ王国には真っ先にねらわれる特性上、アルフ・ヴィオス以下の若者数十人が故郷を守るために傭兵として戦争に志願、その戦闘技術を曇りなく発揮した。
・戦争の全貌
神皇国はランス王国を弱体化させるためにルスツ王国を陰から支援した。
思いがけずリオネスや「千里眼」の能力を前に計画がうまくいかず、ランス王国の貴族家をいつくか寝返らせ、ルスツ王国に派遣した傭兵と共謀させて偽の和平交渉を仕立てる。それを罠と見抜いていながら、リオネスや「千里眼」は捕虜となっていた友軍の安全ためにも応えないわけにはいかず、対策をとりつつもその場へ向かった。しかし、対策は予想以上の戦力という圧倒的な暴力の前に無に帰す。リオネスら率いる王国軍は壊滅、「千里眼」の傭兵部隊は「千里眼」を除いて全滅した。
ただ、ルスツ王国にとっても、この謀略は喜べないものだった。国の中枢は神皇国の戦争への介入には徹頭徹尾反対していた状況、神皇国の傭兵を招き入れたのは一部の人間であったのだ。しかも既にリオネスらによって痛めつけられており、停戦のきっかけを探していた。
そのような中で、最悪の謀略が起こったのである。
神皇国が主導した謀略は、表向きはどうしてもルスツ王国のものと見なすことができる。あまりにも卑怯卑劣、国の名誉を地に落とす行為によって正規兵の志気は減衰したし、これでランス王国が悲憤に燃えてしまうとなお悪い。
ランス王国宰相ライオネル・ディオはその状況を知るや否や、新たに「本当の」和平交渉を持ちかけた。神皇国に一切の横やりも口出しも許さない外交手腕でルスツ王国との交渉を果たし、停戦→終戦へと至った。
・本編解説
レイテ神皇国(のランス王国を狙う一派)はランス王国の弱体化を諦めていなかった。そのためにも出る杭を叩こうということで真っ先にディオ家が標的に。長男亡きあと、次男が嫡男になるのは当然の流れなので、ライオネルは堂々とレオナールを本邸に招いて住まわせた。この時点で、本邸には他国や売国奴の息がかかった者やライオネルやレオナールを心配した王弟の手の者が紛れ込んでいた。最初にレオナールが誘拐されたきっかけはこの前者。最終話時点ではどちらも一掃されている。
アルフの危機察知能力や天性の勘でレオナールに襲いかかる危機は回避され、ライオネルが後始末としてちょくちょく神皇国のその一派を刺激していた。
ランス王国王弟がアルフを殺そうとしたのはこの思惑とは全く無関係。王弟は、自分の社会的な地位を自覚しておきながら、自分が他者を可愛がることで起こる影響を想像できない男だった。リオネス謀殺の一助となった内通者は、王弟――ひいては王家に贔屓されるリオネスへの嫉妬心、権力の集中しているディオ家への危機感を煽られ行動に映したのを、国王はわかっているが王弟は理解しようともしなかった。ゆえにライオネルを殴ることにもなったのである。
親友の息子をとにかく猫可愛がりする姿勢には生前のリオネスもレオナールも違和感を持ち、距離を置こうと心がけている真っ最中だった。
内通者のうちの一つはグロース家。アストルとルテマリアはその庶子であったが、親とディオ家の関係に気づいたところを利用され、レオナール拉致を図らずも幇助することとなった。
レオナールを拉致した神皇国一派の狙いは、ランス王国とルスツ王国に再び戦争の火種を点すことだった。傭兵にレオナールをルスツ王国の反神皇国派貴族の家に送らせ、その場でレオナールの身分を明かし、神皇国派と見なさせる。ランス王国としてはルスツ王国にレオナールが拉致された事実のみしか知らぬ状況、また内通者が声高に叫べば、国王らの感情はともかく世論は一気に開戦へ傾く。
そのような思惑がありながら、レオナールを拉致してもしばらく国境の城に留め置いていたのは、作中でアルフが語ったとおり、「締め上げすぎた」からだ。とにかくディオ家や王国の影響下からレオナールを引き剥がしておきたかったのである。
そこをライオネルに逆手にとられ、城を燃やされ、拉致に加えてレオナール殺害(のちに未遂となる)の罪まで糾弾されることになる。拉致犯「暴虎」も証言したのでルスツ王国側もまた利用されかけていたことに激怒、同盟結成への機運が高まることになった。
最終話では、失点続きの神皇国の密使が慌てて謝罪と弁明に訪れているところで終わっている。
と、こんなところでしょうか。解説が足りない部分もあるかもしれないので、ぜひその時はお声かけ下さい。
アルフたちの復讐はこれからが本番です。今のところまっさらなので予定もなにもないですが、もしこれからこの先の未来を書くきっかけやネタ、余裕ができたら、その時は別のタイトルで書いていきたいと思います。
最後になりましたが、ここまでお付き合いしてくださった読者の皆さま、本当にありがとうございました。
※追記。書くタイミングを逃してましたが、アルフの名前は偽名です。アルフの代わりに「千里眼」として戦で討たれた仲間の名前をもじってます。
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