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しおりを挟む「小間ちゃん、いらっしゃい」
今日は、約束していた春君のお家のお泊り会だ。
お家だからどこにも遊びに行かないと思って、白い無地のシャツにジーンズとザ・モブ服で来たのに、出迎えてくれた春君のお洒落な様子に驚いた。
キラキラふわふわ金髪は、前髪は下ろしたまま、サイドをワックスか何かで後ろに固めていて服装はいつも通りオシャレだけど、なんかこうオーラが凄い。ピカピカ輝いている。
「……どこか行くの?」
「え? ううん。どこか行きたい?」
「髪の毛きちんとセットしているから」
春君が首を傾げて、「変?」と聞くので、全力で首を振って否定する。本当に王子様みたいだとびっくりしちゃっただけだもん。
「じゃ、格好いい?」
「うんっ! 春君はいつも格好いいけれど、今日は凄く格好いいよ」
「…………小間ちゃんも凄く可愛い」
この無地で色味のない服装。可愛くもないことは僕だって分かっている。でも、春君は人一倍気を使ってくれるからいつもこういう風に言ってくれるんだ。
お家に上がらせてもらうと、春君が僕をぎゅうっと抱き締めてきた。
「苦しいよ。春君」
僕はそんな春君の背中をポンポン叩いた。
「うん。小間ちゃんが来てくれて嬉しくて。しばらくしたら夕ご飯の買い出し行こうか?」
「うん」
夕方、春君と流行りのゲームをして遊ぶ。僕はゲームを全くしないから彼に色々教わりながら進める。初心者とゲームしても楽しくないのではと思ったけど、彼はとても楽しそうに教えてくれるので、僕もいつの間にか楽しくなった。
それから、二人で夕ご飯の買い出しにスーパーへ行く。二人とも料理もそんなに出来ない事が分かったので、簡単に作れる鍋にしておいた。
二人でキッチンに並んで作るのは、楽しくてニコニコしてしまった。材料切っただけだけど、作った鍋はとても美味しく感じた。
「お腹いっぱいになったね」
「うん」
食べた後、二人でソファに座ってぼんやりテレビを見る。春君は僕の髪の毛の感触がお気に入りのようで、よく指でクルクル弄ってくるんだ。その髪の毛に春君の顔が埋められたりする。なんだか、ぼんやりしてきて眠くなってきた……お風呂のお湯が沸いたようで、ピッピッと音がなる。
「小間ちゃん、お風呂湧いたから入ろうか」
「うん」
お風呂場に案内されて、服を脱いでいたら、春君が当たり前のように脱ぎ始めた。
あ……あれ?
「一緒に入るの?」
春君がTシャツを脱いだ。細マッチョ……。い、いや、そんなことよりも、僕と春君一緒にお風呂に入るのだろうか?
「うん。折角小間ちゃんが泊りに来てるから」
「そういうものなのかな?」
「アヒル浮かす? さっき買ってきた」
そう言えば、春君が雑貨屋に入ってアヒルを買ってたんだ。何に使うのかと思っていたら、お風呂に浮かすんだ。
「ふふ。うん。春君とお風呂入るのも楽しそうだね」
「でしょ」
春君が身体を洗っている横で僕は湯船に入った。
洗っている春君をぼんやり見る。
春君は、脱いでもイケメンさんだ。細マッチョの身体はモデルさんみたいだし、下半身に付いているモノは外国人サイズだ。
こういうのは大なり小なり人の個性なのだから、とやかく思うのは相手にも自分にも失礼だ。……うん、僕のって小さいのかな? 今度日本人の平均サイズ調べよう。
ぷかぷか浮いているアヒルをツンツン突いていると、春君がおいでと手招きしてくれる。
「小間ちゃん、身体洗ってあげる」
「え。僕、自分で洗えるよ?」
春君が僕の両脇に手を添えて湯船から出そうとしてくるので、自分で湯船から出た。
「前に座って。俺、昔犬飼ってて、洗うの得意だから」
「ウ~ン。でも、恥ずかしいよぉ……。あんまり見ないでね?」
「ん~」
ん~っと春君が適当な相槌を打つ。
男同士で恥ずかしがっている僕がおかしいのかな?
そう言えば、中学の時の合宿で遊びながら笑いながら洗い合ってる子いたっけ。
僕がそう考えているうちに、彼がボディソープを手のひらで馴染ませて泡を作っていく。背後から手を回されて僕の手からグニグニとマッサージするように洗われていく。
「手のひら指圧したら気持ちよくない?」
「ほ、ホントだ。気持ちいい」
「でしょ♪」
手の平への指圧が終わると、その手が腕、脇、背中を洗って、お腹にはさらにボディソープを付け足して洗われる。
「小間ちゃん、肌白いね」
「……ん。んっ、引きこもりだから……くすぐったいよぉ。前は自分で洗うから」
「今日は俺の我が儘で泊まりに来てもらってるから、前も俺に洗わせて?」
「んっ……んうっ、でも、僕、本当に、……くすぐったくて……」
彼の手が腹部から鎖骨にそして胸部へと回ってくるのだけど、あまりのくずぐったさに震えてしまう。
胸部をクルクルを手のひらで洗われていると、いつもは気にしたことがない……乳首が掌に擦れてムズムズする気持ちになってくる。
「小間ちゃん、肌触り凄いいい」
「あっんっ。春くっ耳、噛まないでっ」
また、春君が僕の耳を噛んでくる。耳からゾクゾクして鳥肌が立ってしまう。それで、胸を撫でられるとヒクンと背中を反って彼の胸にもたれ掛かった。
「小間ちゃん、もしかして気持ちよくなっちゃった?」
「——へ?」
「指で触ってあげようか?」
もう手で触っているのに、何しようとしているのかと彼の手を見つめると、人差し指でフニフニと乳首をつつき始めた。
「あっ、んんっ……!」
「可愛い声。おっぱいで感じるんだね」
そう言って、もう一度、フニ……っと指でつつかれた。
「あんっ! そこ、弄んない……だめ、んぁあん……!! もうっ、へ、変なぁ、声出ちゃったぁ」
自分の変な声が恥ずかしくて口で押さえる。
「変じゃないよ。凄い可愛い。」
「——ん、んっ」
春君が擦るように乳首を触るから、声が止まらない。
また前のめりになろうとした時、自分の性器が目に入る。
————僕……勃っちゃってる。
「小間ちゃんの、勃ちゃったね」
クスリと後ろから笑われて、羞恥心で顔が真っ赤になる。
「——見ないで」
「大丈夫だよ。生理現状だから、男はみんな気持ちよくなったら勃っちゃうもんね。擦ってあげるね」
「そんなことまで春君にさせ……っ!? んっ、んん……ふぁっあん」
春君の大きな手が僕の陰茎を掴んで緩く擦ってくれる。直接的な快感に身体が震える。
「小間ちゃんのピクピクしてる。もっと気持ちよくなっていいよ。おっぱいも触りながら擦ったらもっと気持ちいいかな」
「————ゃぁ、あ、あんん」
片手で乳首を摘ままれながら、陰茎をゆるゆる擦られる。ボディソープでヌルヌルして滑りが良くて、我慢できない。
ヌチャヌチャ厭らしい音が擦られて鳴ってる。風呂場だからより音が響いている。
気持ちいい。腰が浮いちゃう。
「っ恥ずかしいよぉ————んんっあっ」
「はっ、小間ちゃん」
「ふぇっ、耳、噛んじゃっ……、あぁん」
耳を甘噛みされた時、ピリッと快感が走って、思わず射精してしまった。
性器からピュッピュッと白い精液が出ているのに、彼がまだ性器を緩く握ったままだ。
放心状態で彼の胸にくたぁっともたれる。
そんな僕に彼はシャワーをかけてくれ、残滓をキレイに流してくれる。その光景をぼんやりみていると申し訳なさが込み上げてくる。
「——んっ、はぁ……春く、ん」
ちゅっちゅ、とこめかみにキスを落とす春君に思わず頭を擦りつけてしまう。
「小間ちゃん気持ちよかった?」
「う……、うん。気持ちよかった」
でも、いくら、春君が親切だって言っても、こんなことまでさせてしまうなんて。
どうしていいのか、春君の顔が見れないのに、春君が僕をまだ抱きしめたままだし……。凄く春君がドキドキしているのが伝わってくる。あれ? 僕の心臓の方かな……。
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