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2章 学校編
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しおりを挟む「せんせーまだですか……」
職員室前に待機するように促されて、足踏みする僕。
仮病とはいえ、何週間にも渡って休み続けた僕の久しぶりの姿を見て、気にかける先生たち。
向けられた視線と声に励ますような明るさが込められていた。
寒い季節の秋なのに、心がぬくぬくする。
僕の心は真夏のような快晴だった。
ほんの少し前まで四人衆にいじめられて、クラスメートからは無視をされて。
助けるものがいないなか、笹野先生の一声がどんよりとした心を晴らしていた。
この先生が、USBを持っているとしたら、どんなにありがたい話か。
優しく強い先生が、大好きな父さんを助ける力になるかも知れない。
僕には、それだけが頼りでそれで充分だと思った。
だからこそ、話さなくちゃ。
笹野先生が味方になるのかもしれないから。
期待に胸を弾ませていると、笹野先生が廊下からカッカッという音を響かせながら職員室に向かってきた。
「おい、悠基。何やってるんだ? そんな職員室前に突っ立って」
「先生を待ってました」
「どうしたんだ、要件は?」
返答に困った僕を見かねた先生は、「とりあえず入りなさい」と導いて、僕は職員室の笹野先生のデスク横まで通された。
「それで、なんの要件だ」
「実は、ですね──」
しまった!
USBのことを直接言うにいえないじゃないか。
怪しまれないように盗み見る方法やすり替える方法はないものか。
自分の思慮の浅さに、後悔していると、ひとつ考えを思い付いた。
「──先生はすでに一部始終を見たかも知れないんですが、その……いいづらいのだけど、何ていえば良いか、わからなくて……でも、先生の力が必要なんです!」
「力? これまたなんで?」
「えぇっと、その話したいことはたくさんあるのですが……。いじ……いじ……」
「いじ……? いじめ……?」
「そうです、いじめを受けてて。助けて欲しくて」
「……わかりました。放課後の帰りのHRが終わった後に、もう一度、職員室に来なさい」
「……わかりました」
どうしたものか、USBを入手するために近づいたはずなのに、気づいたら、いじめの相談を放課後にすることになってしまった。
とりあえずこの先、何とかしてさりげなくUSBの話を持ち出さないと。
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