世界は妖しく嗤う【リメイク前】

明智風龍

文字の大きさ
19 / 33
2章 学校編

17

しおりを挟む

 ──放課後
 
 担任の笹野先生の指示通り職員室に定刻より少し前に来たのは良いものの、笹野先生が「待ってろ! 少し用事ができた」と話し、職員室を出て、少し待ち時間が伸びることに。
 どうやって先生からさりげなく聞き出すか、という方法について、考えがまとまらないために、早く情報を掴みたい思いと、考える時間が欲しい思いの狭間で揺れていた。
 
 お、笹野先生が戻ってきたぞ!
 ようやくかな?
 
「悠基、待たせたな」
「ずっと……待ってました……先生。早速話を」
「そうだったな。……話だったな」
「何の話か覚えていますよね?」
「い……いじ…いじめの話だったな?」  
「忘れないでくださいよ、笹野先生」  
「忘れてなどいないさ、少しプリントを取りに行ってただけさ」
 
 小さな女の子が怒りを可愛く表現するように、柄にもなく膨れっ面で、途中離席した先生にいらつきをぶつけた。
 笹野先生は物忘れは激しい方ではないと、認識しているのだが、用事が重なると忘れることもしばしばあるから仕方ないのだけれど。
 でも、やっぱり僕はいらついてしまった。
 切り出すべき話の本題がいじめではないのだけれど、話の切り口として、いじめの話を持ち出すのは都合がよいのではないか? と結論めいた考えが湧き出していた。
 だけど──。
 話せるかなぁ。
 一度整っていた頭の中の考えがぐちゃぐちゃになってしまった。
 このままでは話すのは難しくなる。
 
「この話をするなら、そうだなぁ。ここじゃ話をしづらいよな?」

 確かに先生のいう通り、職員室に人が少ないとはいえ、話をしづらい。
 話しづらく感じていたのは、場所の問題だと、自分に言い聞かせるように応えた。
 
「えぇ、確かにそうですね。人気のない場所が良いです」
「わかった。……悪い、誰もいない自習室の方で話すか」
 
 笹野先生は担任として、僕は五明章介の息子として。先生は先生でノートPCを抱えて、いじめの話を聞き出しに、僕は僕でUSBの話を聞き出しに、各々の目的を引っ提げて自習室へと向かった。
 
 
 
 ◇◆◇◆
 
 
「いじめについて、ゆっくりでいいから話せるか」
「……わかりました。話します」
 
 僕は精一杯に話した。
 今日までに起きたいじめにまつわる話を持ち出した。
 いじめっこ四人衆の話し。
 そして、3年2組の教室内では先生の知らないところでいじめがあり、何人かがターゲットにされていた。僕も皆も黙認していたという話しも。
 さらには、先生も知っているように僕が休んでいた状態が続き、おもらしをしてしまったことも要因となり、ターゲットにされて、いじめられた。
 というような話をおこなった。
 
 すると、先生は「なるほど、わかり……ました」と、話しながらUSBの刺さったノートPCに文字を入力しながら応えた。
 そのまま、先生はメモした情報をUSBに保存するために手早くパスワードを入力する。
 ハッと気づかされた。
 今、目の前にUSBがあるではないか。
 しかもパスワード入力中のキーボード操作まで何とか見える。
 それを僕は見逃さなかった。
しおりを挟む
感想 18

あなたにおすすめの小説

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

17歳男子高生と32歳主婦の境界線

MisakiNonagase
恋愛
32歳主婦のカレンはインスタグラムで20歳大学生の晴人と知り合う。親密な関係となった3度目のデートのときに、晴人が実は17歳の高校2年生だと知る。 カレンと晴人はその後、どうなる?

中1でEカップって巨乳だから熱く甘く生きたいと思う真理(マリー)と小説家を目指す男子、光(みつ)のラブな日常物語

jun( ̄▽ ̄)ノ
大衆娯楽
 中1でバスト92cmのブラはEカップというマリーと小説家を目指す男子、光の日常ラブ  ★作品はマリーの語り、一人称で進行します。

熟女愛好家ユウスケの青春(熟女漁り)

MisakiNonagase
恋愛
高校まで勉強一筋で大学デビューをしたユウスケは家庭教師の教え子の母親と不倫交際するが、彼にとって彼女とが初の男女交際。そこでユウスケは自分が熟女好きだと自覚する。それからユウスケは戦略と実戦を重ねて、清潔感と聞き上手を武器にたくさんの熟女と付き合うことになるストーリーです。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

壊れていく音を聞きながら

夢窓(ゆめまど)
恋愛
結婚してまだ一か月。 妻の留守中、夫婦の家に突然やってきた母と姉と姪 何気ない日常のひと幕が、 思いもよらない“ひび”を生んでいく。 母と嫁、そしてその狭間で揺れる息子。 誰も気づきがないまま、 家族のかたちが静かに崩れていく――。 壊れていく音を聞きながら、 それでも誰かを思うことはできるのか。

とある男の包〇治療体験記

moz34
エッセイ・ノンフィクション
手術の体験記

処理中です...