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だいち
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だいちって誰。
まずそれが問題だ。
まあ私について行かないという選択肢は存在しないのだけども。あの夜の内の誰かなのだろうということもわかっている。
だが、誰にしろ会いたくない。私に何の用だというのだ。あ、白夜さんだった場合は鑑賞させて欲しいから用があるのなら喜んで伺う。でもだいちは違う。喜ばしくない。
繁華街、バーのような店内で、不良達がたむろしていた。
そんな不良達は2人が入ってくるなりだらしなく崩していた姿勢を正し頭を下げる。
嗤う男に手を引かれていた私も当然その光景を目の当たりにして、今すぐ家に帰りたくなった。それにプラスしてコイツ何で来た感を視線だけで漂わされ、泣きたくなった。
「だいち居るよね?」
「はい! います!」
あ、誰も私が連れて来られたことに突っ込まないんですね。了解です。
この幹部的人達に向かってそんなこと言えないんだとは思うよ。でも誰か言って欲しかった。そして帰りたかった。
「だいち~!」
扉が壊れてしまうのではないかというほど大きな音を立てた。
「扉はもっと静かに開けろ!」
「はいはい」
そこには残りの3人も居て、幹部大集合という風景だった。私は完全に場違い。
物静かな無表情な男がすっ、と首に掛けているネックレスを掲げる。
「あ」
こくりと頷かれる。
私は笑顔になる。
お返しに、私もトートバッグを掲げる。
相手も心なし笑顔な気がする。これは私の幻覚かもしれないが。
「あわいの民でいらっしゃる!?」
こくりと頷かれる。
物静かな男が掲げたネックレスのトップはもとはストラップだった。それを肌身離さずいられるよう、チェーンにつけたらしい。素晴らしきくすまも愛。
私は手先が器用ではないのでキーホルダーのままである。
「実物初めましてです!」
「……おれも」
「え、お喋りしません?」
早々と頷かれる。
2時間後。零一とは親友になりました。元々心の友だったのですぐですよ、すぐ。
LINEも交換して、雑談する約束を取り付けた。こんなに喜ばしいことが他にあるだろうか。
友達に布教しまくってもその努力の成果が結ばれたことは一度たりともない私にとって分かり合える友ができる。これはとても嬉しくて頬が自主規制できないほどに緩みまくる。
「……白夜、あの先生に似てるよね。しかも、白いフード付きの服着ること多いから。余計見えるかも?」
「え!! そっちも?」
「うん。好き。やってる」
「大好き親友!!」
「ん」
まさかの仲間にも似ていると思われている白夜さん。本人様は知ったらどんな顔をしてくれるのだろうかと興味がなくもない。怖くて告げれやしないんだけどね。
まずそれが問題だ。
まあ私について行かないという選択肢は存在しないのだけども。あの夜の内の誰かなのだろうということもわかっている。
だが、誰にしろ会いたくない。私に何の用だというのだ。あ、白夜さんだった場合は鑑賞させて欲しいから用があるのなら喜んで伺う。でもだいちは違う。喜ばしくない。
繁華街、バーのような店内で、不良達がたむろしていた。
そんな不良達は2人が入ってくるなりだらしなく崩していた姿勢を正し頭を下げる。
嗤う男に手を引かれていた私も当然その光景を目の当たりにして、今すぐ家に帰りたくなった。それにプラスしてコイツ何で来た感を視線だけで漂わされ、泣きたくなった。
「だいち居るよね?」
「はい! います!」
あ、誰も私が連れて来られたことに突っ込まないんですね。了解です。
この幹部的人達に向かってそんなこと言えないんだとは思うよ。でも誰か言って欲しかった。そして帰りたかった。
「だいち~!」
扉が壊れてしまうのではないかというほど大きな音を立てた。
「扉はもっと静かに開けろ!」
「はいはい」
そこには残りの3人も居て、幹部大集合という風景だった。私は完全に場違い。
物静かな無表情な男がすっ、と首に掛けているネックレスを掲げる。
「あ」
こくりと頷かれる。
私は笑顔になる。
お返しに、私もトートバッグを掲げる。
相手も心なし笑顔な気がする。これは私の幻覚かもしれないが。
「あわいの民でいらっしゃる!?」
こくりと頷かれる。
物静かな男が掲げたネックレスのトップはもとはストラップだった。それを肌身離さずいられるよう、チェーンにつけたらしい。素晴らしきくすまも愛。
私は手先が器用ではないのでキーホルダーのままである。
「実物初めましてです!」
「……おれも」
「え、お喋りしません?」
早々と頷かれる。
2時間後。零一とは親友になりました。元々心の友だったのですぐですよ、すぐ。
LINEも交換して、雑談する約束を取り付けた。こんなに喜ばしいことが他にあるだろうか。
友達に布教しまくってもその努力の成果が結ばれたことは一度たりともない私にとって分かり合える友ができる。これはとても嬉しくて頬が自主規制できないほどに緩みまくる。
「……白夜、あの先生に似てるよね。しかも、白いフード付きの服着ること多いから。余計見えるかも?」
「え!! そっちも?」
「うん。好き。やってる」
「大好き親友!!」
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まさかの仲間にも似ていると思われている白夜さん。本人様は知ったらどんな顔をしてくれるのだろうかと興味がなくもない。怖くて告げれやしないんだけどね。
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