32 / 33
ヒュジャックジョンソン誘拐事件
馬鹿でノロマで寂しくて
しおりを挟む
「ところで君には、名前はあるかな?」
ヒュジャックジョンソンこと、幽街画廊のオーナーのヒューは、自分を抱き抱えている珍しい虹の妖精に訪ねた。
「みんなは、バカとか役立たずっていうよ。」
「そうか、悪いことを聞いたね。」
「ヒューさんは悪くない。
僕が悪いから、そう呼ばれる。」
虹の妖精に抱えられたヒューは、辺りを見回した。
ゴーストツリーの街を一面に見下ろせる景色。
絶景である。
「ヒューさん。
この山は、なんて言う名前?」
「アルゴ山かな、覚えなくていいよ。
みんな勝手に各々が付けた名前でよんでるからね。」
「じゃあ、僕もアルゴ山って呼ぶ。
ヒューさんと一緒。」
さて、どうしたものかな
俗に言う誘拐だろうか? 自虐的に考えて半分置物の様な姿のヒューの場合は、盗難とも言えなくもない。
他人からバカと呼ばれるこの珍しい虹の妖精にヒューは誘拐されたのだ。
「え~と、虹の妖精君?
今日は、帰れるかな?」
「ごめん、道覚えてない。」
想定内の答えである。
恐らく、本気で幽街画廊の帰路は覚えていないのだろうがヒュー自身は、この辺り一帯の地図は頭の中にある、きつく言えば、この妖精はヒューの言うことを聞き幽街画廊に帰ることは出来るだろう。
だが、それはしたくなかった。
ヒューは、怒る事、キツく叱る事ができない性分なのだ。 傍目には、穏やかで良い奴に映るが、実際には、どんなに酷い事をされても腹が立たないと言うのは褒められた事では無い。
優しいと言うよりは、他人に興味が無いに近い。
ヒューの場合は、他人には興味深々だが、何をされても、それは想定内の事で腹が立たない。
優しいと言うより、何処か冷たいのだ。
「ヒューさん、僕のこと、バカで良いよ。」
「それは、言わない。
君は、バカかも知らんが、僕から見たら大体の奴がバカなんだ。
君だけを特別扱いしないさ。
それに、君は、バカを自覚しているから賢いほうさ。」
「ぼ、ぼくは賢いの?」
「賢いは、他人が決めることだからね。
だから僕の中では、君は賢い。
賢くてバカだ。」
「やっぱりバカなの?」
「バカと言うのは、範囲が広くてね。
妖精誰もが、何らかのバカなんだ。
逆にバカじゃなければ面白く無いのさ。」
「ヒューさんの言ってることは、難しくて僕には分からないや。」
「分からないことが多ければ多いほど人生はスリリングで楽しいよ。」
「僕の人生は楽しいのかな?」
「今はどうだい?」
「ヒューさんと居ると楽しい。
僕をバカにしない。 優しい。 面白い。 僕を好きと言ってくれて嬉しい。」
「最近は、褒められる事が無いからね、正直嬉しいよ。」
「ぼ、僕なんかに褒められて嬉しいの?」
「君は、嘘を吐かないから嬉しいのさ。」
「わわわ ヒューさん天才、ヒューさん可愛い、ヒューさん王様、ヒューさんぶらい!」
「ははは、ブライってなんだよ。」
ヒューは、今の状況を楽しんでいた。
幽街画廊にこの虹の妖精が来たのは今日の朝のことであった。
ヒュジャックジョンソンこと、幽街画廊のオーナーのヒューは、自分を抱き抱えている珍しい虹の妖精に訪ねた。
「みんなは、バカとか役立たずっていうよ。」
「そうか、悪いことを聞いたね。」
「ヒューさんは悪くない。
僕が悪いから、そう呼ばれる。」
虹の妖精に抱えられたヒューは、辺りを見回した。
ゴーストツリーの街を一面に見下ろせる景色。
絶景である。
「ヒューさん。
この山は、なんて言う名前?」
「アルゴ山かな、覚えなくていいよ。
みんな勝手に各々が付けた名前でよんでるからね。」
「じゃあ、僕もアルゴ山って呼ぶ。
ヒューさんと一緒。」
さて、どうしたものかな
俗に言う誘拐だろうか? 自虐的に考えて半分置物の様な姿のヒューの場合は、盗難とも言えなくもない。
他人からバカと呼ばれるこの珍しい虹の妖精にヒューは誘拐されたのだ。
「え~と、虹の妖精君?
今日は、帰れるかな?」
「ごめん、道覚えてない。」
想定内の答えである。
恐らく、本気で幽街画廊の帰路は覚えていないのだろうがヒュー自身は、この辺り一帯の地図は頭の中にある、きつく言えば、この妖精はヒューの言うことを聞き幽街画廊に帰ることは出来るだろう。
だが、それはしたくなかった。
ヒューは、怒る事、キツく叱る事ができない性分なのだ。 傍目には、穏やかで良い奴に映るが、実際には、どんなに酷い事をされても腹が立たないと言うのは褒められた事では無い。
優しいと言うよりは、他人に興味が無いに近い。
ヒューの場合は、他人には興味深々だが、何をされても、それは想定内の事で腹が立たない。
優しいと言うより、何処か冷たいのだ。
「ヒューさん、僕のこと、バカで良いよ。」
「それは、言わない。
君は、バカかも知らんが、僕から見たら大体の奴がバカなんだ。
君だけを特別扱いしないさ。
それに、君は、バカを自覚しているから賢いほうさ。」
「ぼ、ぼくは賢いの?」
「賢いは、他人が決めることだからね。
だから僕の中では、君は賢い。
賢くてバカだ。」
「やっぱりバカなの?」
「バカと言うのは、範囲が広くてね。
妖精誰もが、何らかのバカなんだ。
逆にバカじゃなければ面白く無いのさ。」
「ヒューさんの言ってることは、難しくて僕には分からないや。」
「分からないことが多ければ多いほど人生はスリリングで楽しいよ。」
「僕の人生は楽しいのかな?」
「今はどうだい?」
「ヒューさんと居ると楽しい。
僕をバカにしない。 優しい。 面白い。 僕を好きと言ってくれて嬉しい。」
「最近は、褒められる事が無いからね、正直嬉しいよ。」
「ぼ、僕なんかに褒められて嬉しいの?」
「君は、嘘を吐かないから嬉しいのさ。」
「わわわ ヒューさん天才、ヒューさん可愛い、ヒューさん王様、ヒューさんぶらい!」
「ははは、ブライってなんだよ。」
ヒューは、今の状況を楽しんでいた。
幽街画廊にこの虹の妖精が来たのは今日の朝のことであった。
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説
家庭菜園物語
コンビニ
ファンタジー
お人好しで動物好きな最上 悠(さいじょう ゆう)は肉親であった祖父が亡くなり、最後の家族であり姉のような存在でもある黒猫の杏(あんず)も静かに息を引き取ろうとする中で、助けたいなら異世界に来てくれないかと、少し残念な神様に提案される。
その転移先で秋田犬の大福を助けたことで、能力を失いそのままスローライフをおくることとなってしまう。
異世界で新しい家族や友人を作り、本人としてはほのぼのと家庭菜園を営んでいるが、小さな畑が世界には大きな影響を与えることになっていく。
チート幼女とSSSランク冒険者
紅 蓮也
ファンタジー
【更新休止中】
三十歳の誕生日に通り魔に刺され人生を終えた小鳥遊葵が
過去にも失敗しまくりの神様から異世界転生を頼まれる。
神様は自分が長々と語っていたからなのに、ある程度は魔法が使える体にしとく、無限収納もあげるといい、時間があまり無いからさっさと転生しちゃおっかと言いだし、転生のため光に包まれ意識が無くなる直前、神様から不安を感じさせる言葉が聞こえたが、どうする事もできない私はそのまま転生された。
目を開けると日本人の男女の顔があった。
転生から四年がたったある日、神様が現れ、異世界じゃなくて地球に転生させちゃったと・・・
他の人を新たに異世界に転生させるのは無理だからと本来行くはずだった異世界に転移することに・・・
転移するとそこは森の中でした。見たこともない魔獣に襲われているところを冒険者に助けられる。
そして転移により家族がいない葵は、冒険者になり助けてくれた冒険者たちと冒険したり、しなかったりする物語
※この作品は小説家になろう様、カクヨム様、ノベルバ様、エブリスタ様でも掲載しています。
【取り下げ予定】愛されない妃ですので。
ごろごろみかん。
恋愛
王妃になんて、望んでなったわけではない。
国王夫妻のリュシアンとミレーゼの関係は冷えきっていた。
「僕はきみを愛していない」
はっきりそう告げた彼は、ミレーゼ以外の女性を抱き、愛を囁いた。
『お飾り王妃』の名を戴くミレーゼだが、ある日彼女は側妃たちの諍いに巻き込まれ、命を落としてしまう。
(ああ、私の人生ってなんだったんだろう──?)
そう思って人生に終止符を打ったミレーゼだったが、気がつくと結婚前に戻っていた。
しかも、別の人間になっている?
なぜか見知らぬ伯爵令嬢になってしまったミレーゼだが、彼女は決意する。新たな人生、今度はリュシアンに関わることなく、平凡で優しい幸せを掴もう、と。
*年齢制限を18→15に変更しました。
異世界着ぐるみ転生
こまちゃも
ファンタジー
旧題:着ぐるみ転生
どこにでもいる、普通のOLだった。
会社と部屋を往復する毎日。趣味と言えば、十年以上続けているRPGオンラインゲーム。
ある日気が付くと、森の中だった。
誘拐?ちょっと待て、何この全身モフモフ!
自分の姿が、ゲームで使っていたアバター・・・二足歩行の巨大猫になっていた。
幸い、ゲームで培ったスキルや能力はそのまま。使っていたアイテムバッグも中身入り!
冒険者?そんな怖い事はしません!
目指せ、自給自足!
*小説家になろう様でも掲載中です
幼妻は、白い結婚を解消して国王陛下に溺愛される。
秋月乃衣
恋愛
旧題:幼妻の白い結婚
13歳のエリーゼは、侯爵家嫡男のアランの元へ嫁ぐが、幼いエリーゼに夫は見向きもせずに初夜すら愛人と過ごす。
歩み寄りは一切なく月日が流れ、夫婦仲は冷え切ったまま、相変わらず夫は愛人に夢中だった。
そしてエリーゼは大人へと成長していく。
※近いうちに婚約期間の様子や、結婚後の事も書く予定です。
小説家になろう様にも掲載しています。
神に同情された転生者物語
チャチャ
ファンタジー
ブラック企業に勤めていた安田悠翔(やすだ はると)は、電車を待っていると後から背中を押されて電車に轢かれて死んでしまう。
すると、神様と名乗った青年にこれまでの人生を同情された異世界に転生してのんびりと過ごしてと言われる。
悠翔は、チート能力をもらって異世界を旅する。
すこやか食堂のゆかいな人々
山いい奈
ライト文芸
貧血体質で悩まされている、常盤みのり。
母親が栄養学の本を読みながらごはんを作ってくれているのを見て、みのりも興味を持った。
心を癒し、食べるもので健康になれる様な食堂を開きたい。それがみのりの目標になっていた。
短大で栄養学を学び、専門学校でお料理を学び、体調を見ながら日本料理店でのアルバイトに励み、お料理教室で技を鍛えて来た。
そしてみのりは、両親や幼なじみ、お料理教室の先生、テナントビルのオーナーの力を借りて、すこやか食堂をオープンする。
一癖も二癖もある周りの人々やお客さまに囲まれて、みのりは奮闘する。
やがて、それはみのりの家族の問題に繋がっていく。
じんわりと、だがほっこりと心暖まる物語。
料理スキルで完璧な料理が作れるようになったから、異世界を満喫します
黒木 楓
恋愛
隣の部屋の住人というだけで、女子高生2人が行った異世界転移の儀式に私、アカネは巻き込まれてしまう。
どうやら儀式は成功したみたいで、女子高生2人は聖女や賢者といったスキルを手に入れたらしい。
巻き込まれた私のスキルは「料理」スキルだけど、それは手順を省略して完璧な料理が作れる凄いスキルだった。
転生者で1人だけ立場が悪かった私は、こき使われることを恐れてスキルの力を隠しながら過ごしていた。
そうしていたら「お前は不要だ」と言われて城から追い出されたけど――こうなったらもう、異世界を満喫するしかないでしょう。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる