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旅人3箇条

プロローグ

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 こっちの世界には、旅人3箇条と言う言葉がある。
 一つ、一人で旅をしろ
 一つ、長居は、するなかれ
 一つ、痕跡残さずに
 以上が、旅人3箇条だ。

 旅人3箇条とか言っているが、妖精の8割が旅人説を採用すれば、これすなわち妖精3箇条と言っても過言は無い。
 簡単に解説すると、一つ目は、友達を作るな。
 二つ目は、深く関わるな。
 三つ目は、印象を残すな。
と言う事だ。
 
 これは、妖精にとって悪い感情は、病気に等い故の教訓と言える。
 悪いの感情を蓄積すると、妖石あやかいし(エネルギーの結晶で様々な使用法があるが、主に通貨や食料として使う。)が出せなくなるほか、酷い時には、消滅さえしてしまう。
 
 逆に良いの感情が高まればより妖石を作れるし、何より楽しい。
 したがって、後先考えず行く先々で、その日限りの仲間たちと遊び尽くすのが健全な妖精の在り方と言えよう。
 
 人間から見れば、楽しく見えるかも知れんが、それほどでも無い。
 何故なら、妖精個々に独自の周波があり、周波が合う妖精しか感知出来ないのだが、その周波ってのが厄介な代物で、精神状態や環境の変化で周波が乱れる事があり、今まで感知出来た妖精が急に出来なくなる事もある。
 感知出来ないと言うのは、その妖精の世界から居なくなると言う事で、見ることも触れることも出来なくなるのだ。
 
まぁ、一度チャンネルの繋がった妖精なら、そう直ぐには感知出来なくなる事はないが、仲の良い妖精が急に見えなくなるのは、流石にキツイ。
 
 理不尽な別れを強いられるのを恐れ、殆どの妖精たちは、次第に友人を作ることをやめたのだ。
 
 お互いの為にね

 だけども、たとえ短かくとも他者と共に過ごす生活を送る連中もいる。
 私ことエイジヒルもその一人だ。

 そして、あの時の旅の妖精も
 
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