隠れんぼは終わりにしよう

ぐるもり

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初めての感情に戸惑う

ゆうしくんのさいなん

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「あ、れ。寝ちまった……」

 大切なことを伝えようもしていたのに、どうしてこうも決まらないんだと俺は頭を抱えた。
 研修医を押し付けられたのは、真島の問題行動ゆえ。どうやら、担当した医師に粉をかける常習犯らしい。どの医師もお手上げで、彼女大好き(唯子とは知られていない)と名高い俺に貧乏くじが回ってきた。まさか唯子を大切にしてこんなことが起きるなど想像をしていなかった。

 それが無ければ唯子に「俺の実家に行こう」と誘うつもりだった。はあ、と大きな溜息がでる。研修医が着くと、実地経験を積ませるためか当直や輪番呼び出しが多くなる。そういった理由から、唯子とじっくり話をする時間が取れなくなったのも事実。

「……つうか、やきもちとか可愛すぎだろ」

 眠る唯子の瞼に触れる。んん、と小さな呻きとともに、俺の方に寝返りを打った。柔らかい頬をつつくと、嬉しそうに口元を緩めた。

 看護師として優秀すぎる唯子。けれども、その仮面を脱いだ唯子は、色恋沙汰の経験が少ない少女のようだ。そのギャップがたまらなく可愛い。

「……そのまんまでいてくれよ」

 変に大人の女にならなくていい。俺に甘えて、寄りかかって、俺無しで生きられなくなればいいんだ。
 オッサンが気持ち悪いなとも思う。それでも、もう手放せない。

「指導が終わったら、俺んち行こうな……きっとみんな、お前のことが好きになる」

 やることをやりながらも、保留になっていたプロポーズもきちんとしよう。明日……いや、今日か。いい所に飯でも食いに行って。
っとその前に。

「指輪のサイズ合うかな……?」

 隠していた婚約指輪を寝室のクローゼットから取り出す。那須原主任に確認したから間違いないはずと思っていたが、いざとなると不安で仕方ない。箱から取り出してそっと唯子の左手薬指にはめる。

「おお。ぴったり。よし、じゃあ明日……」

 確認は済んだと指輪を外そうとした。しかし、思いの外ぴったりなのか、外れない。

「ちょ、おい。まじかよ」

 その晩、俺がどんだけ頑張っても指輪が外れることはなかった。






「ええええええ!!!!ゆゆ、ゆゆ、ゆび、ゆゆゆ、ゆゆゆう、えーーー!!?」

 朝、洗面所から嬉しい悲鳴が聞こえてきた。
まあ、それも俺ららしくていいのかもな。
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