隠れんぼは終わりにしよう

ぐるもり

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もういいかい?もう、いいよ。

ぬるい体温をわけあう

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「涙で唯子の目が溶けそうだ」
「……だって。私、こんな幸せでいいのかなって」

 唯子を抱き上げて、寝室に向かう。何か話していないと、間が持たなかった。その位、俺は緊張していた。
 すっかり冷たくなった床を踏みしめると、相変わらずの軋む音が聞こえた。ぎし、みし、と時折不吉な音が聞こえる。

「なあ」
「はい?」
「ここが唯子にとってどれだけ大切な家かは重々承知している。その上で、言いたいことがある」
「……はい」

 ぎしぎし、とこれから俺が言うことに反発するように、床がいっそう音を立てて軋む。
でも、俺の考えは変わらなかった。

「……この家をどうにかするべきだと思う」
「……」
「これからの未来を見据えていく上で、この家は不備だらけだ。床もいつ壊れるかわからない、風呂も寒い、古い台所に、剥がれ落ちてくる壁……。俺はこの家が好きだ。けれどもそれだけでは生きていけない」

 区切りの悪いところで、寝室にたどり着いてしまった。電気スイッチを入れるが、接続が悪いのか中々電気が着かない。物にぶつからないように、ゆっくりと歩みを進める。目的地である、ベッドに向かう。
 ちか、ちか、と蛍光灯がゆっくりと反応して来たところで、唯子の声が聞こえてきた。

「……こどもが、ほしいです」

 ぴしりと俺は、固まった。こども。俺も欲しい。けれども、子供が出来るには。そこまで考えていたら、ぼすん、と音が聞こえた。

「あ! 悪い!」
「い、いえ、だ、だだいじょうぶ、です」

 あまりの衝撃のせいか、唯子を横抱きしていた手を離してしまった。ベッドの上だったため、大事に至らずに済んだ。

「わたし、一人っ子でずっと一人だったので……こどもがたくさんほしいです」
「どういうことか、分かってるのか?」
「はい。こどものことを考えたら、この家を何とかしないと行けませんよね」

 そういうことか。と俺は納得する。唯子なりに考えた、俺への返答ということだ。しかし、唯子は時々考えられないくらい大胆なことをする。よこしまな妄想をしたなんてとてもとても言えない。

「だから……ゆうし……」

 俺の首に唯子の細腕が絡みつく。俺の耳元に、唯子の唇が寄せられた。そして、そっと囁かれた。

 こどもが、ほしい。

「おまえ、なぁ」

 そうだ、唯子はこういう奴だった。
 俺を煽る、天才。

「だめですか?」
「ダメじゃない。……当直明けの俺に無茶させるよなぁ」
「タバコをやめれば、もう少しいいんじゃないですか?」
「……やめるさ」

 寄せられている唯子の頬に唇を落とす。ぺろりとひと舐めし、息を吹きかける。冷たい、と抗議の声が聞こえた。絡められた腕を解き、その勢いのまま唯子をベッドに押し倒した。

「年寄り煽りよって」

 唯子の真っ赤な瞼が閉じられる。悔しいが、魅力的な誘惑に抗う俺はいない。濡れたまつ毛に唇を落とす。目尻に、美味しそうな頬に、そして唇に。順番に口付ける。くすぐったそうに唯子が身体を捩る。それを煽るように、俺は首筋に触れる。一本線を描くように、指を動かす。鎖骨の窪みを、くっと押すと笑い声が聞こえた。

「あははっ」
「あれ? おかしいな」
「んっふふふ、擽ったい」

 鎖骨の線に沿って、なぞる。そのまま下にゆっくりと動かし、柔らかい膨らみにたどり着く。服の上から胸の形を変えると、くぐもった声が聞こえた。

「ここは、どうかな?」
「あ、やん……いじわる」

 色を含んだ声をもう少し聞きたくなった俺は、ニットの裾に手を入れた。熱は熱い方に移動する。唯子の腹部はひんやりと冷たい。暖めてやるように、丁寧に撫でていく。

「ふぁ……」
「ユイ……」

 そのままゆっくりと服を脱がせる。邪魔なブラジャーも取り払った。もちろん、身体を暖めることも忘れない。お互いの熱が溶け合い、二人が同じ温度になる。その時を待って、俺は揺れる頂に吸い付いた。

「あ、あんっ」

 ピンクに色づく先端と同じような色づいた声が聞こえた。小さくも主張する頂に、俺は夢中になった。乳輪に沿って舌を這わす。舌で先端を転がし、時折思い切り吸う。唯子は、いつもより高い声で鳴いた。

「ゆいこ、ユイ……」

 俺の声も、色づいている。俺の声に反応した唯子がそっと唇を重ねてきた。たどたどしく舌が絡められる。口の中でも熱を分け合った。
 早く繋がりを持ちたくなった俺は、唯子の下着に手を入れる。身体の中心部は、他と違って、熱い。吸い込まれるように、指を秘裂に這わす。思った通り、そこはぬかるんでいた。

「腰上げて」
「……っ」

 くんくんと鳴いていた唯子は、俺の指示に素直に従った。力なくあげられた腰部から、下着とスカートを取り除く。白い肌がほんのりと色づいていて、唯子の興奮が伝わってきた。胸を虐めていた口をゆっくりと下へと下ろす。腹、臍、腰、太腿と、順繰りに唇をおとす。唯子は、足が弱い。内ももに舌を這わすと、とろりと密が溢れるのが見えた。
胸の先端と同じように主張する、陰核小さな蕾。ひくひくと震え、蜜を纏い、とても美味しそうに見えた。人差し指の腹で、軽く擦る。可愛い声が聞こえた。根元を立ち上がらせるように人差し指と親指で蕾を扱く。同時に溢れる蜜の香りに誘われるように、蜜壷に口をつけた。

「あ、ぁあぁああっ!」

 唯子の腰が浮く。その際、自然と俺に秘部が押し付けられた。ちゅるちゅると、溢れ出る蜜を口に含む。乱れた唯子をもっと見たい。そんな思いからか、容赦なく責め立てた。

「んん、んぁあぁっ」

 緩めることなく責めたせいか、唯子は早々に絶頂を迎えたようだ。身体を震わせ、一番の高い声をあげた。

「……ユイ?」

 はふ、はふと息を吐く唯子に俺は、声をかける。回復を待ちつつ、俺は美味しそうな蜜壷に中指を一本差し込む。正気に戻らないようにと、ゆるい責めを続ける。

「ゆう、し」

 切れ切れな呼吸の合間に名前を呼ばれる。手を休めることなく、俺は返事をした。

「なんだ?」
「私も、気持ちよくさせたい」

 どういうことか?と考える間もなく、横たわった唯子が手を伸ばしてきた。そして、しっかりと主張した俺の陰茎に、唯子がズボン越しに触れる。

「……舐めたい」

 一瞬気を失うかと思うほどの衝撃だった。唯子の気が変わらないうちに、すぐさまズボンと下着を取り除く。すると、セックスを覚えたてかと疑いたくなるほど、高くそそり立った陰茎が現れた。

「……まって」

 唯子はノロノロと身体を起こし、足を広げて座った俺の間に入り込んできた。
 唯子の真っ白な背中を撫でる。すると、小さな口が俺の陰茎を含んだ。

「ああ……」

 今度は俺が喘ぐ番だった。唾液を絡めた口淫は、とてもよかった。じゅる、じゅる、と唾液が潤滑剤になり、暖かくて、気持ちがいい。自然と腰がゆるゆると動き出した。

「ユイ……すげえ、いい」

 背中を撫でていた手を、唯子の
頭におく。唯子の動きに合わせて、髪を乱す。陰茎に舌が絡まり、弱い亀頭を責められ、吸われる。
 数度それを繰り返され、出る!と感じた俺は、急いで唯子を引き離した。

「……あ、ん」

 心底名残惜しそうに、口を開いたままの唯子。昼は淑女で夜は……。そんな言葉が思い浮かんだ。本当によく言ったものだ。

「最初は唯子の中で」

 そういって、唯子を再度ベッドに押し戻す。

「いいんだな?」
「……はい」

 ベッドボードに置いてある、隔たりを今日は使わない。パンパンに腫れ上がった陰茎の先端を、唯子の蜜壷にあてがう。ゆっくりと腰を進める。するとすぐに、飲み込むように、ナカがうねる。

「……っ」
「……ああっ」

 唯子のナカは思った通り、熱い。しかし、俺が腰を進めて、出し入れをするようになると、お互いの熱が混ざり合う。ぬるい感触がとても、心地よかった。

「あっあ、あぁん……」
「ゆ、い!」

 きしきし、とベッドと唯子が絶え間なく悲鳴をあげる。お互い、これ以上ないくらい興奮していた。無我夢中だった。
 
「……今日は泣いたな」
「……十年分、泣きました」

 インターバルの間に、腫れた瞼に唇で触れる。まつげが口元に当たり、むず痒く感じた。

「これからは、一緒に十年分笑うか」
「……ゆうしといると、いつも笑ってる気がします」
「そうか」

 目尻に皺がよる年寄りになりたいもんだ。
 そんな気の早い未来を思い描く。

「ゆうし、だいすき」
「奇遇だな。俺もだ」

 愛を確かめあった所で、俺はまた、ぬるい優しさを味わうことにした。
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