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恋人は難しい
第2話
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優しそうな笑みを浮かべた涼真に、ホッとして涙がでそうになる。
というか、ポタリと涙が落ちた。
そんな私の事など分かっていると言った様子で、涼真は私のコーヒーカップを持つと、空いた手で私の手を取った。
「行こう」
「え?でも涼真は飲まないの?」
「頼んでないよ」
初めから飲むつもりはなかったようで、ただ私の手を取ると涼真は店の外に出た。
すっかり暗くなってピンと張りつめた冷たい空気が私を包む。
そんな私の手をすっぽりと涼真は自分のコートのポケットに入れると、迷うことなく歩き出した。
「涼真……」
呟いた私に、涼真は私の瞳を伺うように見た。
「ちな、今日は俺のうち来れる?」
「え……?」
抱いてくれないと思っていたのに、いざストレートに誘われると言葉がうまく出ず、また私は自分で自己嫌悪になる。
「そっか。じゃあ送ってく」
涼真は表情を崩すことなく、そう言うと歩き出した。
「ちがう……!違うの……」
もうすぐバレンタインを迎えるハートが溢れた町のど真ん中で、大きな声をだして泣きそうな私はまわりの注目の的だ。
クリスマスの時といい、ただでさえ目立つ涼真をさらに目立たせてしまっているのは自分だとわかってはいるが、そんなことは気にしてなんていられない。
「行く……」
顔はきっと真っ赤になっているだろう、つながれた手に私はギュッと力を込めた。
そんな私の頭を涼真はポンと触れると、「うん」とだけ言って私の手を握りしめた。
訳の分からない緊張が襲い、私は自分の下着を思い出したりグルグルといろいろ頭を駆け巡る。
そんな私を見て、涼真はクスリと笑い声を上げた。
「ちな。何を考えてる?」
「え??」
やたら大きな声で返事をしてしまい、恥ずかしくなる。
「だって……」
テイクアウトのイタリアンを買って、歩いていた私達だったが、すぐに無言になってしまう。
何かを話さないとと思うのに、何も話をできずに私は小さくため息をついた。
「ちな。ごめんな」
マンションの鍵を開けながら、また謝った涼真に驚いた。
「なんで謝るの?」
何度も来るようになった涼真の部屋に入ると、すぐに暖房を入れてまだ寒い部屋でとりあえずソファに小さくなって座る。
「寒っ……」
つい言葉が漏れて、手をこすり合わせた私は、涼真がスーツから部屋着に着替えて戻ってきたことに気づき、手を膝に置いた。
全く落ち着かなくて、私はとりあえず言葉を発した。
「ねえ、料理こっちに出せば……」
料理の袋に手を伸ばしながら、中身を確認していた私は、力強く腕をひかれ、ポスっと涼真の胸の中に納まった。
「ちな、俺……」
そう言った涼真は私をジッと私の瞳を見つめた。
今まで見たことのない、色気と欲を孕んだ瞳にドキッとする。
生まれて初めてと言っていいぐらい、心臓の音が煩い。
もう昔過ぎてどうしていいかわからない私は、ギュッと手を握りしめた。
「もう、ちなが欲しい」
ストレートな言葉に、私は目を見開いた。
寒かった体が一気に熱くなるような気がした。
「俺、ちなの事不安にさせてばかりだし、怒らせてばかりだけど、もうちゃんとちなは俺のものだって思わせて?」
真剣な瞳に、私は視線を外せなかった。
「今まで手を出さなかったのは、私に魅力がないからじゃないの?」
不安で不安で仕方なかった思いが、涼真がきちんと言葉を形にしてくれたことで、素直に言えた。
「はあ?何それ?」
心底呆れた様子の涼真は、少し怒ったような表情を見せた涼真に慌てて言葉を続けた。
「だって……。涼真は女慣れしてるだろうけど、私はずっと素直になれないし、可愛くないし……付き合いだしたら幻滅されたのかなって……」
言葉にして、私はまた泣きたくなる。
「ちな、それは俺の方だよ。ずっとちなの事好きなのに、告白もできないヘタレな俺だよ?今も心臓爆発しそう。本気で好きな女にはこんなにも臆病になるんだって初めて知った」
そっと私に触れる手が冷たくて、寒さからか緊張からかわからず私はビクっと体を揺らした。
「悪い、俺の手冷たいよな。緊張するとさ……」
慌てて私の頬に触れていた手を離すと、涼真は自分の手をこすり合わせた。
「本当に?涼真も緊張してるの?」
あの涼真が私に触れるのをためらってくれているなんて思ってもいなくて、私は泣き笑いを浮かべた。
「してるよ。ちなに触れたいのに、触れるのが怖い。でもちなをきちんと俺の物にして安心したい」
不安そうな瞳に、涼真に気持ちが解り嬉しくなる。その言葉に私もそっと涼真の頬に触れた。
「私の手も冷たいでしょ?」
ふふっと笑った私に、涼真は私の手に自分の手を重ねた。
「一緒に温まろう?」
その言葉に私は小さく頷いた。
涼真は私の返事を聞くと、ソファに座っていた私を抱き上げた。
「ちょっと!涼真重いって……」
慌てふためく私に、涼真はクスリと笑うと「軽いよ。ちなは」そう言うとそのまま寝室へと入った。
まだ少ししか暖房が効いていない部屋は、ひんやりとしていたが、私は緊張からか余計に手足が冷たく感じた。
涼真はそんな私をベッドにそっと下ろすと、自分もベッドに上がると、おもむろに部屋着を一気に脱いだ。
私は初めてみる涼真から視線を逸らせなかった。細くみえるのに、きちんと筋肉がついていて、つい言葉が漏れる。
「きれい……」
ベッドの上にちょこんと座っていた私は、呟くように言っていた。
「なんだよそれ……」
涼真は苦笑するように言うと、私に笑顔を向けた。
「はい、ちな。ちなもばんざいして?」
「え?え?」
いきなり腕を取られ、一気にタートルネックのセーターとキャミを脱がされる。
下着だけになり、寒さと、恥ずかしさから慌てて手で隠そうとするも、涼真にそのまま手を拘束される。
「ちなの方がきれい」
そう言うと、涼真はギュッと私を抱きしめて、ベッドにもぐりこんだ。
というか、ポタリと涙が落ちた。
そんな私の事など分かっていると言った様子で、涼真は私のコーヒーカップを持つと、空いた手で私の手を取った。
「行こう」
「え?でも涼真は飲まないの?」
「頼んでないよ」
初めから飲むつもりはなかったようで、ただ私の手を取ると涼真は店の外に出た。
すっかり暗くなってピンと張りつめた冷たい空気が私を包む。
そんな私の手をすっぽりと涼真は自分のコートのポケットに入れると、迷うことなく歩き出した。
「涼真……」
呟いた私に、涼真は私の瞳を伺うように見た。
「ちな、今日は俺のうち来れる?」
「え……?」
抱いてくれないと思っていたのに、いざストレートに誘われると言葉がうまく出ず、また私は自分で自己嫌悪になる。
「そっか。じゃあ送ってく」
涼真は表情を崩すことなく、そう言うと歩き出した。
「ちがう……!違うの……」
もうすぐバレンタインを迎えるハートが溢れた町のど真ん中で、大きな声をだして泣きそうな私はまわりの注目の的だ。
クリスマスの時といい、ただでさえ目立つ涼真をさらに目立たせてしまっているのは自分だとわかってはいるが、そんなことは気にしてなんていられない。
「行く……」
顔はきっと真っ赤になっているだろう、つながれた手に私はギュッと力を込めた。
そんな私の頭を涼真はポンと触れると、「うん」とだけ言って私の手を握りしめた。
訳の分からない緊張が襲い、私は自分の下着を思い出したりグルグルといろいろ頭を駆け巡る。
そんな私を見て、涼真はクスリと笑い声を上げた。
「ちな。何を考えてる?」
「え??」
やたら大きな声で返事をしてしまい、恥ずかしくなる。
「だって……」
テイクアウトのイタリアンを買って、歩いていた私達だったが、すぐに無言になってしまう。
何かを話さないとと思うのに、何も話をできずに私は小さくため息をついた。
「ちな。ごめんな」
マンションの鍵を開けながら、また謝った涼真に驚いた。
「なんで謝るの?」
何度も来るようになった涼真の部屋に入ると、すぐに暖房を入れてまだ寒い部屋でとりあえずソファに小さくなって座る。
「寒っ……」
つい言葉が漏れて、手をこすり合わせた私は、涼真がスーツから部屋着に着替えて戻ってきたことに気づき、手を膝に置いた。
全く落ち着かなくて、私はとりあえず言葉を発した。
「ねえ、料理こっちに出せば……」
料理の袋に手を伸ばしながら、中身を確認していた私は、力強く腕をひかれ、ポスっと涼真の胸の中に納まった。
「ちな、俺……」
そう言った涼真は私をジッと私の瞳を見つめた。
今まで見たことのない、色気と欲を孕んだ瞳にドキッとする。
生まれて初めてと言っていいぐらい、心臓の音が煩い。
もう昔過ぎてどうしていいかわからない私は、ギュッと手を握りしめた。
「もう、ちなが欲しい」
ストレートな言葉に、私は目を見開いた。
寒かった体が一気に熱くなるような気がした。
「俺、ちなの事不安にさせてばかりだし、怒らせてばかりだけど、もうちゃんとちなは俺のものだって思わせて?」
真剣な瞳に、私は視線を外せなかった。
「今まで手を出さなかったのは、私に魅力がないからじゃないの?」
不安で不安で仕方なかった思いが、涼真がきちんと言葉を形にしてくれたことで、素直に言えた。
「はあ?何それ?」
心底呆れた様子の涼真は、少し怒ったような表情を見せた涼真に慌てて言葉を続けた。
「だって……。涼真は女慣れしてるだろうけど、私はずっと素直になれないし、可愛くないし……付き合いだしたら幻滅されたのかなって……」
言葉にして、私はまた泣きたくなる。
「ちな、それは俺の方だよ。ずっとちなの事好きなのに、告白もできないヘタレな俺だよ?今も心臓爆発しそう。本気で好きな女にはこんなにも臆病になるんだって初めて知った」
そっと私に触れる手が冷たくて、寒さからか緊張からかわからず私はビクっと体を揺らした。
「悪い、俺の手冷たいよな。緊張するとさ……」
慌てて私の頬に触れていた手を離すと、涼真は自分の手をこすり合わせた。
「本当に?涼真も緊張してるの?」
あの涼真が私に触れるのをためらってくれているなんて思ってもいなくて、私は泣き笑いを浮かべた。
「してるよ。ちなに触れたいのに、触れるのが怖い。でもちなをきちんと俺の物にして安心したい」
不安そうな瞳に、涼真に気持ちが解り嬉しくなる。その言葉に私もそっと涼真の頬に触れた。
「私の手も冷たいでしょ?」
ふふっと笑った私に、涼真は私の手に自分の手を重ねた。
「一緒に温まろう?」
その言葉に私は小さく頷いた。
涼真は私の返事を聞くと、ソファに座っていた私を抱き上げた。
「ちょっと!涼真重いって……」
慌てふためく私に、涼真はクスリと笑うと「軽いよ。ちなは」そう言うとそのまま寝室へと入った。
まだ少ししか暖房が効いていない部屋は、ひんやりとしていたが、私は緊張からか余計に手足が冷たく感じた。
涼真はそんな私をベッドにそっと下ろすと、自分もベッドに上がると、おもむろに部屋着を一気に脱いだ。
私は初めてみる涼真から視線を逸らせなかった。細くみえるのに、きちんと筋肉がついていて、つい言葉が漏れる。
「きれい……」
ベッドの上にちょこんと座っていた私は、呟くように言っていた。
「なんだよそれ……」
涼真は苦笑するように言うと、私に笑顔を向けた。
「はい、ちな。ちなもばんざいして?」
「え?え?」
いきなり腕を取られ、一気にタートルネックのセーターとキャミを脱がされる。
下着だけになり、寒さと、恥ずかしさから慌てて手で隠そうとするも、涼真にそのまま手を拘束される。
「ちなの方がきれい」
そう言うと、涼真はギュッと私を抱きしめて、ベッドにもぐりこんだ。
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