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新たな展開 3
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「いい出来だな」
首を回しながら、立ち上がった始に、友梨佳も頷くと二人はドレスを見据えた。
「できた……」
時間は深夜の0時を回っていた。
「すみませんでした。本当にありがとうございます。徹夜を覚悟してたので」
ペコリと頭を下げた友梨佳に、「当然だろ」それだけ言うと始はカバンを持った。
「お疲れさまでした」
声を掛けた友梨佳に、始は怪訝そうな表情を見せ、
「何してるんだ?早く用意しろ。送ってく」
ぶっきら棒な口調にも友梨佳は頬が緩むのを抑えられなかった。
(なんだかんだ優しいんだからな……)
友梨佳は荷物をまとめるといそいで駐車場へと向かった。
駐車場には国内最高メーカーフェルチェンヌの黒のSUVが止まっていた。
始は相変わらず表情の無い瞳で友梨佳を見つめると、助手席のドアを開けて友梨佳を促した。
少し会釈をして友梨佳は助手席に乗り込むと、高級そうな革の匂いと重厚感のある車内が広がっていた。
始も運転席に乗り込むと、友梨佳にシートベルトを締めるように言うと、自分もシートベルトを締めた。
「あれ?」
なかなかシートベルトを締めれない友梨佳に、始は身を乗り出すと、友梨佳の上に乗りかかるようにシートベルトを取ると、そのまま友梨佳の瞳をジッと見つめた。
「か……ん……ちょう?」
その瞳に映った自分の瞳が、揺らいでいるのがわかったが、始の瞳は相変わらず真っすぐとしていて、何を考えているのか分からなかった。
不意に瞳が見えなくなったと思った時には、唇が激しく塞がれていた。
何度も角度を変え繰り返され、下唇を食まれ口をこじ開けられるように舌が差し込まれた。
「……んっ……」
久しぶりの激しいキスに、友梨佳は訳が分からず目を見開いた。すぐに触れるかわからない距離で、
「キス嫌?」
「な……何を言って……」
その言葉を塞ぐように何度も落とされるキスに、友梨佳は拒否するこもできずただ呆然と始のキスを感じていた。
(なんで?どうしてキス?)
触れる唇が熱い。自分が熱いのか、始の唇が熱いのかそれもわからなかった。
「俺とのキス……嫌?」
(嫌じゃ……ない。時折みせる本当のこの人を……もっと……)
「嫌……じゃないです」
その友梨佳の返事に、始はゆっくりとまた顔を近づくけると、友梨佳の耳元に唇を寄せた。
「なあ、キスの相性も良さそうだし、お互い結婚願望もない。俺と契約しない?お互いの都合のいい時の大人の関係」
怪しさと色気さえも含む、その低い声に、友梨佳はピクっと身体が跳ねた。
「そんなこと……私……」
「一生恋愛も結婚もしないんだろ?でも寂しい時もあるだろ?」
そう言った始の瞳は、なぜか真剣な表情に見えて友梨佳は自分の最近の気持ちがわからず戸惑った。
そんな友梨佳の気持ちに追い打ちを立てるように、始はチュと音を立てて友梨佳の首筋にキスを落とすと、もう一度真っすぐに友梨佳を見つめた。
「……します」
「契約成立な友梨佳。俺の事は始でいい」
その言葉に、友梨佳はドクンと大きく自分の心臓が鳴った気がした。
遥か昔に置いてきたこの感情は、ただの欲求だと友梨佳は自分に言い聞かせた。
(私は人を愛せないし、愛すことはない。ならば契約のこの関係は都合がいいよね……)
「とりあえず今日は帰ります。遅いし疲れました」
「そうだな。また連絡する。お前もしたくなったら連絡して。いつでもどんな用事でもいいから」
少し優しい微笑みを見せた始に驚いて友梨佳は「え?」と声を上げた。
「契約はお互いが必要とした時に呼ぶ事」
(必要な時って……?)
首を回しながら、立ち上がった始に、友梨佳も頷くと二人はドレスを見据えた。
「できた……」
時間は深夜の0時を回っていた。
「すみませんでした。本当にありがとうございます。徹夜を覚悟してたので」
ペコリと頭を下げた友梨佳に、「当然だろ」それだけ言うと始はカバンを持った。
「お疲れさまでした」
声を掛けた友梨佳に、始は怪訝そうな表情を見せ、
「何してるんだ?早く用意しろ。送ってく」
ぶっきら棒な口調にも友梨佳は頬が緩むのを抑えられなかった。
(なんだかんだ優しいんだからな……)
友梨佳は荷物をまとめるといそいで駐車場へと向かった。
駐車場には国内最高メーカーフェルチェンヌの黒のSUVが止まっていた。
始は相変わらず表情の無い瞳で友梨佳を見つめると、助手席のドアを開けて友梨佳を促した。
少し会釈をして友梨佳は助手席に乗り込むと、高級そうな革の匂いと重厚感のある車内が広がっていた。
始も運転席に乗り込むと、友梨佳にシートベルトを締めるように言うと、自分もシートベルトを締めた。
「あれ?」
なかなかシートベルトを締めれない友梨佳に、始は身を乗り出すと、友梨佳の上に乗りかかるようにシートベルトを取ると、そのまま友梨佳の瞳をジッと見つめた。
「か……ん……ちょう?」
その瞳に映った自分の瞳が、揺らいでいるのがわかったが、始の瞳は相変わらず真っすぐとしていて、何を考えているのか分からなかった。
不意に瞳が見えなくなったと思った時には、唇が激しく塞がれていた。
何度も角度を変え繰り返され、下唇を食まれ口をこじ開けられるように舌が差し込まれた。
「……んっ……」
久しぶりの激しいキスに、友梨佳は訳が分からず目を見開いた。すぐに触れるかわからない距離で、
「キス嫌?」
「な……何を言って……」
その言葉を塞ぐように何度も落とされるキスに、友梨佳は拒否するこもできずただ呆然と始のキスを感じていた。
(なんで?どうしてキス?)
触れる唇が熱い。自分が熱いのか、始の唇が熱いのかそれもわからなかった。
「俺とのキス……嫌?」
(嫌じゃ……ない。時折みせる本当のこの人を……もっと……)
「嫌……じゃないです」
その友梨佳の返事に、始はゆっくりとまた顔を近づくけると、友梨佳の耳元に唇を寄せた。
「なあ、キスの相性も良さそうだし、お互い結婚願望もない。俺と契約しない?お互いの都合のいい時の大人の関係」
怪しさと色気さえも含む、その低い声に、友梨佳はピクっと身体が跳ねた。
「そんなこと……私……」
「一生恋愛も結婚もしないんだろ?でも寂しい時もあるだろ?」
そう言った始の瞳は、なぜか真剣な表情に見えて友梨佳は自分の最近の気持ちがわからず戸惑った。
そんな友梨佳の気持ちに追い打ちを立てるように、始はチュと音を立てて友梨佳の首筋にキスを落とすと、もう一度真っすぐに友梨佳を見つめた。
「……します」
「契約成立な友梨佳。俺の事は始でいい」
その言葉に、友梨佳はドクンと大きく自分の心臓が鳴った気がした。
遥か昔に置いてきたこの感情は、ただの欲求だと友梨佳は自分に言い聞かせた。
(私は人を愛せないし、愛すことはない。ならば契約のこの関係は都合がいいよね……)
「とりあえず今日は帰ります。遅いし疲れました」
「そうだな。また連絡する。お前もしたくなったら連絡して。いつでもどんな用事でもいいから」
少し優しい微笑みを見せた始に驚いて友梨佳は「え?」と声を上げた。
「契約はお互いが必要とした時に呼ぶ事」
(必要な時って……?)
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