バスは秘密の恋を乗せる

桐山なつめ

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 残る課題はあと一つ。

「この絵、どうしようかな」

 凛ちゃんが修復してくれたキャンバスを前にしながら、腕を組む。

「ごめんなさい。修復してたら、どんどん菜月さんの絵柄じゃなくなっちゃったみたい」
「ううん、十分だよ」

 凛ちゃんのおかげで、コンクールの締め切りまでには描き直せるかもしれない。
 だけど私が神山くんを好きになってしまった以上、きっとどんなに手直しをしても日向先生はOKをくれないような気がする。

「締め切りまで、だいたい十日かあ……」
「あたしに出来ることなら、なんでもするわ」

 うーん。でも、一人で描くには限界がある。
 また一から描き直したら、最低でも完成までに一ヶ月はかかる。
 だけど、亜衣に会うためにはどうしてもコンクールに出品しなくちゃいけない。
 なにか、いい案がないかな? 
 というか、題材から考えなおさなきゃ。
 テーマは『友だち』だから、それにぴったりの絵を描くにはどうしたら……。
 そのとき、ピン! とひらめいた。

「そうだ。合作しようよ、凛ちゃん」
「合作!?」
「友だち同士で絵を描くのも、テーマに合ってると思わない?」
「……たしかに! 二人で描けば、時間も短縮できるわね」
「やろうよ、凛ちゃん!」
「ええ! やりましょう!」

 私たちはうなずきあうと、同時にスケッチブックへ飛びついた。
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