バスは秘密の恋を乗せる

桐山なつめ

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 家に帰るなり、私は神山くんに買ってもらったスケッチブックを開いた。
 鉛筆をけずる時間さえ、もどかしい。
 思うがまま、夢中で手を動かしていく。
 真っ白なページに描き込んでいくのは、神山くんの姿。
 
『ヒカリ・スクール』のなかの神山くん。
 レッスンスタジオで、演技をする神山くん。
 私の話を真剣に聞いてくれる神山くん。
 そして、バスの一番うしろの席に座る神山くん……。

 時間を忘れて、紙の上に鉛筆をおどらせる。
 興奮で頭がぼうっとしてきても、私の手は止まらなかった。
 やっぱり、絵を描くのってすごく楽しい。
 私、やっぱり絵が大好きなんだ。
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