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「ふふふ…あはは!」

クリスはイブの演技になんだか可笑しくなって笑いだした。

「な、何…とうとうおかしくなったの」

リスリーが笑いだしたクリスを見つめると

「いやぁあまりの酷い演技になんだかおかしくなってしまって…そこまで来るとちょっと感心します」

「え、演技ってなんですか!?私は嘘は言ってません!誓って!」

「誰に誓うの?」

ロイが聞くと

「国王に誓って嘘ではありません!私はこの人に襲われました!店に行ってみてください!証拠に暴れたあとがありますから!」

「そうだ!それに俺達はそいつに金も奪われた!飲み食いの金を全部出せと脅されてな!」

もう言いたい放題の親子に町の人達も呆れて言葉も出ない。

この親子はまさかここにいるのがみんな顔見知りで、クリス様が領主の息子で隣のロイ様がこの国の王子だとは思いもしないのだろう。

「えっと…クリス様どうします?」

イブ達を捕まえた町民がクリスに話しかけると

「ちょっと…この人達と話させて貰える?」

クリスがニコッと笑いかけた。

「は、はい…」

町民達はそそくさと部屋から出ていくと、

「クリス様、大丈夫ですか?なんなら私が変わりましょうか?」

スチュアートさんが心配そうに話しかけてきた。

「いえ、大丈夫です」

クリスは問題ないと断る。

「まぁいいんじゃないか?ここまでクリスを貶めようとしたんだ。別に殺されても文句も言えんだろ?」

「そうですね、クリス好きなようにしていいよ。責任は俺が取ってもいいし」

カイルが頷くと

「責任なんてありませんよ、正当な罰になりますからね」

「だな、このまま断罪で首跳ねていいんだろ」

「クリス様よかったですね!王子の許可も出ました。何しても大丈夫ですよ」

スチュアートさんが微笑むとクリスが苦笑いする。

「はは、大丈夫です。そんなすぐに終わらせるなんて勿体ないことなんてしませんから」

クリスの爽やかな笑顔にロイ達は安心して部屋を出ていった。

クリス達の会話を聞いていたイブ達はガタガタと震える。

「ま、まさかお前たち町民とぐるなのか!?」

「最低!!騙したのね!」

「いえ、騙してなんていません。あなた達が勝手に勘違いしたのです」

「勘違い…だってお前あの方の従者だって言っただろ!」

ドリーがクリスを睨みつける。

「ええ、あの方に仕えてますからね。決して嘘では無いです。事実あの人の従者みたいなものですからね、まぁそれはこの国民みんなに言えるかな」

「国民?何を言ってる?」

「あの方がまだ誰かわからないのか?この国の第二王子のロイ様だぞ」

「は?……ああ、わかった」

ドリーは笑って頷いた。

「俺達を騙そうってのか?そんな馬鹿な嘘に騙されるやつなんているか?なんだって王子がこんなド田舎に来るんだよ!それも護衛も無しに!ありえない!絶対に嘘だね!」

「確かにそうね…それに王子になんて見えなかったわ!」

リスリーも頷く。

ロイ王子……

クリスは王子に心の中で少し同情した。


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