貧乏領主の娘は王都でみんなを幸せにします

三園 七詩

文字の大きさ
上 下
306 / 318
連載

367.

しおりを挟む
「まぁ仮に王子では無いとしてもお前達がした事は犯罪だ。それをこの町の領主として許す訳にはいかない」

「領主?お前みたいな若いやつがか?」

「まぁ次期領主なんだよ」

クリスが笑うと

「うそ…」

イブが驚く。

「本当、そしてお前が殺そうとしたあの子は僕の婚約者…この意味わかる?」

「し、知らない!私はなんにもしてないわ!あの子が嫉妬して私を殺そうとしたのよ!」

「へーここまできてまだシラをきるんだ、さっきは僕が襲ったって嘘ついてたのに…」

「あ、あれは…だってクリス様…私の事そういう目で見てましたよね?」

イブは少し開いた胸元を腕で挟んで寄せてみた。

「私…クリス様の為なら…なんだって御奉仕します。あんな胸の無い男か女か分からない人なんてやめて私にしませんか?私ならクリス様のご命令になんでも答えますよ…それこそなんでも…」

うるっと瞳を潤ませてクリスを上目遣いで見つめると…

「まじキモイ」

クリスの顔が歪んだ。

「うわぁ…まさか同じ女性でこうも違うとは…もうはっきり言ってすごく不愉快。その気持ち悪い笑顔もふしだらな体もさっきから向けてくるその気持ちも言葉もどれも萎えるんだけど」

「は、はぁ!?」

イブはクリスの言葉に言葉を失い口をパクパクとする。

「ハルジオンの爪の垢でも煎じて飲めば?少しはハルジオンの良さが…移るんじゃないか?ハルジオンの可憐さの千分の一でもあんたにあればねぇ…いや無理だな。あっても絶対にお前だけは選ばないね。それならカイル様やロイ様の方がマシだ」

イブを軽蔑の眼差しで見下ろす。

「それになぁ…本来ならちゃんと罪を認めて反省してれば大目に見てやろうと思ってたのに、まさかこんな行動に出るとはねぇ…本当に呆れるよ」

「う、嘘!?な、なら今から反省する!もうしません!」

リスリーが慌てて謝罪をする。

「ははは、もう遅い」

クリスは笑うと

「どうしようかな…このまま僻地で強制労働?それとも王都に送り届けて牢獄生活?はたまたさっぱりと死んでみる?」

クリスが笑いかけると

「そ、そんな事したら…王都のルコル伯爵が黙ってないぞ!イブはあの方の寵愛を受けてるんだ!」

ドリーが自信満々に言うと…

「ルコル伯爵?あの人もう伯爵じゃ無いよ」

「へ?」

どは間抜けな声を出した。

「あの人王都であくどい事やりすぎてましたからね、ここに来る前に地位の剥奪受けてましたよ」

「う、嘘だ!」

「いえ、確かです。だってその書類まとめたの僕ですから」

クリスが頷いた。

「書類?まとめた?」

「ええ、僕王都の文官なんですよ。ああちなみにレスター様の下で働いてます。知ってますか?レスター侯爵」

「こ、侯爵…そ、それも嘘だろ…」

ドリーは先程よりも力なく否定する。

「嘘だと思ってもいいですけど、僕が言ってること全部本当だったらどうするつもりですか?」

クリスの自信満々な態度にドリー達はサーっと血の気が引いていった。
しおりを挟む
感想 1,399

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

私が死んで満足ですか?

マチバリ
恋愛
王太子に婚約破棄を告げられた伯爵令嬢ロロナが死んだ。 ある者は面倒な婚約破棄の手続きをせずに済んだと安堵し、ある者はずっと欲しかった物が手に入ると喜んだ。 全てが上手くおさまると思っていた彼らだったが、ロロナの死が与えた影響はあまりに大きかった。 書籍化にともない本編を引き下げいたしました

夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました

氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。 ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。 小説家になろう様にも掲載中です

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

婚約破棄された令嬢が記憶を消され、それを望んだ王子は後悔することになりました

kieiku
恋愛
「では、記憶消去の魔法を執行します」 王子に婚約破棄された公爵令嬢は、王子妃教育の知識を消し去るため、10歳以降の記憶を奪われることになった。そして記憶を失い、退行した令嬢の言葉が王子を後悔に突き落とす。

聖女の私が追放されたらお父さんも一緒についてきちゃいました。

重田いの
ファンタジー
聖女である私が追放されたらお父さんも一緒についてきちゃいました。 あのお、私はともかくお父さんがいなくなるのは国としてマズイと思うのですが……。 よくある聖女追放ものです。

側妃は捨てられましたので

なか
恋愛
「この国に側妃など要らないのではないか?」 現王、ランドルフが呟いた言葉。 周囲の人間は内心に怒りを抱きつつ、聞き耳を立てる。 ランドルフは、彼のために人生を捧げて王妃となったクリスティーナ妃を側妃に変え。 別の女性を正妃として迎え入れた。 裏切りに近い行為は彼女の心を確かに傷付け、癒えてもいない内に廃妃にすると宣言したのだ。 あまりの横暴、人道を無視した非道な行い。 だが、彼を止める事は誰にも出来ず。 廃妃となった事実を知らされたクリスティーナは、涙で瞳を潤ませながら「分かりました」とだけ答えた。 王妃として教育を受けて、側妃にされ 廃妃となった彼女。 その半生をランドルフのために捧げ、彼のために献身した事実さえも軽んじられる。 実の両親さえ……彼女を慰めてくれずに『捨てられた女性に価値はない』と非難した。 それらの行為に……彼女の心が吹っ切れた。 屋敷を飛び出し、一人で生きていく事を選択した。 ただコソコソと身を隠すつまりはない。 私を軽んじて。 捨てた彼らに自身の価値を示すため。 捨てられたのは、どちらか……。 後悔するのはどちらかを示すために。

【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?

冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。 オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。 だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。 その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・ 「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」 「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。