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327.胸騒ぎ

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クリスは何かと一緒についてこようとする三人をどうにか説得して町にいてもらい急いで王子達の元に戻ってきた。

「や、やっと着いた…」

王子達を閉じ込めた小屋の様子を伺う…

「ふふふ…」

「ねぇ…気持ちいいだろ?」

キャシー様の恥ずかしそうに笑う声と、ロイ王子の甘い声が聞こえてきた…

え?

クリスは小屋の出口を塞いでいた物を取り除こうとしてその手が止まる。

これは…開けて大丈夫か…?
いや!早く開けた方がいいかもしれない!

そこでわざと大きな物音を立てる!

「王子!!キャシー様!大丈夫ですかー!」

物を退かしながら大声で中に話しかけると

「あっクリスが戻ってきたみたいだね…せっかくの楽しい時間はここまでだね」

ロイ王子がキャシー様に囁く声がする。

「はい…」

キャシー様からも楽しげな声がしている。

クリスは扉を勢いよく開くと…

「どうだった?何かいたのか?」

二人は変わった様子もなく王子がクリスに話しかけてきた。

「え?あ…盗賊が旅商人を襲ってたくらいです…」

拍子抜けしてありのまま報告すると

「え!それは大変!商人の方達は大丈夫でしたか?」

キャシー様が心配そうに可愛らしい顔を歪めた。

「あっ…間一髪間に合いましたので大丈夫…です」

「それで?その人達は?」

「服を仕入れた町に送ってきましたが…」

クリスがなんとも歯切れの悪い返答をすると、ロイが何かを察した。

「なんかあったのか?」

「それが彼らもタウンゼントを目指しているらしく…僕を護衛として雇いたいと…王子達が居るので断ったのですが、盗賊達に襲われたこともあって怯えているのかも知れません」

ロイは顎に手を当て思案すると…

「ふーん…じゃあ一緒にいく?」

あっけらかんと答えた。

「え?いや!駄目ですよ!王子とキャシー様を平民と一緒になど…」

「その方がいいカモフラージュになるかもしれないよ?」

ロイ王子がいたずらっ子のようにニヤリと笑う。

「あの人達の身元も保証出来ませんし、了承しかねます」

「クリスから見て怪しい人達なのかい?」

「いえ…そういう訳ではありませんが…少し苦手です…」

あの話を聞かない三人を思い出した。

「盗賊に襲われていたと言うから対抗する手段はなかったんだろ?武器とか…」

「荷物を軽く調べましたが普通の商人のようでした」

「なら、問題ないね。何かあればキャシーは俺が守るから」

「僕は王子を守ると…」

「自分の身ぐらい守れるから大丈夫だ、クリスは周りを警戒してくれ」

「わかりました……」

「じゃあ早速その人達と合流しようか!そして早くタウンゼントに行こう!」

「はい…」

タウンゼントに進むにつれて仲良くなっていく二人に、急に舞い込んできた旅商人家族…

クリスはたくさんの荷物に全部投げ捨てて早くタウンゼントに帰りたくなってきた…
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