貧乏領主の娘は王都でみんなを幸せにします

三園 七詩

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278.地下牢

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「あはは!君行く気満々だね!」

はぁはぁと階段を踏み外さないでどうにか下にたどり着いたローズは壁に手をついて息を整える。

「違いますよ!階段を踏み外しそうになったんです!」

ローズがスミスを見るがそんな事にはお構い無しで先に進もうとする。

「さぁこっちだよ!」

「スミスさん!私帰ります!多分私はここに来ては行けないと思うんですよ」

ローズが階段を登ろうとすると

「あれ、いいの?せっかく君に関係ある子の所に行こうと思ったのに」

スミスが残念そうにすると

「えっ…」

ローズの足が止まる。

「私に関係がある?」

振り返ると

「うん、君がここに送った子だよなんか顎が砕けて話も出来ないみたいだからそこだけ少し回復させてほしいってお願いされてたんだ!だから今からその子の所に行くんだよ」

「それって…ジュリアさん…?」

「さぁ?名前は知らないなぁ…興味無いし」

スミスさんが肩をあげる…ローズは少し迷ってスミスさんのあとをついて行く事にした。

薄暗い地下牢をスミスの後ろにピッタリとついて歩く…牢屋の中は暗くて見えないが数人のうめき声が聞こえた。

あまり気持ちのいい場所ではないがスミスさんは散歩でもするかのように歩いている。

「えっと…ああここかな?」

牢屋の前に立つとガンガンと柵を蹴った。

ビクッ!

ローズが驚いていると

「あ…ああ」

男が柵の方まで這いずってきた…

「あれ?違った…ちょっと待ってて」

スミスは手当り次第近くの牢屋の柵を蹴り出した。

「たす…けて…」

最初に蹴った柵の隙間から手が伸びてきた…

「きゃ…」

足に手が届きそうになり思わず下がるとガシッ!

反対側の柵からも手が伸びてローズの足を掴んだ。

ローズはゾワッとして動けず固まってると…

ダンッ!

「ぎゃぁぁ!!」

男はスミスに手を踏みつけられ急いで引っ込める。

「なに勝手にこの足に触ってるの?」

スミスさんは柵の前に行くと手を抑えて悶える男に声をかけた。

「助けて…出して…」

男は変な方向に折れた手を伸ばす。

「あはっ!馬鹿なの出すわけ無いじゃん。お前はいるべくしてここにいるんだから」

スミスさんは愉快そうに笑うと

「それにぃ~今この子の足触ったでしょ?さらに罪が増えたねぇ~ご愁傷様」

「な、なんで…」

男が絶望的な顔をすると

「当たり前でしょ!この子の足は貴重な研究対象なんだ!それをこんな汚い手で触って…よく見ろ!緊張で筋肉が圧縮しちゃったじゃないか!このせいでこの足に何か影響が出てみろ…殺すよ」

スミスの笑っていた顔が真顔になる。

「ひっ…」

男は慌てて牢屋の奥に後退りして震えた。

「全く…後で報告しとかないと…」

スミスが文句を言うと

「す、すみませんありがとうございました」

ローズが助けて貰ったお礼として頭を下げる。

「お礼なんていいんだよ!その足に何かされたら困るからね」

スミスはとてもいい笑顔で笑った。
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