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271.思い出
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「やっぱり重い?降りようか?」
ローズが父を心配すると
「いや、大丈夫だよ。お前ももうそんな年になってしまったんだと思ってな…」
寂しそうにローズを見つめる。
「母さんと会ったのもこの王宮だったなぁ…ちょうど今のお前くらいの年かな…」
懐かしむ様に目を細める。
「お父さんとお母さんはどうやって知り合ったの?」
「んー…もうだいぶ前のことだからな…どうだったかな?」
チャートは忘れてしまったと笑うと
「ローズは…どうなんだ?今…その…気になる男はいるのか?」
チャートはゴクッと息を飲んで聞いてみる。
「気になる…そうね…」
ローズはザワつく胸に手を当てると目を瞑る。
すると浮かび上がるのはある人の顔だった…
「まだ…よく分からない…かな?」
ローズが苦笑してチャートを見ると
「そ、そうか…」
チャートはほっと息をはいて肩の力を抜いた。
「まぁいつかそんな日が来ることは…覚悟している…きっとローズが選んだ男ならそれなりの男だろうと信じているぞ…お前が本当にそいつと生涯を共に生きたいと言うなら俺は…俺は、それを応援する…お前の好きなように生きていいんだからな」
チャートが絞り出すように言葉を吐いた。
「だからな…相手が出来たら隠さずに教えて必ず俺の前に連れてくるんだぞ…」
「ふふふ…お父さんたら気が早くない?まだそんな相手いないから大丈夫よ」
ローズが笑うと
「そ、そうだな…」
チャートは笑うが胸のざわめきは消えなかった。
「でも私はあの領地で生涯を過ごしたいわ…お父さんとお母さんが愛した土地を守りたい」
「お前がそこまで背負う必要はない。それにクリスだっているだろ?」
「そうだけど…私があそこに居たいの」
ローズが笑う…その顔は領地を思い出していた。
「そうか…まぁローズの好きにするといい」
チャートはローズの言葉にそっと顔を逸らすと…嬉しそうに微笑んだ。
チャートとローズは医務室に到着すると扉をノックする。
するとダンテ先生が扉を開けてくれた。
「おや?ローズさんにチャート様?また怪我でもしたのですか?」
ダンテ先生が顔をしかめると
「い、いえ!あれからは無理してませんよ」
ローズが慌てて否定すると
「そうですか、それなら良かった…もう次に無理でもしたらベッドに括りつけておこうかと思いましたよ」
ダンテ先生が微笑むように言うが…その目は笑っていなかった。
「す、すみません…」
ローズが再度謝ると
「先生すまなかったな、ローズを何度も手当してくれたそうで」
チャートが父親としてお礼を言うと
「チャート様もよく言っておいて下さいね、女性なのですから…」
困ったように眉を顰める。
「いや面目ないです…怪我などしないようによく鍛えたつもりだったのですが…」
チャートが悔やむと
「鍛える?」
ダンテ先生が聞き返す。
「はい…次はローズとも話してもう少し強くなろうってな!」
チャートがローズに聞くとローズも頷く。
「はい?」
ダンテ先生がチャートを睨みつけた。
「そんなの駄目に決まってるでしょうが!ローズさんは令嬢ですよ!鍛える必要はありません」
「し、しかし…うちのやつはもっと強かったから…」
チャートが怒るダンテ先生に恐る恐る言うと
「うちのやつ?」
「あっ母の事です」
「ローズさんのお母様…ああ…」
ダンテ先生も覚えがあるのか頷くと
「だからと言ってローズさんまで鍛えることないでしょうが」
「いえ!私が強くなりたいんです!お母さんの様にみんなを守れるように…」
ローズに言われてしまい、ダンテ先生はため息をつくと
「わかりました…でも治るまでは禁止ですからね!」
「ふふふ」
ダンテ先生の言葉にローズは思わず笑うと
「なんですか?ローズさんのその怪我ならあと一ヶ月は安静にしていないと駄目ですよ」
ダンテ先生は不敵に笑うと親子を見つめた。
ローズが父を心配すると
「いや、大丈夫だよ。お前ももうそんな年になってしまったんだと思ってな…」
寂しそうにローズを見つめる。
「母さんと会ったのもこの王宮だったなぁ…ちょうど今のお前くらいの年かな…」
懐かしむ様に目を細める。
「お父さんとお母さんはどうやって知り合ったの?」
「んー…もうだいぶ前のことだからな…どうだったかな?」
チャートは忘れてしまったと笑うと
「ローズは…どうなんだ?今…その…気になる男はいるのか?」
チャートはゴクッと息を飲んで聞いてみる。
「気になる…そうね…」
ローズはザワつく胸に手を当てると目を瞑る。
すると浮かび上がるのはある人の顔だった…
「まだ…よく分からない…かな?」
ローズが苦笑してチャートを見ると
「そ、そうか…」
チャートはほっと息をはいて肩の力を抜いた。
「まぁいつかそんな日が来ることは…覚悟している…きっとローズが選んだ男ならそれなりの男だろうと信じているぞ…お前が本当にそいつと生涯を共に生きたいと言うなら俺は…俺は、それを応援する…お前の好きなように生きていいんだからな」
チャートが絞り出すように言葉を吐いた。
「だからな…相手が出来たら隠さずに教えて必ず俺の前に連れてくるんだぞ…」
「ふふふ…お父さんたら気が早くない?まだそんな相手いないから大丈夫よ」
ローズが笑うと
「そ、そうだな…」
チャートは笑うが胸のざわめきは消えなかった。
「でも私はあの領地で生涯を過ごしたいわ…お父さんとお母さんが愛した土地を守りたい」
「お前がそこまで背負う必要はない。それにクリスだっているだろ?」
「そうだけど…私があそこに居たいの」
ローズが笑う…その顔は領地を思い出していた。
「そうか…まぁローズの好きにするといい」
チャートはローズの言葉にそっと顔を逸らすと…嬉しそうに微笑んだ。
チャートとローズは医務室に到着すると扉をノックする。
するとダンテ先生が扉を開けてくれた。
「おや?ローズさんにチャート様?また怪我でもしたのですか?」
ダンテ先生が顔をしかめると
「い、いえ!あれからは無理してませんよ」
ローズが慌てて否定すると
「そうですか、それなら良かった…もう次に無理でもしたらベッドに括りつけておこうかと思いましたよ」
ダンテ先生が微笑むように言うが…その目は笑っていなかった。
「す、すみません…」
ローズが再度謝ると
「先生すまなかったな、ローズを何度も手当してくれたそうで」
チャートが父親としてお礼を言うと
「チャート様もよく言っておいて下さいね、女性なのですから…」
困ったように眉を顰める。
「いや面目ないです…怪我などしないようによく鍛えたつもりだったのですが…」
チャートが悔やむと
「鍛える?」
ダンテ先生が聞き返す。
「はい…次はローズとも話してもう少し強くなろうってな!」
チャートがローズに聞くとローズも頷く。
「はい?」
ダンテ先生がチャートを睨みつけた。
「そんなの駄目に決まってるでしょうが!ローズさんは令嬢ですよ!鍛える必要はありません」
「し、しかし…うちのやつはもっと強かったから…」
チャートが怒るダンテ先生に恐る恐る言うと
「うちのやつ?」
「あっ母の事です」
「ローズさんのお母様…ああ…」
ダンテ先生も覚えがあるのか頷くと
「だからと言ってローズさんまで鍛えることないでしょうが」
「いえ!私が強くなりたいんです!お母さんの様にみんなを守れるように…」
ローズに言われてしまい、ダンテ先生はため息をつくと
「わかりました…でも治るまでは禁止ですからね!」
「ふふふ」
ダンテ先生の言葉にローズは思わず笑うと
「なんですか?ローズさんのその怪我ならあと一ヶ月は安静にしていないと駄目ですよ」
ダンテ先生は不敵に笑うと親子を見つめた。
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